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死ぬ時はもふみに包まれていたい

……。

ドラゴンに食べられるって、意外と痛くないんだ。

だってそうでしょう?今どこも痛くないもの。

少し怖い想像をすると、飲まれる瞬間に首がボキッといっちゃって、それで首から下の感覚が無くなって痛みとかそんなこと以上のことになってるかもしれない。

ね。怖いね。

しばし気分を落ち着けるために、手に当たるアルパカのもふみを味わおう。

うん。いいね。すごくいい。

ん?

手は動くじゃん。

足は…うん。動くね。太ももに当たる毛のもふみもちゃんとある。

ってことは、ぐっと丸呑みされちゃったのかな。アルパカも一緒に。

ごめんなアルパカ。出会ったばかりで名前もまだ付けてないのに、こんな大変なことになっちゃって。

でも死ぬ時に一人じゃないっていいよね。ありがとうアルパカ。キミとってもふかふかさ。ドラゴンのおなかの中でも、変わらないふかふかさ。

…………。

なんか、静か過ぎない?

実はもう死んじゃってて、ここは死後の世界だよーだったりする?

そんな馬鹿な。私は死後の世界なんて信じてない。

人も所詮は電気信号で動いてるだけの小さな小さな細胞の塊さ。

死ぬってことは電気のスイッチをパチッと切ってその後は絶対ONになったりしないだけ。

それでも人やペットが亡くなれば悲しい。そういうものでしょ人間って。

ただここがマキシマスの世界っていうことを考えると、プレイヤーは幽霊状態になって、肉体には持っていた荷物を置き去りにしたまま自由に動けるってこともあるかも。

幽霊になったら世界の各地にある蘇生地点まで行くか、街に必ずいる蘇生師に生き返らせてもらうか、蘇生方法を持ったプレイヤーに生き返らせてもらうか。

生き返ると体一つだけになるので、急いで死んじゃったところまで行って、置き去りにした荷物を回収する。一定時間回収できないと全部失うっていうシビアなシステムさ。

シビアだけどそのシステムのおかげで死への緊張感が増し、プレイヤーキラーというプレイスタイルの意義も出るってものさ。

ちなみにプレイヤーの荷物は他のプレイヤーも漁って持ち帰ることも出来る。犯罪行為として多少のペナルティは発生するけど、人のカバンを漁るのって、楽しいよね。

さて、話を戻して。

実は私、ずっと目をつぶってます。お察しの通り。

目を開いて現状確認しないといけませんよね。

現実を見るのは怖い。でも見ないと先には進めない。わかってます。仕方ない。覚悟を決めるとしますか。

その前にもう一度もふもふを触っておこう。もっふもっふもっふ。

はい。心の準備は出来ました。

いきますよー。わん、つー、すりー!

…知ってる玄関だ。


はぁ~。

私は今、お風呂に入ってます。

あのあと軽く食事を取り、湯を沸かし、まずはアルパカちゃんを洗うことから始めました。

あ、はい。アルパカちゃんもいますよ。

お湯と石鹸で洗うと、全体的に茶色だった毛が純白になりました。あの色って汚れてたんですね。そりゃそうか。野生だもの。

お風呂パワーによってもふもふりょくも53万ぐらいになりましたよ。宇宙最強パワーですよ。

んで、アルパカちゃんを洗ったら私もビショビショになったのでお風呂に入ってます。

いやー、今日は色々ありましたね。

アルパカちゃんとの出会い、そして愛を囁き合い、結ばれ…。

え?妄想が激しいって?

間違いじゃないでしょ。

愛のテイミングにより固い絆が結ばれたんですよ。

アルパカちゃんとの出会いに比べたら、他の事なんて瑣末なことです。

アースゴーレム?ドラゴン?ああ、そんなこともありましたね。

あんなのはトントンです。アルパカちゃんとの出会いに比べたらトントンです。

そうそう、何であの状況から助かったのか一応考えてみたんですけど。

「あ、アルパカちゃん。畑のものとか食べないでね。ばっちいよ!」

「メェ」

なによ。見て香りを嗅いでただけよ。とでも言いたそうな目をしてます。可愛いですね。

んで、なんでしたっけ。

もふみが増したって話でしたっけ。そうなんですよ。アルパカちゃんって洗い終わったらプルプルプルプル~ってしちゃってもう私も周りもアルパカ汁にまみれて。

ああ、違う違う。何であの場から脱出できたかですよね。憶えてますよ。もう。

たぶんアレですね。帰還魔法。

ここに初めて来た時と同じように、心の中でリホームを唱えちゃったみたいです。

それで一気に家の前にワープしたってことでしょうね。

あのあと何度かリホームを使ってみたんですが、ちゃんと使えました。

魔法書にはまだ移してないっていうか、スクロールが無かったので移せなかったんですよね。それで今まで使ってなかったんですけど。触媒が何かもわかりませんし。

謎は深まるばかりですが、これで外の探索は捗ること間違いないでしょう。

その前に、ちゃんと敵対モンスター対策をしてからになりますが。

今日のところはもう疲れましたので、お風呂を出て、アルパカちゃんの靴とか作って、寝ましょうかね。

ん?アルパカちゃんの様子がおかしい。

「どうしたの?アルパカちゃん」

「メェ…」

あの目は…トイレが限界って目だ!

「待って!トイレあるから!トイレはトイレでするんだよ!今出るからもうちょっとだけ我慢して!」

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