冒険?なにそれ?おいしいの? 8
他の作品に比べてこっちはまだネタ切れして無いので、2日もあれば1話落とせますね。確定ではないですけど!
いつもお読みいただきありがとうございます。愚痴?はこの辺にしておきまして作文(え?)をどうぞ!
ぶっちゃけ面倒くさい……。
何のことか分からない?……ですよね~。数時間前に新素材を探しに行った《ダブリヌの森》で、上位に位置するモンスターであるレッドホットボアと戦っている人たちを見つけたんです。暫く様子を見ていたんですが、いい加減危なそうでしたので外支援として手助けをしました。
その人たちからの追求というか質問に答える時間すら勿体無いので、倒すところまで見届けた後は、覚えてもいないスキル【脱兎】を使用したかのような速度で私は、PTから離れ、たどり着いた先で無事、新素材《ランジェリー草》《異臭草》《モッドロゥ香木》といった物をゲーム内時間で2日生産に篭れる位の分量を集める事に成功しました。
森には昆虫と獣で構成されており。昆虫種には闇属性の暗闇効果、獣種には風属性の睡眠に堕とす事で安全に探索することができました。もちろんこういった効果が効かないモンスターはしょうがないので倒しましたよ。流石に一度も戦闘せず無事に素材集めを終えれるとは思っていませんから。
ただ、やはり思ってしまったのは攻略組の面々が言うような森のモンスターが強いというイメージは浮かびませんでしたね。普通に風塵魔法で一撃ないしは2発で沈みますから。
レッドホットボアに関しても、さっきの……えっとルータス?達が苦戦してたような事にならず倒す自信はあります。というかイベントで周回したアースドラゴンより弱いんですよね、どう見ても。
あ、話がそれてました。それで素材を集めて町に戻った所までは良かったのですが……そこになんと件のルータス達が入り口で待ち構えているではないですか……。
誰かを探しているような感じは目に見えて分かるので、助けたときと服装を変更。具体的には誘惑狐装備から先日作った着物に着替えたわけです。助けた時と装備さえ変えてれば気付かれないはずと思い町に向かいます。案の定ルータスとテンシン、ユキの3人には気付かれず横を素通りできました。
よしっ抜けたッ!と思ったのは束の間……。もう一人のメンバーであるヒナに見つかってしまいました。
「……あっ、さっき支援くれた人っ!」
ヒナは業とらしく私を指差し、ルータス達を呼び寄せました。それにしてもおかしいです。一応、私には称号【隠れたい者】があるので、街中や弱いモンスターとかには見つかりにくいはずだったのに!
まさかヒナという子は【索敵】かその上位スキルを持っているんじゃ?
「……おぉぅ?服装が変わってて気付かなかった」
「なるほど、これは美しい出来の着物ですね。ぜひとも製作者を教えて頂きたい……」
「ルータスは兎も角、テンシンまで迷走しないで!」
ルータス達の驚きの表情や対応などはさておき、見つかった以上は仕方ないので不本意ですけども話を聞くことにしましょうか。
彼らの話は支援をした件のお礼と、レッドホットボアからドロップした毛皮の所有権移譲についてでした。正直に言うと、毛皮に関しては嬉しくて踊り出しそうになってしまいました。それもそのはず。鑑定を使用し調べるとこのような結果が出たから。
《火熱赤猪の毛皮:レッドホットボアから低確率でドロップする毛皮。この毛皮で作った全てのものには火属性が自動付与される。レアリティ☆☆☆☆☆☆、評価9、生産物に火属性付与(+3~+10)》
初のレアリティ6ですよ?こんな物貰えるのが嬉しくない訳無いですよね?
嬉しさで顔面崩壊しそうになるのを必死に押し止め、淡々と受け取りを済ませる。移譲が終わった後は案の定PTへのお誘い。レッドホットボア戦で見たような全員で突撃をかますような脳筋PTなら回復スキルをあげるには都合が良いですけど、ずっと組み続けるとなると気力が持ちませんのでその辺のお話をして拒否させて頂きました。
「それなら、強いモンスターのエリアに行く時に、偶にで構いませんので支援枠で同行してくれませんか?」
リーダーであるルータスからの要請ではなく、テンシンから誘われました。その隣ではユキも「おねがーい」的な感じで両手で拝んでいます。
「先も言いましたが、私は生産スキルをメインとしていますので時間が合えばと言う条件で宜しければお付き合い出来ると思います。その代わり同行という事ですので、そちらのPTには入りませんからその点は了承してくださいね」
「あぁ、だけど本当に良いのか?PTを組んだ方がレベルアップが早いだろうに……」
「いいんです。私は職業レベルに関しては全く不自由していませんので……むしろ私こそ、スキルをあげれる上に素材まで分けてもらえる事がありがたいんですけどね」
同行することでソロの状態(称号による経験値取得量上昇)を維持して各属性の回復スキルを使用すれば、スキルレベルあげも楽に出来ますからね。この4人によって私の身の安全はある程度保証されますし。
クラスメイトに聞いたところPTを組んで、何もせず経験値だけを吸い、さらには他人に装備を提供させるような女性プレイヤーを姫というらしいです。
姫という言葉には憧れますけど……その姫プレイをすると囲ってくれてる人以外からは嫌われてしまうそうなのでしませんよ。
「ドロップアイテムに関しては分けるのは当然じゃないか。ちなみに、あの回復魔法の効果からして職業レベルも非常に気になる所なんだけど……聞いても良いか?」
職業レベルについて答えると、ヒナ以外のメンバーが驚いていました。……違いました。ヒナも驚きすぎて反応できなかったようです。そりゃ、レベル5のキャラ(職業はプリーストという事にしておいた)であの回復量の魔法を使うのはすごすぎる事らしいです。
「でも、同行を頼むときに連絡を取るにはどうしたら良いんだ?さっき聞いた事情から察するにフレンド登録はしたくないんだろう?」
「えぇ、でもそこは大丈夫です。そこのヒナに言ってくれれば、リアルの私と連絡がつくので」
「へっ!?」
「うそっ?」
「マジか!?」
「あー、このタイミングで言っちゃうんだ?レイ姉。せっかく隠してたのに……」
私の発言に全員が驚き、先ほどまで無口だったヒナが流暢に喋るという本性を現していた。ちなみにヒナが発言した「レイ姉」発言ですけど、実は私と姉妹だったという訳でも、和仁の隠し子と言う事はありませんからお間違えなく。
ここでは詳しく言いませんけど、七実と同じく古い付き合いのある年下の妹のような存在がこのヒナですからね。……って十分詳しい説明でしたか?
「そういう事だからヒナよろしくね」
「レイ姉、なんか雰囲気変わった?先月会った時よりイキイキしてる気がするよ?」
「そうかしら?」
「前のレイ姉だったら、私達からアイテムを受け取った時点でサッサと離れてるよね。最悪受け取らずに無言もしくは拒絶の言葉で去ってたはずだよ」
「……はっきりと目に浮かぶ光景だから返答に困るわね……」
私が話を振ってから、今までと比べ物にならないほどマシンガントークをするヒナの姿に驚きながらもルータスは私に確認を取ってきます。
「レイカさん。ヒナのあの姿は一体??サービス開始から彼女とPTを組んできたが、あのような元気に話す姿は初めてなんだけど……?」
「ヒナは昔からお喋りでね。今の姿が本来の彼女ですよ。何故無口キャラにしてたのか知らないけど、その辺はPTを組んでる貴方たちで話し合って互いの理解を深めるといいんじゃないかしら?」
「ハァ……そんなもんですかね……」
その後も色々ありましたが、とりあえずルータス達とは偶に狩りに同行する間柄となりました。
……偶に?いいえ、違いますね。同行に誘ってくる頻度が超高いんですよ。最初は数日に一回だったのですが、知り合って1週間も経過しないうちに2日に1回の頻度で同行に誘ってくるんですよ。
私は生産に力を入れてるんだから、いい加減に他の支援職探してよ! あ~、ほんとにめんどくさい!




