帰還とのんびり.4
改めて水晶玉に手を当てると、光り輝いて眩しいくらい。
『アーチャー』―『ハンター』―『スナイパー』―『弓騎士』―???
「これは?」
「ほう。こいつはすげぇ!一つ、すっ飛ばして弓騎士まで転職出来るのか。???は、まだ選べないからな」
しかし、レベル500なのにまだ、選べる職業があるんだな。
取りあえず弓騎士を選択する。
「!!」
すると、僕の身体が光り輝いて、それが収まると、なにが変わったと言う訳ではないけど、なにか力が溢れて来る感じか。
「弓騎士になると、アーチャーより少し重い鎧と兜を装備出来るのと、剣もいくつか装備出来るようになるぜ」
サムズアップされる。まあ、後でステータスチェックしておこう。
でも、どうだろう。弓だけに特化した方が僕的には好みか。
「次は、そっちのグラマーなねーちゃんか?」
「プラチナでーす!でも、私はいいかな。これ以上は転職出来ないし」
「そうなのか?見た目によらず、バッキバキにレベル上げてんのな」
カワイコトの笑顔を、笑顔で返すプラチナはなぜか、ピースサイン。天真爛漫な人だな。
「じゃあ……終わり?」
「あ、あの私も!」
リアが、おずおずと前に出て手を上げる。
「あんたもかい?村人のままでもいいだろうに」
「すまないけど、見てやってくれないか?レベル80 あるんだ」
「うぇ!?は、はちじゅー?ガキのレベルじゃねーぞ!どんだけだよ!」
カワイコトの驚きようは分かる。リアは、僕とパーティー組んでいたからレベルも高い。
「まあ、確かに村人のままレベル上げてもパラメーターも伸びが悪いか……いいぜ、嬢ちゃん!触れてみな!」
カワイコトの差し出す水晶玉にためらいを見せる。
僕が、頷きかけるとゆっくりと手を差し出す。
リアの視点
「ふわぁ!」
それは、お兄ちゃんの時と違い七色に輝き、真っ白になる。
そこに表示されたのは、一つの職業でした。
『勇者』
「……え?」
「どうした、リア?」
お兄ちゃんが、水晶玉を覗き込んで、二度見します。
二度見する人を、初めて見ます。お姉ちゃんも、かわうそっぽいカワイさんも口をあんぐりしています。
勇者ってあれかな?孤児院に置いてあった絵本に、勇者が魔王を倒すお話しがありました。
その絵本の主人公のことでしょうか?
「……これは、保留にした方がよくない?」
ルリさんが、我に返ると言いました。そうなの?
「なんでよ?勇者だぞ、勇者?一万年に一人の存在だぞ?
注目されて、モテモテでウハウハだぜ?」
興奮したようにカワイコトさんが言う。机の上に乗っかってルリさんを見下ろす。
「私を、見下ろすな!見下ろしていいのは、ハヤテくんだけよ!」
「なに言ってるの!?」
なんか、おかしなことになってるので、みんな落ち着きましょう。
ルリさんが、お茶を淹れてくれてみんな一息吐く。紅茶、美味しいな。
「……リアが、強かったのは多分、勇者の可能性があるからか」
「そうだね。どう言った理由で勇者に選ばれるのか分からないけど、勇者が現れるってことは、魔王が復活する可能性があるからだよ」
お姉ちゃんが、優しく私の頭を撫でる。
「それじゃあ、なおのこと勇者を選ばないとね」
「リア。それは……危険で責任が伴うことだよ」
「はい」
お兄ちゃんが、しゃがんで私の肩に手を置くと真剣に見詰めてくる。ドキドキする。これが、初恋なのかな?
「それに、勇者になると、大人たちは他力本願でお願いするばっかりだよ。小さな子供に魔王退治を任せて、自分たちは厄介ごとを持って来られる。
勇者って、貧乏くじ引かされるんだよ?」
「お兄ちゃん、勇者のこと詳しいの?」
「え?いや、ゲーム……じゃない。そんな感じの伝承だ」
「?でも。お兄ちゃんたちがいるよね?」
にこりと微笑むと、意表を疲れたようにまばたきを繰り返す。そして、優しく微笑みます。
「……そうだな。少なくとも僕は、他力本願な村人たちとはたちとは違う」
なにかを決意したように、お兄ちゃんは頷く。
「この村の周りは、ハードモードだが、好都合だ!リアを鍛えて強くして、魔王を一捻りしてやろう!」
「うん!よろしくお願いします!」
私は、元気良く答えると、頭を優しく撫でられる。
「美少女を鍛えるのってなんか、燃えるな!」
「変なこと言わないの!」
ルリさんに怒られてる。おかし。
お兄ちゃんは、のんびりしたい感じだったけど、そうは行かないようです。
つづく




