魔王との会話
目が覚めるとそこは牢屋だったなんて、ゲーム的な展開は無く謎のパワーアップ現象が起きただけだった。
「目が覚めたか?」
部屋にあるベットの心地よさに身を委ねようとしたとき、魔王がやって来た。なんとタイミングの悪いと思ったのはここだけの秘密だ。
「ああ、丁度今目が覚めた頃だ」
「牢屋で目が覚めた方が、こういった展開にはいいか?」
「いや、こっちの方がいいや。なんでもかんでもゲームみたいなのはさすがに疲れる」
「ということはギルド関係も見てきたのか?」
「ああ、まんまゲームのような感じだった」
「すまんな、あれをやったのは俺なんだ」
そういってニヤッと笑った顔をする。
「いつ頃からああなんだ。というか魔王なのにギルドを変えるとかどうやったんだよ・・・」
「それには少し訳があってな。彼女も呼んで話をしよう」
「いや、彼女の場所へ向かおう、幸い俺は回復系のスキルを持っているからもう大丈夫だ」
「分かった、では向かおうか」
彼女が眠る部屋へ向かう。向かった先は僕がいたような部屋で、細部が微妙に違っているくらいでしかないため、混乱しそうだ。
「さて、起きてるか。回復魔法を使った方がいいか?」
「身体の感覚がまだ慣れてないみたいで、話をするのはこのままで大丈夫かな?」
ベットの上で彼女は話をすることに僕は賛成だが、魔王はどうかと思って見ると魔王の方もそれでいいみたいだ。
「さてと、まず最初に話をすることはこの世界の神についてだ。この世界の神は全ての存在を自分から切り離して作りだした。まあ、その神がこの世界を作った創造神だ」
「創造神」
「創造神ですか」
「その創造神は今は亡くなったのだと思う。それが原因で外部の神がこの世界を管理している。だが厄介なことにその神は邪神に属する神だ。その神のいたずらによって俺は『無限転生』という呪いを掛けられた」
「死んだとしても別の器で蘇るのか?」
「輪廻転生とかいうスキルじゃないので、そんな感じかもしれませんね」
「ああ、俺のスキルは死んだら別の器に乗り換えることが出来る。ただしこれには制約があってな、死体じゃないと無理なのだ」
「と言うことは憑依に近い?」
「憑依ですか?どちらかというと魂の書き換え、いや憑依の方が分かりやすいですね」
「そのスキルのせいで今も死ぬことが出来ず生きている。それだけだったらいいが、あの女神は俺の恋人をわざと死ぬように仕向けた。勿論この世界でな」
「それって、この世界で出来た恋人ってことですか?」
「先輩、その彼女さんもまたその女神に転生させられた可能性はありませんか?」
「彼女は魔物に生まれ変わって、人であった頃の記憶など殆ど無かった。それを止めようとしたが無理だった。魔物だからということで彼女は殺されてしまった」
魔王からは荒れ狂う力があふれ出てきている。後輩ちゃんには厳しそうなためスキルを使って消しておく。
「だからあの女神を殺したいんだ。どうか手伝ってくれ」
魔王のその言葉に僕は協力しようと思う。だが彼女はこの世界に来たばかりだ、無理強いはしない方が良いだろうがどうだろう。
「無理なことは分かっている。彼女の方は特にだ」
何故彼女だけがだとは思わない。むしろ僕もそう思っていたのだ。だが魔王はそれ以外のことを言った。
「神には神に近しい者でなくては殺せない。この世界の神の存在に近づいた俺とお前しか出来ないかもしれない」
「なんで彼女を?」
「そうですよ、なんで私もなんですか?」
魔王は少し悩むようにしてから口を開いた。
「彼女はこの世界の色に染まっていない、元の世界の身体のままで来ているということだ。だが、魂は少し変質しているが技術だけを上げるスキルで、魔法などもない。それはこの世界の枠に収まっていない事に近い」
「彼女は神に近くは無いけど、神と戦えるということですか?」
「え、そうなの?」
「ただ、その可能性があるということだ、必ずしもそうだとは分からない」
彼女が神と戦える場合、強制的に参加ということになるのか。そうで無ければ彼女には危険な目には遭って欲しくない。
「時間にはまだ余裕があるから・・・!?」
魔王が突然驚く。その突然の姿に僕たち二人は驚く。
「すまない、時間はもう無いようだ。神が動き出した」
それは即決で決めなければならないという言葉だった。




