部活に入れ B お姫様抱っこ
変なところがありましたら教えてくださると超幸いです!
ガラ!!
突如として教室後ろの扉が開きキラキラとした茶髪をなびかせ、ズカズカと姉が一年の教室に入って来る。
学校の人気者が教室に来たことでクラスのあっちこっちでキャーキャーである。
そして俺は昨日ついたと思われる左腕の傷がヒリヒリしこう思う、なんか嫌な予感がする、と。
「あれって四季音先輩!? なんでうちの教室に?」
「晴乃、シキね〜のことしってんの?」
なに? 人気者って聞くけどそんなに有名な訳?
「いたいた、春〜、ちょっとこち来なさーい」
姉がヒョイヒョイと手招きをする、恥ずかしいからやめて!!
「春、なんだよシキねーて、しかも呼ばれてるしよ、学校アイドルの四季音先輩の知り合いなのか?」
え? なに? 学校のアイドル?? なんだそりゃ? 初耳すぎてハテナが止まらん。
「お前四季音先輩の知り合いなのになにも知らないのか?」
知らないなら教えてあげよう、という顔をして晴乃は会話を進める。
その間にも姉がズカズカと近づいてくる。俺が来ないからってものもあるけんど。
「四季音先輩はな、容姿端麗・成績優秀、なおかつ生徒会副会長といったスクールカーストトップの学園アイドルだ、分かったか?」
最初は学校アイドルとか言うてたのに急に学園アイドルとか言い出した。
そして、気づくとそれはもう俺たちの横にいた。
「へ〜、私を知ってくれてるなんて感心感心。春も見習いなさいよ」
「は〜、で? 姉ちゃんは何しにうちのクラスへ?」
目を合わせたくなく教室の外、青空に向かって舞う桜の花弁を俺は目で追う。
「え? 姉ちゃんて、まさかお前……」
晴乃が驚いた顔をしているだろう、見なくてもわかる、感だが。
「ピンポーン、春は私の弟です」
そう言うと「さて」と呟いた姉は俺の襟を掴んでから
「それじゃぁ、春借りてくね〜」
「あ、はいどうぞ」
いや、なんだよ借りてくって、おい!
俺は抵抗するために窓枠に手を引っ掛けようとするがそれも虚しく引っ張られる。
「いやー! 俺の時間を奪わないでくれー、昼休みは有限なんだから〜」
俺の抵抗が効くはずもなく、ずるずると引きずられる。
「5時間目にはちゃんと帰ってこいよ〜」
晴乃はそう言って俺に向かって手を振る。他人事だと思ってさ〜、しかもさっきから周りの視線が痛いよ、もぉ〜。
「アレ? どうしたんですか、シキねー」
廊下に出たところで違うクラスに属する秋がとことこ歩いて来た。
黒髪は昨日とは違いポニーテールで秋の名前にマッチしている紅葉の髪飾りを引き立てている。
「秋〜、助けて〜」
誰も助けてくれないし頼みの綱である秋に助けを求めるしかない。
「春、何か悪いことしたんでしょ?」
「いやなんも悪いことしてないから!」
俺なんも悪いことしてないよ、自転車に乗ってる時もイヤホン外してるし先生にも挨拶してるよ!
「秋か、秋もちょっと来てくれない?」
俺と秋の会話が途切れたところで姉ちゃんがすかさず会話に入る。
「はい、別にいいですけど、春このまま引きずられるのもかわいそうな気が……」
そうだ、このまま汚い(そうじはされてるが)床の上を引きずり回されるところだった。
それだけは嫌だ!!
「じゃぁ、秋が春を運んでくれる?」
「「へ?」」
いきなり過ぎて二人共クエッションマークを出してしまった。
「え? それはどういう」
秋がなぜか顔を赤く染めてもじもじし始めた。
「んじゃぁ春は秋に任せたっと」
シキねーは俺を秋の方にポイされ、その衝撃で俺は床に頭ゴッチンしてしまう。その鈍い音が廊下に響き渡ったり渡らなかったり。
「大丈夫、春?」
心配そう顔をして秋が俺を宥めてくる。けどそんなことをされるのが恥ずかしく俺はこう言い返す。
「だ、大丈夫だから!」
「おいてくぞー」
そんな俺らを置いて、姉ちゃんはそそくさと階段へと向かっていったのであった。
「え、あ、ちょ!」
俺が立とうとしたところ俺は……。
「シキねーから春のこと頼まれちゃったからね、私が春を連れて行く!」
そう言うと俺は秋にお姫様抱っこされてしまった。
「ひゃあっ」
突然秋にお姫様抱っこされるもんだからすっとんきょうな声を出してしまった。
アレ? コレって位置関係、逆じゃね??
なんかさっきより周り視線が痛いのは何故だろうか。
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