第113話 夜明け
東の空が赤く染まり始めた時、城門前の戦場に異変が起きた。
機神兵たちが一斉に動きを止めた。
剣を振り下ろそうとした腕が空中で止まり、突進する足が地面に固定された。
そして、その金属製の体の継ぎ目から、微かな青白い光が漏れ始める。
「止まった……?本当に止まったのか?」
レオンが息を切らしながら呟いた。
彼の目の前で、機神兵の赤く光っていた目が、静かに色を失っていく。
ガレスが近くの機神兵を小突いてみた。
金属の巨体は微動だにせず、もはやただの彫像と化していた。
城門がゆっくりと開き、中からアーサーたちが現れた。老魔術師は疲弊していたが、目には確かな達成感が輝いていた。
「おい……見ろよ……」
誰かが指差した方を見ると、城門がゆっくりと開き始めていた。
その門の向こうから、アーサーと彼の仲間たちが現れた。
アーサーは杖にすがるようにして歩いていたが、その目には深い安堵と確かな達成感が輝いていた。
「解放した」
アーサーの声は疲れていながらも、澄んでいた。
「機械に囚われていた魂を。彼らはもう苦しむことはない」
その時、城の中から人々がぞろぞろと現れ始めた。
彼らはぼんやりとした表情をしていたが、次第に意識を取り戻していくようだった。
キースと偵察隊が駆け戻ってきた。
彼らは全身に煤と傷を負っていたが、顔には笑みが浮かんでいた。
「4つの塔すべての制御装置を破壊した!もう二度と、あの機械兵は動かない!」
ガレスが豪快に笑いながら大斧を地面に立てた。
「はっ!これで酒がうまく飲めるぜ!」
レオンは仲間たちを見渡した。
傷ついた者、疲れ切った者、しかし誰もが深い誇りに満ちた表情をしていた。
彼らは王国が認めた勇者ではなかった。
輝く鎧も、名家の血筋も、正式な訓練も受けていなかった。
農民、職人、商人、元兵士、魔術師の弟子。
ただの「民衆」に過ぎない者たちの寄り集まりだった。
しかし、この日、民衆の勇者たちは、機械の悪夢から都を解放した。
しかし、彼らは民衆の勇者だった。
そして、この日、民衆の勇者たちは、機械の悪夢から都を解放したのである。
太陽が完全に昇り、朝日が戦いの跡を照らし出した。レオンは剣を鞘に収め、仲間たちに向かって言った。
「みんな、よくやった」
彼の声は震えていた。
民衆勇者の旗印が、朝風にはためいた。
彼らの戦いは終わったが、冒険はまだ始まったばかりだった。
真の勇気とは、与えられるものではなく、自ら掴み取るもの。
彼らはこの日、そのことを身をもって証明したのである。




