01-16
恐らく竜に遊ばれた結果もげた左翼。
だが、目の前の老婆はそれを治す方法があると言う。
「どうすれば治りますか?」
「擬翼じゃ」
「擬翼」
義手の亜種か。
しかし、この世界にそんな技術力などあるのだろうか。
「そういえば、自己紹介がまだだったの。アタシは錬金術師であり、魔道具職人でもある、バーバラじゃ」
「クォンタムです。よろしくお願いします」
「今更じゃの」
ご最もだ。
ところで、錬金術師と聞いて気になることがでてきた。
「先程の少女、ローバさんでしたか、彼女は錬金術で私を治療したのでしょうか」
「いや、違う」
違うのか。
「正しくは、錬金術も使って、と言ったところじゃな」
それはどう違うんだ?
バーバラさんはニヤリと笑う。
「あの子は天才だ。錬金術のな。今でこそアタシは師匠の真似事をしているが……直に抜かされる」
「はあ」
「なればこそ、錬金術以外の事を教えにゃならん。それがあの子のためじゃ」
そう言うバーバラさんからは、慈愛のオーラが見える。
そこに、ドタドタと足音が聞こえて来た。
「師〜!ポーション作成終わりました!!」
言葉と共にローバが駆け寄ってくる。
バーバラさんは、穏やかな表情を引っ込め、怒鳴った。
「コラ!話があるからしばらく入ってこないよう言ったじゃろ!!」
「うぅ〜……でも……」
「でもじゃない」
バーバラさんの優しさは、ローバに届いているのだろうか。
幾度となく繰り返されてきたのであろうやり取りを見ながら、ふとそう思った。
◆
なおも続く説教に終止符を打ったのは、第三者の声だった。
「ローバ!!いるー?」
「シムだ。いるよー!!」
「お邪魔しまーす!!」
どうやら見知った仲の子が来るようだ。
恐らく迎えに行くのだろう、ローバが部屋から出ていく。
「まずい」
対して、バーバラさんの反応は劇的だった。
緊張した顔で私に話しかけてくる。
「お主が見つかると厄介な事になる。すまぬが、ちと隠れてて貰えないか?」
「それはいいのですが、動けなくて……」
そういえば、私は鳥なのだった。
あまりにも普通に会話をしていて忘れていた。
確かにこの姿を見られたら色々と拙いだろう。
「そうじゃった。時間が無い、これを!」
そう言って白い布を被せられる。
傍から見たら、出来の悪い隠れんぼのようになっている事だろう。
だが時間が無い。
そうこうする内に、2人が近付いてくる。
「そういえば、私鳥さん拾ったんだよ!しかも、こーんなに大きいの!」
「へー」
「あのバカ……」
バーバラさんが頭を抱える。
ローバの前で、果たしてシムとやらから隠しきることは出来るのだろうか。
2人が入ってきたのが音でわかる。
「チッ。なんだよ、ババアもいんのかよ」
「随分なご挨拶だね、シム坊。アタシが居ちゃまずいのかい?」
「いちいちうぜぇんだよ……」
「ちょっと、2人とも喧嘩しないでよね」
シムはどうやらローバと同じくらいの歳の男の子のようだった。
反抗期なのか、バーバラさんに凄い口の利き方をしている。
「で、わざわざ何の用だい?」
「用があんのはローバだけだよ」
もしかして、シムはローバに惚れてるのだろうか。
全身布を被っている為表情を見れないが、なんとなく言葉がローバを意識している気がする。
まぁ、直結厨では無いので断定はしないが。
「あれ?鳥さん?なんでそんな格好してるの?」
案の定ローバが早速爆弾を落としてきた。
Tips:魔道具職人
【魔導文字】が書かれた、魔力で動く道具を作る職人。その専門性の高さからなり手が少なく、魔道具は高級品である。
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