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お祭り.1 8

あれは、破落戸だ。ガラの悪そうな人たちが、借りている場所でリオに絡んでいた。いい大人が情けない。

ちゃんとしてないから、年下から尊敬もされないしタメ口を叩くんだよ。



「おい!店の商品にいちゃもんつけてるんじゃねぇ!」


「そうだぞ!つけるならマグロの漬けにしやがれ!」

ドロタの返しがよく分からないけど少しは相手も怯んでいるのか?


「けけけけけ!気に入らないなら帰ってもらえるかだとぉ!?」

「気に入らないのはお前だよぉぉぉぉ!」

そうのたまいながら、店の野菜とかを地面に叩きつける輩を無意識に殴ろうとして止められる。





「ハヤテさま!」

ミコの鋭い声で我に返る。そうだった。ここで暴力に訴えればこのかわいそうな心の持ち主と一緒のクズになってしまうのと、レナードさんに迷惑かけてしまう。


「ひひひ!どうした!?殴らないのかい!殴るってのはこうやるんだよぉ!?」

男の一人が殴りかかって来たのでそれを受け止める。

所詮は破落戸。

後衛職の弓使いでも受け止める。

なのでそいつに寸止めの拳を何回も放つ。




「うひぃぃぃぃぃ!?」

「のほぉぉぉぉぉ!?」

もう一人はプラチナに任せる。鋭いレイピアの突きで破落戸の服を裂く。もちろん、寸止めだ。







「へっ!へへへ!覚えてろ!」

「あべろべろべろべろ!んべろべろべろべろ~!」

なんか、大人にあかんべーをされたんだが。

しかし、あの余裕が少し気になるか。







「いいぞ、兄ちゃん!よくやった!」

「たまに売れてる店に嫌がらせをしてくることもあるからな!」

「気をつけて商売しなよ!」

街の人たちが声をかけてくれる。

つまりどこか、売れない店のやっかみなんだろうか。


「……見てるだけの大人たちが」

リアがなにか呟いたけど、喧騒に紛れて消えた。




「ハヤテにーちゃん、ありがとうよ!

俺、なんも出来なくて悲しいぜ」

「大丈夫だよ、リオくん。リオくんは野菜やお店を守ろうとしてたんだから、ね?」

リアのにこりとした微笑みにリオが顔を赤くしている。なんだか見てて、微笑ましいな。




「……ハヤテくん。さっきの尾けて来ていた気配がない。てか、遠ざかってるかな?」

プラチナはこてんと首をかしげる。ん?どう言うことだ?撤退しただけか。






「私たちの滞在してる屋敷の方へ向かってるよ」

「こっちは囮か!急がないと!」

「なんだよ、兄ちゃん。踊りたいのか?」

リオのガチ間違いを否定する暇もなく僕は駆ける。

プラチナも後を追ってくる。背後からリオたちの叫ぶ声が聞こえたけど人混みをかき分け駆ける。







屋敷まで戻ると屋敷の扉が開いていた。

なにかがあったと思うけどみんな大丈夫だろうか。

僕たちは顔を見合わせて内部へ侵入する。

仲間を待ってる暇はない。だけど、中にはコハクがいるから大丈夫だと思いたい。




絨毯を踏みしめながら歩いていると近くの部屋で物音がしたので、プラチナと頷き合うと戸を開けた。








「全く、僕ちゃんを狙うなんてなんてことだろうか」

「それにしても、キサさんはなんでそんなに強いの?

私も強くなれますかー?」

「ふふ。ピンクちゃんだったかしら。

私の背中を追いなさい。さすれば強くなれるわ」

ピンクちゃんにキラーンと、得意気な表情のキサさん。

普段、冷静な人だけどあんな表情も見せるのか。

床には縛られて転がされている暗殺者たち。





そして、サラシナ王子とピンクちゃんとブルー。キサさんはこちらに気づくと、こほんと咳払いしてこちらにやって来る。



「あら、みなさん。今、お戻りで」

「ええ。でもこいつらは……」

「不埒にもレナード様のお屋敷に侵入して来たんですよ。このズベ公どもが!」

「ひぃ!き、キサは怒ると怖いなぁ!」

げしげしと暗殺者を足蹴にするキサを見て、サラシナ王子は後退りする。まあ、極端だよね。

怒らせてはいけない女性のようだ。



「……ごほん。それにしてもやはりあの性格の悪いと言われる宰相か。それとも他の王子が狙ったのかもしれません。シメます?

今なら奴らも油断してるかもしれません。

襲撃の後に来るとは思わないでしょ?」


「そうだね。そうしよっかー!」

プラチナが乗り気なので慌てて止める。

「まったまった!力で解決しちゃ駄目だって!」

「ふふ。冗談だよー。でも、悪いことしようとすらなら遠慮してもしょうがないじゃん?

警告くらいしてもいいと思うけど」

「まあ、そうかもしれないけど…」

「待ちなさい。僕ちゃん的には賛成出来ないな」

「どうしてー?家族だから庇ってる?」

プラチナはずいっと近寄る。相変わらずの距離の近さ。他の相手に距離が近いのはちょっともやもやするのは気のせいか。


「うむ。少し離れなさい。ハーレム持ちの王子と誤解されるからね」

「はいはい。そんなことないと思うけど?」

「ともかく。うちの兄さんたちは性格が悪い。

怒らせたら皆さんの家族や故郷になにをするか分かったもんじゃない」

「そうなの?そんなことしたらこの国滅ぼしちゃうぞ?」

にこにこしながら怖いことを言わないでくれる?

まあ、プラチナなら簡単なことだけど。

それは、なんか駄目な気がする。



「それなら僕たちの誰かが優勝して王様に謁見出来るようにしてもらえばいいんじゃないか?」

「そっかー。それで王子たちの悪事を話せばいいのかー?」

色々と考えてるとランティたちとリアたちも帰ってきた。


どうやら見回りをしていたらしい。

うん。コハク。酒瓶持ちながらの見回りは止めような。



つづく


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