表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/29

第二話 魔法の針と新たな仲間 (3/6)

***


翌朝、登校した咲歩の机の中に、昨日無くなったはずの写真が入っていた。

「先生、今見たら机の中に写真が入っていました」

「あら、そうだったの? 机の裏にでも張り付いてたのかしらね。見つかってよかったわね」

「なんだよー。内野もよく見ろよなー」

「でも机の中って、昨日先生も一緒に見てたじゃん」

「誰かがとって、また戻したってこと?」

「えー、何それ怖っ」

「やっぱ千山だったんじゃねーの?」

「はぁ!? まだ言う気か!?」

「太田さん、やめましょうね。千山さんも声が大きすぎよ」


業間休み、私は三組の廊下で咲歩から朝の話を聞いていた。

「そっか、見つかったんだ。良かった」

「ですが……すっきりしませんね」


あれ? 窓の向こう、咲歩の机に誰か手を付いて……かがみ込んだ?

「昨日見た時には、無かったのにな……」

あの大きすぎる独り言。

「あれって……」

私と咲歩は教室に入る。

「ちやまくん? そんなとこで何して――」

千山くんは私をギロリとにらんだ。

こっわ。めっちゃにらまれたんだけど。なんで?

「はぁ……。いや、誰が内野さんの写真を持ってったのかと思ってさ」

え、なんで今ため息ついたの……?

「そうですね、それは私も気になります……」

ん? そっか。昨日無かったはずの机に写真があったってことは、あの後誰かがここに入れたって事か。

「……言っとっけど、俺じゃねーからな」

「私は千山さんを疑っていませんよ」

「そんならいーけどさ」

この席って、確かに咲歩のランドセルの場所からまっすぐ見える位置だなぁ。

何の気なしにロッカーを見ると、何やら白いものがぴょこぴょこ跳ねて……ってぷっぷちゃん!?


わーっ、ダメダメっ、見つかっちゃうっ!!

私は慌ててロッカー前に走ると体で棚をふさいだ。

そんな私を不思議そうに眺めてる場合じゃないでしょ咲歩っ!

動けない私が手招きをすると、咲歩がトトトと小走りでやってくる。

「ちょっ、咲歩はどうしてぷっぷちゃん学校に連れて来ちゃったわけ!?」

「いつも通りランドセル横につけてきましたよ?」

「って方法じゃなくて理由だよぅぅぅぅっ」


私が咲歩とヒソヒソ話してる間に、千山くんは「内野さん、机、無断でのぞいて悪かったな」と一言あやまると去っていった。


「もしかして、誤解させてしまったでしょうか」

「誤解?」

咲歩は申し訳なさそうに、廊下に出て行く千山くんの背中を見ていた。

あ、私達が急にヒソヒソ内緒話を始めたから、千山くんの悪口を言ってるみたいに思われたかもって事か。

『勝手に人の机のぞくなんてサイテー』みたいな感じ?

それは確かにショックかも。

悪気はなかったけど……、悪いことしちゃったかな……?


いやでも、千山くんって元から私のこと嫌ってない?

こっちは何もしてないのに。

そんな奴のこと、心配しなくても良いんじゃないかな?


「みこちゃん?」

「あ、ううん。それより、なんでぷっぷちゃんを学校に連れてきたの!?」

「ふっふっふ……。ぷっぷちゃんはすごいんですよ! 聞いてください!」

咲歩がぐいと顔を近づけてくる。

「え……?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ