お祭り.1 5
バニーガールの紹介が続くと観客席の上の方にある貴賓席からこの国の王様と王子たちがこちらを見下ろしている。
なんだろうか。みんな見下したかのような感じが苛立つ。
前世の頃の社員を消耗品と思っていた上司みたいだ。
キレてはいけない。そいつらの問題に怒っても仕方ない。
それに目をつけられてリアのことが勇者と分かったらあいつらは、容赦なく奪いに来るだろう。
あの中にサラシナ王子を狙った者もいるだろう。
そこへ、隣にいたリアが僕の服の袖を引く。
「……ん?どうしたリア」
「お兄ちゃん。あいつがいる」
あいつ?知り合い……!横を見たら勝ち残った人達の中にリアと同じく子供がいた。
そいつは見た目は優しそうな少年だけど放つオーラはハンパない。
その子供サビロテは特にこちらを気にすることもなく前を向いている。
なにもする気はないようだな。
紹介が終わり対戦は明日からとなった。
歓声の中、それぞれが解散して行く。
「おい、お前。どういうつもりだ?」
「……ああ。あの時のお兄ちゃんかー。ふーん。まえよりはつよくなったのか。対戦で当たったらよろしくね」
「ちょっと!お兄ちゃんが聞いてるんだからちゃんと答えなよ!」
「うるさいなー、勇者だからって僕をナメてると痛い目に合うよ?
僕はね。面白いことが好きなんだよ。
だからこの大会にも参加したんだよ。これでいい?」
「ちょっと!」
リアが追いかけようとするけど止める。
あいつの機嫌を損ねたらここにいる全員みな殺しになるかもしれない。
プラチナがいるから止められるだろうけど、犠牲者が出ないとも限らない。
「行こうプラチナ。あいつのことも気になるけどサラシナ王子のことの方が大事だろう」
「うん、そうだね。あ、そうだ」
リアはなにかを思い出したのか駆けていく。
そしてすぐに一人の騎士を連れて戻ってくる。
格好的にこの国の騎士みたいだ。てイケメンなので女子から人気ありそうだな。
リアの対戦相手の一人だったな。
「この人信用できそうだから、ぼくちゃん王子に話したらどうかなって」
こちらをうかがうように見てくる。
そのお願い的な目線はずるい。しかし、この騎士も悪そうな人ではなさそうだ。
「えと。ハヤテです」
「フォルティシオ王国騎士団第三師団所属ランティオスです。あの私になにか用が?」
「そうですね。あなたに会わせたい人がいるんですけど良ければ着いて来ません?無理にとは言いませんが」
「……はあ」
どうしたものかとリアを見るとにっこりとリアが笑うので肩の力が抜けたようだ。
「……分かりました。なにか事情があるのでしたらうかがいます」
「うん、おいでよ!悪いようにはしないからさー!」
にこにこしながら僕と手を繋ぐリア。
「……お二人は兄妹ですか?」
がくっとなりそうになる。親子にしては僕が若すぎるから、年の離れた兄妹と思われたようだ。
「むー!お兄ちゃんは私のお婿さんなの!」
「そ、そうなのか。それは良かった」
えと。僕はロリコンじゃないかね。後退りしないでね。
しかし、騎士だから貴族と話す機会もこちらよりはありそうだから、貴族の変な性癖も聞いたりすることもあるかもしれない。
だからつい、こちらもそうなのかと思ったのかも知れない。
みんなのとこへ戻ると取り敢えずプラチナが抱きついて来て、柔らかな胸の感触を感じた。ラッキースケベと言う奴か。
「もがもがもがが!」
「えー?なに言ってるのー?二人ともよくやったよねー!」
「プラチナさま。ハヤテさまがしゃべれませんよ」
仕方無さそうにミコが助けてくれる。
「ハヤテにーちゃん、おつー!やっぱたらしだなー!」
「はは。リオだって羨ましいんだろ?ムッツリめ」
「はあ?んなわけねーし!」
「ふーん。リオったらスケベだねー」
僕をからかったつもりがドロタに茶化されるリオ。それを冷たく見るリア。
「だ、誰もそんなこと言ってないだろー!」
「そんなどうでもいいことはいいけど、そっちのイケメンさんは誰だい?」
「どうやらこの国の騎士様でしょうか」
「失礼。私の名前はフォルティシオ王国騎士団第三師団所属ランティオスだ。ランティと気軽に呼んでくれれ」
「そのランティがなんの用だい?私をデートに誘いに来たのかい?」
「は?」
「もう。コハクおねーちゃん。痴女だからって時と場合をわきまえないといけないよ!」
「はいはい。すまないね」
「ランティにはあのサラシナ王子のことで来てもらったんだ」
「大丈夫なのか?この人。イケメンだけど裏ではなに考えてるか分からないぜ」
ドロタのイケメンに対する偏見てなんだろうか?
「こらこら。騎士様相手に失礼だからね?」
「あの。それは別にいいのですがサラシナ様のお知り合いなのですか?先程の予選から見当たらないのですが……」
「え、ええまあ。実は今、保護してます」
「ち、ちょっとハヤテにミコちゃん。このイケメンをそこまで信用するのか!?殺されるかも知れないぜ!」
「リオ。私はこのランティさんのことを信用してる。だからリオも信じて?」
リアが真面目にリオを見つめる。
「し、しょうがねーなー。ふん、とっとと行こうぜ」
リオはやはり、リアに弱いな。苦笑しつつも闘技場を後にした。
つづく




