2話
「すみません。どの経路で向かうか、決めましょう?」
「…敬語はやめにしよう。これから同じ屋根の下なのに、敬語なんて使ってられないよ。」
…私は、まだシュバルツを信用していない。復讐を手伝ってもらうことにはなったけど、
暗殺のために送り出された、死角じゃにないのかと。確かめるためには、もっと付け入らないと。
「わかったわ。じゃあ、王都にどう向かう?」
「…。物資運搬ルートは商人や一般人が多すぎるし、一般国道ルートだと検問があるし…。
よし、じゃあリエリクス山脈ルートでいくか。この山は険しすぎて、登山する人が少ない。どうだ?」
険しい山道…私には風魔法があるから大丈夫ね
「わかりました。そのためにも、市場に行って物資を調達しましょう。」
私たちが向かう、デルタ市場は物流がちゃんと通っていると聞く。
作物や、海の幸もたくさん買えるといいな。話しながら歩いていると、すぐにデルタ市場に着いた。
「わぁ。市場ってこんなところなのね!いつも召使いが買い物に行くから、初めて来た!」
「そうだな。こんなに鮮やかな市場は初めてだ。」
目に、入ってきたものすべてが輝かしく思える。こんな、楽しい気持ちは初めてだ。
いつも魔法でも、他の生活も我慢がいっぱいだった。
「でさ、シュバルツ。いくつ硬貨持ってるんだっ…け?…何してるの?」
私の眼には、信じがたい光景が写しだされていた…
「え?何って…買い食いしてるんだよ?どれもおいしそうだし」
この人本気で言ってるのかしら
「いくら使ったの?もちろん残ってるんだよね?買ったやつは既に食べてるけど…」
シュバルツは、お金を入れていた革袋を逆さまにして見せた。
チャリン。落ちて音が鳴った。それを見たら、食べ物を何も買えない銅貨一枚だけだった。
「どういうこと…?私のスイーツたちは…?」
「ああ、ごめんごめん。道に硬貨ぐらい落ちているでしょ。大丈夫だよ」
何だコイツ。プツリ。糸が切れる音がした。次に意識を取り戻したときには…
シュバルツの頬が腫れて、倒れていた。私は怒りのままに、
シュバルツにかかと落としをくらわせていたのだ。
「このヤロー‼」
周りの人は驚いて、通報している人までいた。
『…ヤバ』
―『…ヤバ』
人が蹴られたぞーと叫ぶ人がいた。
「お嬢さん、…逃げた方がいい!この方を置いてでも‼ここ、デルタ市場は」
誰かが人込みを切り分けて、歩いてきた。中には、青ざめて気絶しかけた人もいた。
「おい、そこの女!お前か?シュバルツ第三王子を蹴ったという者は。」
やっぱり、顔は知られてるんですね…
「…蹴りましたけど。そんな言葉遣いでいいのですか?衛兵さん。私は侯爵家の次女ですけど。」
一度衛兵は戸惑ったものの、こう質問してきた。
「失礼。どちらの貴族の方ですか?」
思いがけない質問が飛んできた。
ここで嘘偽りなくリューズ伯爵家のマイナ・リューズですと答えたら、復讐が叶わなくなってしまう。
こうなったら…。起きて‼とシュバルツにささやいた。
「私はシュバルツの婚約者です‼いずれは、リエリクス国王にも謁見を受けたまわります。
ね?シュバルツ。これでも文句がありますか?」




