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命の灯(第二稿)  作者: 坂上きつね
第三章ー--つむぐー--
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賭け1

 つむぐは飾りつけしたケーキと紅茶をテーブルの元へと持っていく。

 あ、そうだあの子のコーヒーのおかわり持ってきてあげないと。

 「その必要はないよ、つむぐ」そう言ってイリオモテヤマネコは自分から席を立って散歩に出た。

 きっと気を使ってくれたんだろう。こういうところがなかなか憎めない。

 つむぐはマキの前に腰掛ける。「おまたせ」

 「いえいえ。美味しそうですねケーキ」

 「にゃんにゃん王国のイチゴはとびきり美味しいのよ!」

 「楽しみです」

 「「いただきまーす」」

 二人はケーキを口へ運んだ。

 マキの顔が喜びの表情になった。

 「え!?まじウマ!」

 「ほんと~?よかった~」

 つむぐはマキがふと視線を横目にしているのに気が付いた。さてはあのイケオジ、余計なこと言ったな、、、? まあいい。この少女、なかなか勘が鋭そうだ。気を付けて取り扱わねば。そもそもどうしてにゃんにゃん王国に入って来れた? まさか坂下くんとなにか関係があるんじゃないでしょうね?

 「あなた名前はなんて言うの?」

 「マキです」

 「そう、マキちゃん」ええい聞いてしまえ。「単刀直入に聞くんだけど、坂下くんのこと何か知ってる?」

 「一応、心当たりはあります。29歳の男性の坂下さんで合ってますか?」

 「ビンゴ」やっぱり坂下くんと関係あるのね。「坂下くん調子どう?」

 「なんか精神障害にかかったみたいです。私もですが。坂下さんとは精神病院で知り合ったんです」

 「坂下くんが精神障害、、、?」

 「はい」

 「躁鬱?」

 「統合失調症です」

 つむぐは脳内の記憶の引き出しから情報を引き出した。たしか本で読んだ内容は妄想、幻覚だったはず。そんな私の中の坂下くんはもう記憶の中の存在なの?

 「幻覚が見えるって?」

 「いえ。薬をちゃんと飲めば、何の問題もないみたいです」

 「そう。ホッとしたわ」

 「それで、つむぐさんは坂下さんと知り合いなんですか?」

 「まあ、知り合いと言ったところね」

 「坂下さんってどんな方なんですか。なんだかつかみどころのない方で」

 「坂下くんはね、誰よりも綺麗に3ポイントシュートを打つの」

 「バスケットボールをやっているんですか?」

 「小中高とやってたみたいよ。今はもうやってないのかしら」

 「結構知ってますね。わかった!坂下さんの彼女さん?」

 「彼女なんてものじゃないわよ」

 つむぐは胸に優しく手を当てる。

 「ただのバスケットボール仲間よ」

 「だからバスケットボールの服着てるんですね。つむぐさん」

 「これから、真剣な話になるけどいい?」

 「はい」

 「ぶっちゃけた話、私にはもう時間がない」

 「はい」

 「そこで、マキちゃん、あなたに手伝って欲しいことがあるの」

 「私にですか?」

 「そうよ」

 「具体的に何をすればいいんですか?」

 「そうね。あなたの身近な人の死を無かったことにしてあげる」

 「誰か死ぬんですか?」

 「あなたの記憶は後で消さしてもらうけど、教えてあげるわ。古沢さんと杉原さんを生き返らせてあげる」

 マキは頭に疑問符が浮かんだ。

 「古沢さんと杉原さんが未来で死ぬってことですか?」

 「そうよ」

 「信じられない」

 「ま、信じられないのも無理はないわ。人生はチョコレートの箱、開けてみるまで分からない」

 「急にフォレストガンプ。しかも私が嫌いな言葉」

 そうか、マキちゃんはあの方が言っていた運命を結ぶ子に違いないわ。どうして気づかなかったんだろう。あの方が夢の中でさんざん説明してくれたじゃない。この子をうまく操って、私は坂下くんに再会できる可能性があるんだわ。なんとか慎重に、だけれども勇敢に運命を歩んで行くしかない。坂下くんに会うための最後の希望。それがマキちゃん。

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