√IF-XX
前話までにもTips載せるので良かったらもう一度。
「……ん」
ホワイトアウトした視界が元に戻る。
無事に、ゲーム世界に入れたらしい。
あたりは緑に囲まれているが、遠目に街の門らしきものが辛うじて見える。
どうやらここは街間の道のようだ。
直接街中に転送しなかったのは、突然人が現れると現地人が混乱するからか。
「さて、まずはステータスの確認からかな」
街に行くにしても行かないにしても、現状を把握しないことにはどうしようもない。
行動指針を建てるためにも、確認は必至だった。
〈ステータス〉
名前:クォンタム
人種:亜人種【鳥種-鴉カラス】(人化)
性別:男
年齢:19
存在値:Lv.1
異形度:9(4)
称号:【亜人、始めました】
職業:――
〈スキル〉
【魔導文字】Lv.1【身体強化】Lv.1【人化】Lv.1
〈称号スキル〉
【亜人種知識】
〈技能〉
【精神耐性】70【痛覚耐性】70【演技】50
Pt:300,選択してください
〈所持金〉
5,000 C
「……これ、ランダムで【人化】引いて無かったら最悪詰んでたな」
どうやら【人化】スキルは異形度を抑える事が出来るものらしく、使用中のみ異形度が4換算されるようだ。
因みに、異形度9がどの程度かを確認してみた所、全身鳥になった。体の動かし方も本来の人体とは大きく異なるようで、1歩踏み出すだけでも一苦労。
しかもご丁寧に髪色が体毛扱いされるらしく、全身が白銀に輝いた時は流石に目眩がしたものである。
ランダムはある種の博打感覚で、別に使えないスキルが来てもいいと思っていたが、亜人種、特に高異形には【人化】は必須スキルだった。
という訳で、【人化】を使用した状態で、街に近付く。
門の前で何人かの人が並んでいるので、思ったよりも防犯感覚はしっかりしているのかもしれない。
まだ最初の街なので、何も分からないが。
「次」
しばらく待つと準備が回ってくる。
待っている間、他の人たちがザワついていたが、何かあったのだろうか?
軽く周囲を見渡してみるが、特に変わったものは無い。
驚きや恐怖、嫌悪のオーラが見えていたんだが……。
「……っと、いや済まんね。ここまでしっかりさらけ出してるのを見るのは初めてだからな」
「……何のことでしょう?」
「あ?お前さん、亜人種だろ?あんま言いたくねぇが……その顔だと色々不便だぜ?」
「顔?」
「おいおい、本当に大丈夫かよ。異形度進んじまってるんだろ?顔が鳥になってる」
「……え?」
「亜人種は異形度が上がると魔獣化が進む……ってこれ、常識なはずなんだが」
「……そう、なんですね」
「ッチ、しゃーねぇ、ちとボロいが、このローブ被ってけよ」
そう言って、衛兵は少しくたびれたローブを渡してくる。
「え」
「ま、その顔で問題でも起こったら大変だろ、お互い」
「おい、ケインズ、また無駄話しやがって、あとがつっかえてるだろうが!!」
突然、奥から声がかかる。
が、いつもの事なのか、ケインズと呼ばれたローブを渡してくれた男は飄々として、
「通行料200C,確かに」
と大きな声で言った。
「え、いやまだ払ってないんですが、それにローブのお礼も」
「いいんだよ、人間助け合いだ、俺がもしなんかで困った時に、兄ちゃんが助けてくれればいい」
小声でそう話す彼の表情はとても晴れやかで。
立ち上る“好意”のオーラに、この人は絶対にいい人だと確信した。
――ああ、このゲームを始めて良かったな。
「ようこそ、エドバンズへ」
◇
「……」
クォンタムや、その他プレイヤーでは絶対に立ち入れない場所。
ゲーム管理AI、【■■】は、自身がシュミレートした結果を写したモニターを前に震える。
「まずい……完っ璧変わっちゃってる……」
また別のモニターでは、彼の深層意識から読み取れた精神的外傷が1つのシーンとして映っている。
「このままだと……良くて人類滅亡?悪くて……」
最悪の想像をしてしまい震える光球。
その震えは恐怖から来るものなのか、歓喜から来るものなのか。あるいはどちらでもない何かか。
何にせよ、光球が何を想像したのかは、誰も知り得ない事だった。
Tips:〈管理AI〉-01
このワールドシュミレーターとでも言うべきゲームは、その特殊性により、“ゲームとして運用出来るようにする”為のAIが複数体存在する。彼らは〈管理AI〉と呼ばれ、別ゲームで言う〈GM〉と呼ばれるものと近い働きをする。
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