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第1章(4)オリバー、初手を考える ④

最初蒔く種の量を工夫する必要があると、オリバーは頭を悩ませた。

いろは本によると、初回の種、つまり熟成した実から採ってすぐの状態でなければ、秋が深まりつつあるこの時期に蒔くとある。

足りなければ追加でもらえるということなので、あるだけ蒔くのが成功率を上げる手段なのだが、途中で掘り上げと植え替えが発生するので、その場所を確保しなければならない。

また、最低3年は収穫ができないため、2年目・3年目の種を植え苗を育てるスペースも必要となる。

オリバーは、普及指導員を拝命してから、一応ということで、小さくはあるが試験圃場しけんほじょうとする土地を与えられていた。

家の程近くに拓かせてもらったそこで、命じられた野菜の試作を行うのだが、自家消費の野菜を育てる畑としても使っており、最近はどちらが主目的かあやふやになっている。

今年も作付をしたが、休ませている土はある。

そこに腐葉土を少し入れて、1年目のスペースは確保できそうだ、というよりそのスペースで試すしかなかった。

2年目、3年目と年数が経過すると、今度は佐藤家の食料を育む場所が削られていくという寸法になるわけだが、来年のことは来年の自分に押し付けることにした。


目下考えなければならないのは、土の準備と種蒔きの段取りだが、オリバーは、他の農業者と一緒に挑戦をするのはどうかと考えた。

普及指導員が試験作付し、その成果を集落に広めて本格的な栽培者を募るというのがセオリーだが、今回の収穫は最速で3年後になる。

それまでは、オリバーは外見では、独りで何やら、特に何かを得るでもない作業に時間を費やしているように見えてしまい、もし最速での収穫に成功したとしても、あんなに時間がかかるのならやらないと皆に敬遠される未来が予想できた。

それなら、普及指導員の名札が付いてしまっているオリバー以外の農業者を巻き込んで、彼らから後押しをしてもらうと説得力が増すのではないか、とこういう算段であった。

オリバー自身の信用力の問題もあるが、この集落、いやこの肥土藩では、どうしても農業の花形が米作りであって、その他の作物に目が向かないのだが、オリバーの説得がいまいち機能しない一因になっているというのは、当たらずといえども遠からずというところだった。

この辺の農業者にとっては、米を巧みに作ることを唯一の目的としている傾向があって、野菜等は家庭内で消費し、多少余らせた分を売って家計の足しにするという一段階下の扱いであった。

オリバーとて米信奉を抱いて育って来た1人であったが、藩校にて、野菜は、需要があって販路が確保できるのであれば、米に勝る収益が確保できると学んでからは、主目的が販売用の野菜作りも取り入れた方が良く、このマンドレにんじんを啓発のチャンスにしたかった。

もちろん、他の農業者とともに取り組んで失敗すると、やっぱり野菜には頼れないと事態の悪化度合いが倍になってもはや挽回できなくなるのだが、オリバーが独りきりで数年もそもそと挑むよりはましなのではないかと考え、一緒に取り組んでくれそうな農業者の心当たりを何人か思い浮かべた。



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