魔王との再開
ちょっと悩んでいて遅くなりました。
3年もの間、彼女に戦い方を教えながら魔王の元へと向かっていた。
1年目で闘気の扱い方を覚えて。
2年目でスキルの本質を知り。
3年目でスキルと闘気を合わせて戦えるようになった。
因みに、魔法無しだと僕は負けるくらいには強くなっていた。
「魔王の所に行くなんてゲームみたいだね」
「そうだね、まあゲームよりもお辛いけどね」
「先輩となら辛いことなんて、一本足して幸せにしてやりますよ」
「はは、まあ気を引き締めようね、いくら知り合いだとしてもどうなるかが分からないから」
「え、知り合いなんですか?倒すとかじゃなくて?」
「言ってなかったけか?この際だから言っておこうかな」
そして僕は魔王との出会いを話す。だが詳細の部分が濁しながら、夢の中で会ったということにする。
「じゃあ、先輩が貰ったと言っていたあのスキルは魔王の物なんですよね?それって教会に見つかったら大丈夫なんですか?」
「一応偽装とかもしてるから大丈夫だと思うけど、まあそれでも無理なときは消すことも出来るし」
「え、何を?」
「スキルだよスキル。魔王との契約で消すことも出来るんだ」
消すことというよりは無理やり返されるという感じだが、まあそう言っても大丈夫だろう。
「あ、ここですか。結構大きな街なんですね」
「そうだね、僕も初めて来るけど、思ってたよりも大きかったね」
実際大きかった、遠目から見た魔族の町や村を見て回ったが、これ程までに大きくなく、柵で囲われるだけで城壁など無かった。
「さてと、魔王に言われていたとおりの道を通っていくか」
「え、隠し通路ですか?ロマンですね!」
「いや、ロマンっちゃ、ロマンだけどあるのは転移の陣だからね」
「転移!マジかヤバスのとんでもごわす!」
「ちょ、何か口調がおかしいよ」
「大丈夫ですよ?先輩の聞き間違いじゃないですか?」
なんという変わり身の早さ、俺じゃなかったらって、そんな訳ないから。普通にこれくらいだったら誰でも気付くわ。・・・てかあんな口調になる人初めて見たわ。
おっと、目的地に着いた。
「この石碑には陣が書いているから、この陣を壊さないように気を付けて」
「分かりました!じゃあ待ってれば良いですか?」
「そうだね、今から魔力を込めるからちょっと待ってて」
身体の中から魔力を放出させ始める。その魔力は陣を辿るようにして廻っていく。円となっている中を進み文字をきらめかせ始める。やがて魔力の注入が終わる。
「さてと、スキルに取り込められるかな。『転移』」
キーワードを唱えると陣の発動条件が整った。光は更なる光を呼ぶかのようにして眩くしていく。それには思わず目を隠してしまうが、発動させた瞬間にスキルとして身につけていた。
光が収まるとそこにいたのは、夢の中で会ったことのある魔王だった。
「来たようだね、二人の勇者よ」
その言葉から巫山戯た話をするのではなく、真剣な話をするとうことが伝わる。
「魔王も久しぶり」
「えっと、初めまして?」
「そうだな。それと初めましてだな、これからよろしくお願いする」
彼女は何か疑問に思ったようだけど、それは僕には何も分からなかった。多分何か勘が働いたのかもしれない。
「君たちに来て貰ったのはお願いがあるからだ。君たちに多大な迷惑を掛けてしまうことだがお願いする」
魔王は深々と頭を下げてそう言う。なんだかその姿は道化を演じている姿なのに、本当の素顔が見えたような気がした。
「さてと、君たち異世界の出身には自分の事も言っておくとしよう。俺も異世界の出身だ、女神のせいで変な呪縛に囚われたままだがな」
異世界出身ということは、同じ地球から来たのかもしれない。そのことを質問しようとしたとき、魔王は聞くまでもなく答えてくれる。
「元の世界は地球で、国の名前は日本だった。そこで学生をしていた」
まさか、と二人してそういった顔をすると魔王は笑って答えてくれる。
「勇者である君には少し辛い試練を与えてしまった。それに俺の様な魔王がいなければ呼ばれなかった。だが君たちはそんな理不尽な出来事を乗り越えて来てくれた。そのことへ感謝の印として力を与えようと思う」
魔王は何か呪文を唱える。その呪文はそう聞こえるだけで、ただの言葉だったかもしれない。だがその言葉は新たな力を与えてくれた。
「ハウライト・デネビーと名乗ることを許す」
「剣聖よ、剣を持つ王である、剣王を名乗ることを許す」
その言葉に目を疑うが、新たなる力は僕の身体を再構築させることに意識が回ってしまい、それ以上のことは聞けなかった。
「剣王って」
彼女もまた新たな力に身体を順応させているのか、床の上に寝てしまう。
「お休み、俺の名前は起きてからにするよ」
それが耳に入ったのを最後に意識を失う。だが、意識を失った中で「最適王」というフレーズが聞こえたような気がした。




