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紡ぐ2
つむぐは病室で目を覚ました。不思議と身体の痛みはなくなっていた。
コンコンと扉が開いた。入ってきたのは坂下だった。
「坂下くん、どうしてここに、、、?」
「いやあ友達からつむぐが病気だっていうから見舞いに来たんだよ」
「そう」つむぐの頬を涙が伝った。
「で、調子の方はどうなの?」
「特に痛みもないわ」
「それはいいことだ」坂下は机の上のスケッチを見た。「なんだい、この鎧を着た猫は? それに上ににゃんにゃん王国って書いてあるぞ」
「ふふっ、ただのいたずら書きよ」
「ほんと不思議なやつだな、お前は」
二人は他愛のない会話をした。つむぐはずっと泣いていた。
一時間ほど話し込んだ。
「じゃ、僕はもう行くね。まだ仕事が残ってるんだ」
「うん、行ってらっしゃい」
坂下は病室から出て行った。
つむぐはふっと息をつく。
良かった、最後に彼と話せて。
つむぐの全身から力が抜け、やがて心臓は止まった。
彼女の命の灯が消えた。
FIN
三文小説にお付き合いいただきありがとうございました。いやあ、まさかこんなラストになるとは思いませんでした。今後ともごひいきに。




