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冒険は次の舞台へ! 3

 ザーバンの街から東へ進み3マップ分ほど進んだところに、小さな島を見つけた私達は早速その島の探索を開始しました。


 「島に上陸してしまえば水着じゃなくて良さそうよ?」


 島に上るなりミヤは装備を変更し、ステータス減少効果が発生していないかどうかを確認していました。

流石にガチを名乗るだけの事はありこういった事に関する嗅覚は凄いですね。

 続けて同じくステータスを調べたウサミやルルカとも互いに問題ないことを確認しました。

 海底行動中にこの二人に関しても「さん」付けはやめてほしいと言われたので、頑張って呼び捨てに慣れるつもりです。


 「え!?ほんとですか!?……あ、私も元の装備にしても減ってません!」

 「あたしのも減ってない……てことはステータス減少になるのは水中だけってことみたいやね」

 「んー、装備を元に戻せるのかぁ……レイカちゃんも装備もとに戻すんだよね?」

 「当然よ……って言いたい所だけど、以前のイベントで水着で島をうろつき回るのは慣れちゃってるし、どっちでもいいのよね…」

 「!?痴女?」

 「ち、違うから!?あの時は素材集めのために少しでもアイテムボックスの空きを増やしたかっただけなの!絶対痴女なんかじゃないんだからねっ!」

 「微デレきたー!?」

 「デレてないからっ!」

 「はいはい、アンタ達二人の漫才はもう良いから……それより先に進みましょ?準備は出来たんでしょう?」

 「そうですね。海の中の素材は私のスキル向けの素材がほとんどなかったので、ぜひともこの島で素材集めをしたいですから」

 「あたしは、まずモンスターの強さを知るべきと思うんよ。情報収集は大事でしょ?」


 私とウサミは素材集めをしたい、ミヤとルルカはモンスターの強さを知りたい。という事で、毎度おなじみ別行動……など今回は流石にする余裕はありません。

 ですので5人で固まって行動し、採取ポイントを回りつつ、ナナとルルカの特性【第六感】をフルに発動し不意打ちに備えます。


 「敵対勢力確認!後方から数は4!……オーガ系です!」

 「レイカちゃん……オーガってどんなだっけ?」

 「多分、大きい鬼だったんじゃないかしら?」

 「……二人とも緊張感なさすぎじゃないですか?オーガって言えば強敵として有名なんですよ?」

 「その二人ならオーガくらい喋りながらでもすぐ倒すわよ?二人ともバカみたいに強いから」

 「ちょとミヤ!?流石にその表現は酷いわ!バカみたいに強いじゃなくて凄く強いに言い変えてよね!」

 「そこの言い回しに不満があるんですね……」


 現れたのは普通のオーガではなくアイランドオーガと言い、こういった島のほぼ全てに生息しているらしいです。ランクで表せば始まりの街周辺で言うゴブリンやウルフのような存在ですね。


 「ところで誰が戦うの?」

 「うーん。ミヤさんやる?」

 「オーガは体力が無駄に高いから遠慮するわ。倒せなくはないのよ?時間の無駄としか思えないだけ」

 「じゃあ私がやってくるね!」

 「なら、あたしも行くよ!」

 「おっけ~、ルルさん。行こう!」


 オーガ種はミヤが言った通り体力が無駄に高いモンスターです。体力が高いという事は回復速度も高いという事になり、火力が足りない人にとっては鬱陶しい事この上ない。

 今回は名目は一応ギルド狩りという事だけど、新マップの情報収集も兼ねてるから余計な時間を食いたくないのも本当なのよね。



 数分ほどして、二人はスッキリした表情で戻ってきました。ナナの方は傷らしい傷はないみたいだけどルルカの方は、体力が1/4ほど減っていますね。


 「お帰りなさい。ルルカはこっちに来て?回復するわ【愛天使の光ラヴァーズ】」


 私の新しい回復魔法を見てナナは驚いていました。それもそのはず……



 「れ、レイカちゃん!その魔法って……だ、抱きしめないと発動しないの?」

 「そうよ。っていったらどうするの?」

 「今すぐ怪我してくるっ!!」

 「こらっ、待ちなさいッ!冗談よ。普通に遠くても発動するに決まってるじゃない」

 「……それなら、あたしは何故抱かれているんだろうか?私には足りない凄く柔らかいモノに頭を挟まれてるんだけど……」

 「ルルカってちっちゃくて可愛いから、フワフワモフモフ成分を補充してるだけよ?何か問題でも?」

 「あ、あるよ!?大問題だよ!?私にもフワフワでモフモフの尻尾も耳もあるのにぃ!ルルさんだけズールーいぃ~。私もレイカちゃんの抱っこ(おっぱい)を要求するぅ~!」



 ナナは地団太を踏んで悔しがっていますが、そこにはツッコみません。ここで構ったらナナは絶対ルルカにしたこと以上の要求おねだりするに決まっているから。

 悔しがるナナを横目に、他のメンバーと相談し、島を一通り探索すると小さい洞窟を一つだけ発見する事ができました。



 「これって街で聞いた封印関連の洞窟だったりするのかしら?」

 「うーん?大きくは無さそうだから可能性としては低いんじゃないかな」

 「探索はしておきます?時間が大丈夫そうなら一度様子を見ておきたいんですけど……」


 洞窟を前にルルカとウサミが私達の返事を待っていました。


 「私は時間はまだ大丈夫よ?ミヤとナナはどうなの?」

 「そうね……ヘルガとの用事が入ってるけど、こっちの時間であと2時間は大丈夫よ」

 「私もこの洞窟の探索するくらいの余裕はあるよ」

 「なら決まりね?行きましょうか」


 

 こうして見つけた洞窟に入っていくと、モンスターの影などまったくなく、狭い道をひたすら直進した所に空洞があり、そこに一つ鍵の掛かった宝箱がポツンと置いてあったのです。


 「え?これ……だけなの?」

 「そうみたいね。気合入れたのに拍子抜けね」

 「うん……まあ何もなかったならそれはそれで良いけど。……それよりこの宝箱の中身が気になるから早く開けよう!」

 「それならあたしのスキル、開錠と罠解除を使って開けてみるよ。でも罠解除の方はあまりレベル上がってないから失敗した時の為に少し離れていた方が良いかも」


 ルルカが一歩進み出て言う。

 私達も指示通り、数歩下がり宝箱の様子を見守った。



 ガチャッ


 「鍵は開いたみたい。罠の反応もないからこっちに大丈夫だよ」

 「ねぇ!何が入ってたの?」

 「まだ開けてないってば!……じゃあ開けるよ」



 パカッ!


 「……これは……地図ぅー?」

 「ち、痴女なんかじゃないからっ!」

 「そんな事誰も言ってないわよっ!?レイカ、アンタいつまで気にしてんのよ…」

 「き、気にしてなんかないわ……してるわけないじゃない」

 「そういう事にしておいてあげるわ。それよりも……」

 「それよりもっ!?私のイメージが変わりかねない問題が「それよりも」で済まされて良いの!?」

 「あら?気にしてないんじゃなかったっけ?」

 「……うぅ……」

 「レイカさんも、ミヤさんも話が進まないのでその辺で……」

 「「ごめんなさい」」

 「もう、レイカのせいで注意されちゃったじゃない!」

 「あはは……ハァ…」



 宝箱から見つかった地図は《封印の地図》というものでした。これは間違いなく今回のメインストーリーの封印解除に関わるアイテムだと思います。今はまだザーバンの周辺に6箇所くらいしか封印の表示が出ていませんが、行動範囲を広げれば、封印の場所が分かるようになるはず。


 この地図を得られる情報も、皆と相談し掲示板にあげる事に決定しました。

この時点で私達は島に用事がなくなったので、道中のモンスターを倒しながらザーバンの街へ戻り解散しました。

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