第六話 事件の真相とぬいぐるみグループ (1/4)
翌日の業間休み。
今日はセオルも学校に来てくれたので、私は咲歩といつもの場所に向かう。
「今日はクラブ活動だね」
「そうですね。何だか久しぶりです」
どんなことするんだろう。楽しみだなぁ。
いつもの階段で、私は周囲を確認しつつセオルを袋から出した。
「マイレディはずいぶんとご機嫌のようだね」
「えへへ、分かる?」
「もちろん。ボクに分からないことなどないからね」
「きゃーっ! セオル様のそのポーズはっっ、全知全能のポーズっ!!!」
それはまた、強そうな名前がついてるポーズだね。
セオルは、大喜びの咲歩へ爽やかに礼を告げて、咲歩の手の中のぷっぷちゃんを覗き込んだ。
「ぷぷっ!」
ぷっぷちゃんが嬉しそうにとびはねる。
「初めまして。ボクはセオル、君がぷっぷちゃんだね?」
セオルはひとつうなずくと「なるほど、よく分かったよ」と言った。
セオルはキョロキョロと何かを探してから「マイレディ、少々失礼するよ」とことわって、私の肩にのぼる。
「ぷっぷちゃん、会って早々で申し訳ないけど、ボクの質問に答えてもらってもいいかな?」
ぷっぷちゃんは「ぷっ」と返事をして、ぴょこんと動いた。
「これは白い服だね?」セオルは私の白い服をステッキで指す。
ぷっぷちゃんはぴょこんとうなずいた。
「ありがとう。では、この花は服と同じ色かな?」
セオルが私の胸ポケットに刺繍された青い花をステッキで指す。
ぷっぷちゃんはぷるんと横に揺れた。
「そうだね。ではこれは? 服と同じ色かな?」
ぷっぷちゃんはぴょこんとうなずく。
けど、セオルが指したのは赤い花だった。
「ぷっぷちゃん!?」
咲歩が慌ててぷっぷちゃんを覗き込む。
ぷっぷちゃんは赤い瞳を瞬かせて「ぷ?」と不思議そうな声で鳴いた。
「あ、わたしも分かった!」
私の声に、皆の視線が集まる。
「ぷっぷちゃんって目が赤いでしょ? だから赤い色は見えないんだ!」
「そう、だったんですか……。今まで気づきませんでした……」
咲歩はショックを受けているようだ。
「確かに、ぷっぷちゃんの元になったポッポちゃんは、アルビノ種の白い鳩がモチーフなので目が赤いのですが、まさか、私達と色の見え方が違っていたなんて……」
私はぷっぷちゃんの赤い目を見る。その赤色はあの日見た花の刺繍を思い出させた。
「だとすると、あの日赤い服を着ていた谷口さんは……」
私の呟きに、咲歩がハッとした顔をする。
「今すぐぷっぷちゃんに谷口さんをみてもらいましょう」
ガバッと咲歩が立ち上がる。
「あー……。それが……谷口さん今日はお休みだって、先生が言ってた」
ストン。と隣に座り直す咲歩。
「そうなのですか……。お風邪でしょうか?」
「昨日早退しちゃったもんね。早く治るといいね」
「……罪悪感に耐えられなくなったのかも知れないね」
「え?」
セオルを見れば、あんなに丸い顔なのに、しっかり憂い顔をしていた。
「咲歩さんのためにも、その谷口さんのためにも、この事件はもっと早く解決しておくべきだった……」
セオルは私の肩から降りると、俯きがちにポーズを取る。
「そうすれば、マイレディもボクの仲間もケガをすることなんてなかったというのに……」
「セオル様……。そのポーズは、第三シリーズにしかない大後悔のポーズ……」
いやまあ、ポーズ名はなんでもいいんだけどさ。
とにかくセオルは反省しているらしい。
「けど、写真をとったのが谷口さんだとしたら、いったい何のために?」
私の疑問に、咲歩は少し困った顔をした。ような気がする。
「そうだね、彼女が休みならちょうどいい。谷口さんの友達に話を聞きに行こう」
昼休み、私たちは三組の教室に集まった。
ぷっぷちゃんは咲歩のポケットの中で、セオルは私の手さげかばんの中だけど、話は十分聞こえるはずだ。
「岩崎さん、谷口さんの事で、少しお話を聞かせてもらってもいいですか?」
岩崎さんは私と咲歩を交互に見て、不思議そうな顔をしたあと、なにか思い当たったのか、サアッと顔色を変えた。




