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鬼斬り空洞.8

気づいたらそこは、村の神社だった。

途端に外の冷たい空気を感じる。

みんなは一度帰ったのか誰もいない。


「私、みんなに知らせてくるね!もえちゃん、行こ!」

「もえもえ~!」

リアが駆け出す後をマンドラコラも着いていく。

マンドラコラが何体も増えた。でも、畑の守りは鉄壁だろう。

害獣被害に合うことも減ると思う。


「さ~て!私は夕飯の準備をしてくるね~!

良ければ、ミコちゃんもら手伝ってくれる?」

「あ、はい。いいですよ」

「おっと。それは私がやるよ。

ハヤテには精のつくものを食べてビンビンになってもらわないとね?」

ね?と言われても。コハクには誤魔化し笑いをする。

みんなが言ってしまうと二人きりになる。


「……今回はありがとうございました」

「え?」

ぺこりと頭を下げて、お礼を言われるのでびっくりした。


「いや。ぼくこそ、その、元気づけてもらって」

空洞内でのことを思い出すと、顔が赤くなる。

「いえ。私こそ」

なんか二人して、もじもじしてしまう。ウブか!

「そ、それにしてもあのまが玉はなんなのでしょうか?」

「そ、そうだね。それに、最近おかしなことが起き過ぎてる気がする」

話しを変えたものの、不穏な気配を感じる。


「主さまのとこでも、妙な気配を感じました」

「うん。今回のことだって」

そこへ、木枯らしが吹いて枯れ葉を散らせる。

ミコが寒そうにしていたので、上着をかけて上げる。


「ありがとうございます。ハヤテさまはみんなに優しいですね」

「そ、そうかな」

「でも、勘違いをしてしまいますから、好きな人だけに優しくした方がいいですよ?」

うん。そうかもね。笑ってるけどちょっと、怒ってる?


「……そうなんだけど。僕は前世ではぼっちで。

だから、他のみんなには優しくしたい。

僕みたいになってほしくないから……いや。もしかしたら嫌われたくないから」

なに話してんだろ。でも、ミコだったら笑わないで聞いてくれると思うから。


「ハヤテさまは、独りではありませんよ。ほら」

「え?」

見ると、神社の入り口からみんながやってくる。


「ハヤテく~ん!お帰り~!」

「ルリさんまた、仕事サボって。ガレットさんにしかられますよ」

「いいのよ、カナエ。仕事は年増に……いたいいたい!離せ、年増!」

「くくく。ルリ。、あんたには教育をしっかりと叩き込んだ方がいいみたいどね。

新人のミオンの方がお前よりしっかり働いてくれるよ」

ああ、ミオンさんはギルドで働いているのか。

カナエ、おじいちゃんが入れ歯落としてるよ。

ふがふが言いながら僕を出迎えてくれる。


「兄ちゃん、帰ったのか?ほら、いい川魚が取れたぜ」

カワイカタさんが、魚籠を掲げて見せてくれる。

悪い顔をするカワウソだな。


「兄ちゃん、また新しい遊び教えてくれよ!」

リオが他の子供たちとやって来る。


「ほらね。この世界ではあなたは独りではありませんよ?」

ミコの優しい笑顔が嬉しい。ここは僕の故郷だから。

村人たちの平和は守らないといけない。






温泉に入ると子猫……いや、ニャーバルキャットの赤ちゃんがおっかなびっくり入りたそうにしているので、桶にお湯を入れてそこに赤ちゃんを入れてやる。


「そう言えば、こいつの名前はなににしようかな?」

「にゃお~」

「しっかり畑を守ってくれてるからね~。オマモリは?」

「う~ん。そうだな………て、なんでさりげなく温泉に入ってるの!?」

プラチナがタオルを巻いて隣でまったりしている。

「ふふふ。村の意見一致して、混浴になりました!」

「いやいや、それはないでしょ~!」

「にゃ~!」

僕の声に合わせるかのように子猫が鳴いた。

その時は、まだ気づかなかった。プラチナはこの頃から無理して笑っていたかも知れない。



つづく

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