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SilentRoseQuest  作者: 石食み
第1章
21/33

01-15

「え?」


 老婆から爆弾発言を落とされた。

 だが、私の感覚では左腕(というか翼)の感覚があるのだが……。

 そのことを伝える。


「それは恐らく、森神様のお陰じゃな」

「森神様?」

「《入らずの森》と呼ばれておる森には、神様がおる。それが森神様じゃ」

「はあ」


 紅狐様、竜に続き、森神様ときた。

 入らずの森の人外魔境っぷりが伺える。

 というか、あの森は《入らずの森》と呼ばれているのか。

 その割には、よく人と出会うものである。


「恐らく、その紅い(あかい)毛が、失った翼との()()を残しておるのじゃろ、その所為で、感覚があると錯覚する」

「パス?」

「要は魔力の繋がりじゃ、魔力神経と言い換えても良い」


 専門用語すぎて混乱する。

 もしかして、紅狐様=森神様なのだろうか。

 スタフィー大先生が言うにはこの紅毛は紅狐様がくれたものらしいし。


「亜人種だのに、そんな事もわからんのか」


 理解が追いついて無いことを見抜いたのだろう、そう言ってくる老婆。

 そこに呆れのオーラが追加されることで追い打ちをかけてくる。

 正直、亜人種2日目の私に共通認識を説かれても、と思ってしまう。


「すみません、何かと疎くて」

「昨日から急に無知なやつが増えたのよな。ポーションもアホみたいに売れるし……即効性はないんじゃが」

「そ、れは」

「なんじゃ?何か知っておるんか?」

「……いえ、なんでもないです」


 危ない、危うくプレイヤーの事を話しかけた。

 この世界の住民が聞いても理解できないことである。

 この世界のポーションに即効性は無いらしい。

 使う前に知ることが出来て良かったと思うことにしよう。


「話が脱線してしまった。翼の話じゃったか」

「そうでした、さすがに隻翼は困ります」

「と言っても、流石にそれを治してやることは……」


 ふと、ポロリと私の体から何かが落ちた。

 見ると、先程見ていた石碑だったものの欠片が落ちている。

 どうやら、あの乱闘のどさくさ溢れて、体に挟まっていたらしい。


「ん?なんじゃ?」

「どうやら挟まっていたようで」

「ちと見てみても良いかの?」

「構いませんよ。私は動けませんので……」


 そう。

 起きてからそこそこ時間が経ったが、一向に体を動かせる気配がなかった。

 そもそも力が入らない。


「動けない?」


 老婆は石片を拾うと、それを眺めながらそう聞いてくる。


「ええ」

「……力が入らないのか?」

「それはもう」


 だが喋ることは出来る。

 我ながら不思議なものだ。


「あの子が何かしたかのう……」


 少しして、老婆が石片から目を上げる。

 目は剣呑としていて、驚きの色を乗せていた。

 見分は終わったようだ。


「何かありました?」

「お主、……これをどこで拾った?」


 声まで緊迫したものになっている。

 その圧力に気圧されて、私は正直に話した。


「石碑のようなもの、ねぇ……」

「問題があったり?」

「……わからん。わからんからこそ怖い。もし何かが封印でもされていたら……」

「それは……」


 一瞬、竜の姿が頭をよぎる。

 だが、さすがに関係ないだろう。

 あれが封じられていたとしたら、もっとでかい穴が必要なはずだ。


「ま、たらればの話じゃがの」

「そう、ですか」

「石片の方は問題ない。むしろ、これがあればお主の翼を再生できるやもしれんの」


Tips:ポーション

飲むと生命力を一時的に上げ、治癒力を促進する。その効果の性質上即効性はなく、また一度に複数本服用しても効果がない。


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