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bad faith  作者: タチャンカ
2/5

心なき廃人

やはり小説は面倒臭いものだ

担架で運ばれた場所はアレク王国といわれる国だった。

田舎の村に住んでいた私にはここは理想郷のように思えた。

きらびやかなドレスを纏った淑女、やんちゃな少年少女たち、ハハハと笑い声が聞こえる酒場

この微笑ましい光景は私には何も感じなかった

私を担架で運んでいる男は言った。

「まずは病院に着いたら検査を受けてもらう」

何故だ、何故なのだ、まずは怪我の治療を__。

「何を言っているんだ?アンタは怪我をしていないじゃないか。」

…なにかがおかしい、私はあの惨劇のとき大火傷を負ったはずだ。

それが何故治っているのだ。

「もしかしてアンタ廃人じゃないのか?」

廃人は驚異的な身体能力と自己治療能力を持ち、さらには怪力までもたらされる。

…感情と心を引き換えに。

私はそのような怪物にはなりたくはない。

心と感情を失ってまでそのような能力を持ちたくはない。

心を失えばあの時の惨劇を、娘の死を忘れてしまうかもしれない。

「まあ、これは俺の憶測に過ぎない。

…もし廃人だったら討伐隊に徴収されるがな。」

男はそう言った。

本当に廃人でなければいいんだけどな。

そうした会話をしているうちに病院に着いた。

「そこからは自分で歩けるだろう。さあ、行け」

私は担架から降り、病院に入った。

中は腐ったような匂いがして、中にいる患者も重傷者ばかりだった。

痛みで叫ぶ者、亡くなった部位を嘆く者、発狂したもの。

とりあえず私は受付で番号が書かれた紙を持って自分の番を待った。

待っている間にさっきの発狂者が暴れていた。

「神は狂気の山脈に照らしを見い始めた!世界が我々を読んでいるのだ!退け最下の人民たちよ‼︎」

その瞬間何処からともなく騎士が現れ発狂者の首を刎ね、遺体を持ってその場から消えた。

なるほど、腐ったような匂いはこれが理由なのか。

そうしているうちに、自分の番が回って来た。

診察室に入ると医者は

「すいませんね。あのような光景を見せてしまって。」

と言った。

何故謝る必要があるのだろうと私は思った。

医者は

「あなたの事情は知っています。あなたはあの惨劇から生き延びた。だからこそあなたには審査が必要なのです。廃人かどうか確かめるために。」

それでは審査を始めますと医者は言った。

「あなたは今、何処かに怪我はありませんか?」

私は答えた

「いえ、ありません」

ふむ、という医者。医者は次の質問をしてきた

「さっきの発狂して殺された光景を見て、何か感じることは?」

「いえ、ありませんでした」

医者が最後の質問ですという

「ではあなたはあの時の惨状を思い出せますか?」

突然強い頭痛に襲われた。

頭が割れそうで崩れそうで痛くて気持ちが悪い。

「頭痛がしましたか?」

と医者が言う。

思わず私ははいと言う

「これでわかりました。あなたは廃人です。廃人はそのきっかけを思い出すと強い頭痛に襲われるのです。今すぐ王国兵を呼びます。」

と医者は言った。

迎えが来るまで待機室にいることになった。

私は急に悲しみに襲われた。

自分のが廃人という事実、娘の事などが合わさり、私は泣きじゃくっていたと思い込んでいた。


そう。鏡に映った私は泣いてなどいなかったのだ。

用語説明

廃人…何かのきっかけやトラウマなどで心を壊されたものがなる人の形をした怪物。

討伐隊…旧支配者の復活の阻止や邪教の教祖の殺害などを目的とした部隊

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