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SilentRoseQuest  作者: 石食み
第1章
22/33

01-16

 恐らく竜に遊ばれた結果もげた左翼。

 だが、目の前の老婆はそれを治す方法があると言う。


「どうすれば治りますか?」

擬翼(ぎよく)じゃ」

「擬翼」


 義手の亜種か。

 しかし、この世界にそんな技術力などあるのだろうか。


「そういえば、自己紹介がまだだったの。アタシは錬金術師であり、魔道具職人でもある、バーバラじゃ」

「クォンタムです。よろしくお願いします」

「今更じゃの」


 ご最もだ。

 ところで、錬金術師と聞いて気になることがでてきた。


「先程の少女、ローバさんでしたか、彼女は錬金術で私を治療したのでしょうか」

「いや、違う」


 違うのか。


「正しくは、錬金術()使って、と言ったところじゃな」


 それはどう違うんだ?

 バーバラさんはニヤリと笑う。


「あの子は天才だ。錬金術のな。今でこそアタシは師匠の真似事をしているが……(じき)に抜かされる」

「はあ」

「なればこそ、錬金術以外の事を教えにゃならん。それがあの子のためじゃ」


 そう言うバーバラさんからは、慈愛のオーラが見える。

 そこに、ドタドタと足音が聞こえて来た。


(センセイ)〜!ポーション作成終わりました!!」


 言葉と共にローバが駆け寄ってくる。

 バーバラさんは、穏やかな表情を引っ込め、怒鳴った。


「コラ!話があるからしばらく入ってこないよう言ったじゃろ!!」

「うぅ〜……でも……」

「でもじゃない」


 バーバラさんの優しさは、ローバに届いているのだろうか。

 幾度となく繰り返されてきたのであろうやり取りを見ながら、ふとそう思った。


             ◆


 なおも続く説教に終止符を打ったのは、第三者の声だった。


「ローバ!!いるー?」

「シムだ。いるよー!!」

「お邪魔しまーす!!」


 どうやら見知った仲の子が来るようだ。

 恐らく迎えに行くのだろう、ローバが部屋から出ていく。


「まずい」


 対して、バーバラさんの反応は劇的だった。

 緊張した顔で私に話しかけてくる。


「お主が見つかると厄介な事になる。すまぬが、ちと隠れてて貰えないか?」

「それはいいのですが、動けなくて……」


 そういえば、私は鳥なのだった。

 あまりにも普通に会話をしていて忘れていた。

 確かにこの姿を見られたら色々と拙いだろう。


「そうじゃった。時間が無い、これを!」


 そう言って白い布を被せられる。

 傍から見たら、出来の悪い隠れんぼのようになっている事だろう。

 だが時間が無い。

 そうこうする内に、2人が近付いてくる。


「そういえば、私鳥さん拾ったんだよ!しかも、こーんなに大きいの!」

「へー」

「あのバカ……」


 バーバラさんが頭を抱える。

 ローバの前で、果たしてシムとやらから隠しきることは出来るのだろうか。

 2人が入ってきたのが音でわかる。


「チッ。なんだよ、ババアもいんのかよ」

「随分なご挨拶だね、シム坊。アタシが居ちゃまずいのかい?」

「いちいちうぜぇんだよ……」

「ちょっと、2人とも喧嘩しないでよね」


 シムはどうやらローバと同じくらいの歳の男の子のようだった。

 反抗期なのか、バーバラさんに凄い口の利き方をしている。


「で、わざわざ何の用だい?」

「用があんのはローバだけだよ」


 もしかして、シムはローバに惚れてるのだろうか。

 全身布を被っている為表情を見れないが、なんとなく言葉がローバを意識している気がする。

 まぁ、直結厨では無いので断定はしないが。


「あれ?鳥さん?なんでそんな格好してるの?」


 案の定ローバが早速爆弾を落としてきた。


Tips:魔道具職人

【魔導文字】が書かれた、魔力で動く道具を作る職人。その専門性の高さからなり手が少なく、魔道具は高級品である。


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