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冒険は次の舞台へ! 9

 「ナナはいつもどおりタゲを引き受け、ルルカは私と一緒に巨人を攻撃して頂戴。ウサミはそのまま採掘してていいわ」

 「了解だよレイカちゃん!」

 「あたしの攻撃で倒すよ!」

 「もうちょっとで大物が掘り出せるからそれまで持ちこたえて!」


 4月も終わりに近づいたある日の夕方。私達【夢の雫】の面々で改めてギルド狩りに出かけた新マップ中間辺りにある《ヒュージ島》で、凄くレアっぽい鉱石を発見したのですが、その手前に一つ目の巨人サイクロップスが陣取っていたのです。

 ウサミは戦闘スキルをあまり持っていないので、採掘に集中してもらう為、私達が攻撃を仕掛けたあと隙をついて採掘にかかってもらう事になりました。


 なぜかサイクロップスは私を見て右往左往してキョどっていましたがそれも最初だけ。今はその巨体から振るわれる豪腕の一撃を私達に向けて放っています。


 ……サイクロップスとは初顔合わせなのに不思議ですねー?



 「レイカ、あたしの水圧魔法で足止めするからサンダー辺りで攻撃して」

 「わかったわ。任せて」


 ルルカが水属性の魔法で攻撃し、私が雷魔法を使う。これはよく表現される攻撃方法ですが、DCOでもその効果は顕在です。流石に水属性魔法が全て純水という訳ではないので水に濡れている時、雷魔法のダメージがよく通るのは至極当然のこと。(純水は完全な絶縁体です)


 ナナはシャナンに乗り、竜騎士らしく上空からお気に入りの騎士王の槍で突き刺しサイクロップスの注意を引いている。その姿はまるで空を舞う戦乙女……実際空を舞ってるんですけどね。

 

 「秘密奥義!【飛天裂牙衝ひてんれつがしょう~】。ついでにシャナンはブレスよろ~」


 ……秘密奥義といいながら大声で叫んじゃダメでしょうに。


 DCOでは私が以前ドッペルゲンガー・ダイダラボッチ戦で行った舞のように、スキル以外の要素による行動が出来るのです。

 何が言いたいかといいますと、やりたい行動をしっかりとイメージできるのならば、ゲーム内での再現が出来るという事。

 ナナの場合なら、異世界で使った技もその動きなどが体に染み付いているのなら扱えるという事に他ならない。


 シャナンからジャンプし、高高度こうこうどからサイクロップスの脳天目掛けて槍を突き刺す単純かつ威力の高い技。飛行型モンスターがいるからこそできる芸当ですね。

 ついでに指示していたシャナンのブレスもサイクロップスの注意を引くための陽動工作。ナナは自分を認識しなくなったサイクロップスの一つ目に槍を突き立てる。


 「ブルァァァァァ……」



 サイクロップスの体力ゲージが見る見るうちに減少していくが倒すには至りませんでした。


 「レイカちゃん!あとよろしく!」

 「美味しいとこ貰って悪いわね。ルルカも同時に魔法よろしく!

 ……荒れ狂う風よ、嵐よ、刃となり周囲を切り裂け!【エアスライサー】!」

 「了解。火よ、炎よ。目前の敵を焼き尽くせ【インフェルノ】!」


 この同時に発動した風と火の魔法によりサイクロップスの体力は消失し、粒子となり砕け散る。

 ドロップアイテムも良さそうなものが幾つか手に入りましたね。イベントの封印球とかサイクロップスの腰布とか?



 「ふぁ~、みんなおつかれー。シャナンもありがとうね~」


 ナナは愛竜シャナンから降り、隣に座るとシャナンを愛おしそうに撫でていました。

 その顔はまるで恋する乙女です。まあ異世界での元彼?(竜ですけど)の名前をつけるくらいなんですから仕方ないのかもしれません。



 カッツゥゥゥゥン!ポロンッ。


 「やっと採れましたよ。アイテム名は《ジーニアス一級鉱石》っていうみたい。使用用途は……魔法金属製の武器防具と、杖とか魔導書とかの魔法威力増加に関係する装備に使えるみたいです」

 「えっ?鉱石なのに魔導書になるの?」

 「鑑定の結果そう書いてるからしょうがないわよ。私も半信半疑ってところですね」


 ウサミが頑張って掘っていた鉱石はレアリティ8。

 今まで発見された鉱石の中ではダントツに高かったです。


 「その鉱石、私達の中で扱えるのはウサミだけだから、加工に関しては一任するわ。私達が共通して扱えるものに加工してくれると助かるけどね」

 「うーん、そうですねぇ。武器防具にする場合はもうナナさんの専用装備になってしまいますので、魔法系のアクセサリにしましょうか。アクセサリなら皆で共有できますからね」

 「わかったわ、それでお願いね。ウサミは合成スキルも持ってたわよね?これを使って香り効果が付くか試してみてほしいのだけど……」


 私が渡したのは幾多の植物や香石から抽出した様々な効果を持つ香りを《香封》し、【調香士】で得た《香料威力強化》を使用して効果を底上げした《バラージスメル香玉》というもの。


 「え?香りの効果ですか?……分かりました。出来たものに合成すれば良いんですよね?」

 「えぇ、そうよ。頼める?」

 「問題ないですよ。仮に合成失敗してしまっても装備本来の効果は変わりませんから」


 私の場合、服系の装備しか作れないじゃない?他の装備にもこう言う効果がつくのか凄く気になってたのよね。



 サイクロップスを倒したあとは島の探索。ここでは新しい昆虫 《ブレイズスパイダー》と《魔銀芋虫》というものをテイムして私有地に送っておきました。

 ブレイズスパイダーは【火属性+3】、稀に【火耐性】の糸を出す蜘蛛。

 魔銀芋虫は《ミスリルスレッド》を吐き出す芋虫です。ミスリルといっても定番どおり防御が高い装備が出来るわけじゃなく、繫ぎの糸の強度的な問題で補正が掛かるという鑑定結果から。




 「今日はここまでね。あとは街に戻り、分配して解散にしましょうか」

 「了解だよ」

 「分かりました」

 「あたしも疲れた……。サイクロップスのあとに戦ったメガマンティスの数の暴力には死に戻りを覚悟したもん……」

 「あぁ、あれね。確かに数は多かったけど、良い経験値稼ぎになったよね?レイカちゃん」

 「ん?うん、そうね。アレくらい数が居るとちょうど良いかしら。ペアで行く時は暫くあそこを狩場にしよっか」

 「賛成~。素材の売却の値段も良い具合で金策・経験値効率共に上位決定だね」

 「レイカもナナさんもあそこでちょうど良いとか言うのおかしいよ。一体一体がインカロードダンジョン12層クラスなのに……あたしなら2体来ただけで蒸発してる……」

 「同感ね。つくづくこの二人おかしいわ……。と言いつつも私としては高ランクの素材が扱えるのでありがたいから問題なし!」




 そんな会話をしながら来た道を戻り、無事ザーバンの街へ戻った私達は分配などを終え、解散しました。

 ウサミは、早速生産活動。ルルカは最初のエリアに戻り、装備のランクを落としてレベル上げに励むそうです。


 「レイカちゃんはこれからどうするの?」

 「私はもう寝るわ」

 「そっかぁ。じゃあ私はシャナンと一緒に狩をしてくるね。お休みレイカちゃん」



 挨拶を交わし、ナナを見送ったあと、宣言どおりログアウト。

 携帯を見るとパパから着信があったのですぐに電話をかけると、あのGM(神官GMですよ?)の中身との話し合いの日程が決まったと聞かされました。

 それは今週の土曜日の夕方でGMに加えパパも同席するとの事。場所はなんと私のアルバイト先であるカフェ・エトランゼだそうです。

 夕方からなのは、私が朝から夕方までアルバイトだからですね。別の場所に指定して私の移動時間短縮の為に決めてくれたんでしょうけど、明らかにパパが私の制服姿を見たがっている気がしてなりません……。

 エトランゼの制服って可愛いんですよね。私に似合ってるのかどうか自信はありませんけど。


 七実にその事をメールしておき、部屋の電気を消しました。

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