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黒髪  作者: yosibahirosi
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2/11

ゆりは大学生だった

 ゆりの勤めているクラブは若い女が10名ほどいた。どのホステスも洗練されていて、ゆりはどう見てもそのなかではランクが下の様である。客層もよさそうで、スーツを着ているものが多い。明のようにラフな感じのものはいなかった。5月なので薄いジャケットを着ていたが、何か自分に引け目を感じた。ママが挨拶に来た。

「これからもゆりを贔屓にしてくださいませ」

40代後半のように見えた。和服が似合う。どちらかと言えばママと呑みたい感じがした。ママはビールを明に注ぐと席を立った。かわりにゆりよりも年配のホステスが席に着いた。

「カンナです。宜しくお願い致します」

カンナもビールを注ぐ用意をしていた。明は一気に飲んだ。

「男らしいわ。何か頂いて良いかしら」

「好きのものとったら」

「御馳走になります」

カンナはボーイを呼ぶ合図をした。なかなかボーイに伝わらず、席を立った。

「チップあげてちょうだい。先輩はうるさいのよ」

「解った」

カンナはオードブルを運んで来た。明は

「ごくろうさま」

と言いながらカンナの胸に1万円札を差し込んだ。

「ゆりはいいお客掴んだね。奪いたいな」

そう言いながら、カンナは

「踊りませんか」

と明に言った。明は言われるままフロアに立った。

「ゆりは大学生なのよ。援助してあげて」

カンナから予期しないことを告げられた。

「それ本当のこと」

「身分証明書を観たわ。W大学よ」

「パソコンで偽物作れるから・・」

「3年なのよ。授業料半期分援助出来ないかな」

 音楽が終わった。明は席に戻った。カンナも席に着いたが

「常連さんが見えたので失礼します」

と言って席を離れた。

明はカンナの言葉に酔いが醒めてしまった。

「ダンス上手いのね」

ゆりはそう言いながら、ビールを注いでくれた。

白い泡が嫌に眩しく感じた。ゆりとホテルに行く気持ちが異常なほど醜く感じ始めた。このビールを飲んでしまえば、その勢いでゆりの体をもて遊ぶかも知れない。

明はゆりに言った。

「携帯を教えてくれないか。今晩はこれで帰るが、ラブ契約はするよ。今日の分と契約分。髪を黒いままでいてくれないか・・・・その分で20万円払うよ」

明は50万円ゆりに渡した。授業料にはまだ20万円ほど足りないかもしれないが、ゆりが本当に大学生なら直ぐにも渡すつもりであった。

 ゆりは店から出て明の唇にキスをしようとした。

「今は酒臭いから・・今度に取っておこうか」

明は代行の車に乗った。明の車にゆりが乗った事は知らなかった。






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