01-15
「え?」
老婆から爆弾発言を落とされた。
だが、私の感覚では左腕(というか翼)の感覚があるのだが……。
そのことを伝える。
「それは恐らく、森神様のお陰じゃな」
「森神様?」
「《入らずの森》と呼ばれておる森には、神様がおる。それが森神様じゃ」
「はあ」
紅狐様、竜に続き、森神様ときた。
入らずの森の人外魔境っぷりが伺える。
というか、あの森は《入らずの森》と呼ばれているのか。
その割には、よく人と出会うものである。
「恐らく、その紅い毛が、失った翼とのぱすを残しておるのじゃろ、その所為で、感覚があると錯覚する」
「パス?」
「要は魔力の繋がりじゃ、魔力神経と言い換えても良い」
専門用語すぎて混乱する。
もしかして、紅狐様=森神様なのだろうか。
スタフィー大先生が言うにはこの紅毛は紅狐様がくれたものらしいし。
「亜人種だのに、そんな事もわからんのか」
理解が追いついて無いことを見抜いたのだろう、そう言ってくる老婆。
そこに呆れのオーラが追加されることで追い打ちをかけてくる。
正直、亜人種2日目の私に共通認識を説かれても、と思ってしまう。
「すみません、何かと疎くて」
「昨日から急に無知なやつが増えたのよな。ポーションもアホみたいに売れるし……即効性はないんじゃが」
「そ、れは」
「なんじゃ?何か知っておるんか?」
「……いえ、なんでもないです」
危ない、危うくプレイヤーの事を話しかけた。
この世界の住民が聞いても理解できないことである。
この世界のポーションに即効性は無いらしい。
使う前に知ることが出来て良かったと思うことにしよう。
「話が脱線してしまった。翼の話じゃったか」
「そうでした、さすがに隻翼は困ります」
「と言っても、流石にそれを治してやることは……」
ふと、ポロリと私の体から何かが落ちた。
見ると、先程見ていた石碑だったものの欠片が落ちている。
どうやら、あの乱闘のどさくさ溢れて、体に挟まっていたらしい。
「ん?なんじゃ?」
「どうやら挟まっていたようで」
「ちと見てみても良いかの?」
「構いませんよ。私は動けませんので……」
そう。
起きてからそこそこ時間が経ったが、一向に体を動かせる気配がなかった。
そもそも力が入らない。
「動けない?」
老婆は石片を拾うと、それを眺めながらそう聞いてくる。
「ええ」
「……力が入らないのか?」
「それはもう」
だが喋ることは出来る。
我ながら不思議なものだ。
「あの子が何かしたかのう……」
少しして、老婆が石片から目を上げる。
目は剣呑としていて、驚きの色を乗せていた。
見分は終わったようだ。
「何かありました?」
「お主、……これをどこで拾った?」
声まで緊迫したものになっている。
その圧力に気圧されて、私は正直に話した。
「石碑のようなもの、ねぇ……」
「問題があったり?」
「……わからん。わからんからこそ怖い。もし何かが封印でもされていたら……」
「それは……」
一瞬、竜の姿が頭をよぎる。
だが、さすがに関係ないだろう。
あれが封じられていたとしたら、もっとでかい穴が必要なはずだ。
「ま、たらればの話じゃがの」
「そう、ですか」
「石片の方は問題ない。むしろ、これがあればお主の翼を再生できるやもしれんの」
Tips:ポーション
飲むと生命力を一時的に上げ、治癒力を促進する。その効果の性質上即効性はなく、また一度に複数本服用しても効果がない。
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