お祭り.2
リア視点
なんだろう。こんな性格の悪い兵士なんて簡単に倒せるのに。
お兄ちゃんたちは、下手に出ているよ。
私はね。お兄ちゃんたちが馬鹿にされるのが許せないの。
私を捨てた大人たちと一緒だよ。こんな奴等……。
そう思っていたらミコさんに優しく頭を撫でられた。
「落ち着いて下さい。この程度のことで腹を立ててはいけません。この程度はそよ風ほどですよ」
その風とはどう言うことなのか分かりませんが、
ミコさんの微笑みを見てるとホッとするの。
そしてその瞳の力強さに惹かれてしまう。
「お待ちになってください」
そう言われて門の向こうから出て来たのは豪華な馬車と御者台に座るおじいちゃん。誰だろう?
「……どこかでお会いしましたよね~?」
プラチナお姉ちゃんが首を傾げている。
「…なんだあのじいさん」
「そこの泥族、失礼だぞ!」
門番の一人が文句を言うと慌ててその執事の元へと行く。
「レナード様、また視察ですか?お止めください!」
「皆様方、お安心下さい。このセバスが着いておりますから」
御者台から降りて来たセバスさん?
優雅な執事の羊の獣人族のかな?
頭の毛がもこもこしていてとても触り心地が良さそうだよ。
その人がこちらを見ると馬車の戸をノックして中の人と話しているよ。
中から出てきたのはロマンスグレーのおじさん。
着ている服装からして貴族様かな?
私はなんとなくハヤテお兄ちゃんの後ろに隠れる。なんかね。大人は苦手だ。
「やあ君はあの時の冒険者だね?君の活躍は風の噂で聞いているよ」
「れ、レナード様、離れてください!魔族かもしれません!
」
兵士が止めようとするけどそれを手で制すレナードさん。
「彼等は私の命の恩人だ。無礼なことを言うのを止めたまえ」
「……はっ!失礼しました!」
「我々、身分の高い者には逆らいません!」
「お、おい、馬鹿!こんな時まで思ったことを口にしなくていいんだよ!」
兵士が揉めながらも敬礼して去っていく。変な兵士の人だね。
「あなたは確かレナードさん」
「確か、前に魔物に襲われていたんだよね?」
「ああ。ハヤテくんにプラチナさんだったかな?
その節はどうもありがとう」
レナードさんは貴族なのにハヤテお兄ちゃんとプラチナお姉ちゃんに頭を下げているよ。
「色々と話しは聞いているけど、今日は王都へどのような用件かな?」
「あ、はい。祭りがあると聞いたので村の野菜とかを売りたいんですけどね」
「そうか。食料は貴重だ。ぜひ販売してくれたまえ……セバス」
「はい、レナード様。如何様にもお申し付けください」
「この人たちのサポートをしてくれる人材を頼む」
「はっ!では失礼して」
セバスさんは、少し離れると鳴き出したよ!?
「メェ~、メェ~ェェェ!」
「あの人なんで鳴いてるのかな?」
「さ、さぁ」
「あれは、セバスたち羊族の特技でね。
仲間に伝達しているんだよ」
私たちの疑問に答えるようにレナードさんが答えてくれる。
羊さんには凄い特技があるんだ~。
遠くの人に手紙を書くみたいなことなのかな~?
「お呼びでしょうか、レナード様」
そして待つこと少し。スラリとした背の高い美人さんが現れたよ。メイドさんだ!
「ああ、キサ。彼等は大切な恩人なんだ。屋敷の方へ案内した後は、彼等のサポートをしてくれたまえ」
「分かりましたレナード様。それよりも護衛はセバスだけでよろしいのですか?」
「ああ。お前も分かっているだろう?セバスの強さは。大丈夫だよ」
「そうですか。あなたがそうおっしゃるなら仕方ありません。
それと、お前って言うのやめてください」
「あ、ああ。それはすまなかったな」
キサさんの言葉に苦笑するレナードさん。
確かにお前って言われたら嫌だな~なんて思っていたら、セバスさんが動いた。
「こらこらキサ。ご主人様に対して意見を言うとは無礼だよ」
「仕方ないでしょう?お前って言われると例え国王様でもブチ切れますよ。
あのクソみたいな元カレを思い出すんです!」
やいやいと言い合うのでポカンとしちゃう。
執事とかメイドさんてもっと優雅で丁寧なイメージだったけど、なんだか人間らしいって言うのかな~?
緊張しなくていい感じかな。
「こら、二人とも止めないか。みんな呆れているではないか……と。そう言えばそこの商人さんも商売かな?」
呆気に取られている獣人の商人さんに話しかけるレナードさん。
「はい「「申し訳ありません、レナード様」」」
えと。執事さんとメイドさん商人さんの言葉に被せるものだからよく聴こえなかったよ。
「おほん。俺はムスタブの村から来たもんだ」
「……ほう。あの村もまた復興していたのか。
まだ言っていないから、これから言ってみるとしよう」
「本当ですか!?それは勿体ないお言葉で」
「君もしっかりと商売してくれたまえ」
そう言うと門のとこへ言ってなにか話してから戻って来るよ。
「話しは通しておいた。君たちはそれぞれのギルドカードを提示してくれれば入れるから。
我が国の兵士が無礼をして本当にすまない」
うん。この人は珍しいな。大人は自分のことばかりなんだもん。
「いやいやいいですから、頭を上げて下さい」
お兄ちゃんは慌てて言うけど、謝ることは大事です。
中には謝れない人もいるんだから。
つづく




