表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/14

その13

 事態を整理しようと言い合ったものの、探偵事務所の面々は、何をどう整理したらいいのかもよくわからない、というのが正直なところだった。


「今までのことを整理すると、何かが起こった時に全力で対処するしかない、に尽きちゃうというか…」奏子が考え込む。

「そうですね。未来が多少読めたところで、結局は何かしらしないといけないわけですし」史緒が頷いた。

「それって特殊な力があってもなくても同じだよね」恭介が言う。

「話が終わっちゃうわね。すっきりしないわ」苦笑いする真里菜。


「探偵事務所員ではない若者たちの意見を聞いてみては」

 充が言うと、咲耶が手を上げた。

「はい、咲耶ちゃん」紗由が言う。

「将来のことはよくわかりませんが、幸せなお嫁さんになれれば、それでいいです…」頬を赤らめる咲耶。

“今、それ?”内心思う探偵事務所の面々。


「では、まーくん」すがるように聖人を見つめる紗由。

「僕はどちらかと言うと、サイオン・イマジカの跡継ぎとして考えなくちゃいけないことのほうが多いと思うし…今の時点で“命”システムとか、その未来とか、特に考えてはいないな」


「なるほどね。まこちゃんは?」

「私は、おいしいししゃもが食べられて、充くんの居酒屋さんで、お客様にもおいしいのを食べてもらえたら、それでいいです。正直、自分の力にもあまり興味ありません」

「そっか…では、次。華音ちゃん」

「私、悠ちゃん以外、興味ないです」

“うわあ。強制終了した…”内心思う探偵事務所の面々。


「うーん。あと、若手というと…悠斗くん、凛くん、星也くんかしらね」

「そう言えば、凛くんて、赤ちゃんの時以来、あまり会ったことないわよね」真里菜がつぶやく。

「不思議な感じはしていました」史緒が言う。「うちなどは同じ京都ですし、もっとお会いする機会があってもよかったように思えるのですが…」

「そうよね。一条って京都のグループに属してないわけでしょ? 石の一門同士で、奏子ちゃんちと組んでる扱いになるの?」

 真里菜の問いに充が答える。

「伊勢への届けだと、四辻、久我、有川、花巻でグループという形になっているようで」

「へえ」


「私が小さい頃は教育係をしていただいたけど、ここ何年かは一条の“命”自体とお会いすることもあまりなかったわ」

「つまり、まとめるとこんなところかしら」腕組みする真里菜。「京都も関東も、それぞれにグループ化が進んでまとまりが出ているのに、一条だけ浮いていて謎が多い」


 その時、龍が紗由に声を掛けた。その後ろには翔太の姿が。

「紗由、僕とおまえは別のヘリで帰るよ。みんなに挨拶して」

「…はい」


 井戸の周りに集合している一同に紗由は告げた。

「これにて解散とさせていただきます。私の試験の一端にお付き合いいただき、ありがとうございました」

 紗由は深く頭を下げると、龍と共にヘリコプターに乗り込んだ。


「翔ちゃん、あっちのヘリにも乗らなかったわね」

「おばあさまと話がしたいって言ってた。車で行くんだろう」

 龍は窓の外を見ながら言った。


  *  *  *


 華織は、翔太に紅茶をすすめると、自分も一口飲んだ。

「そろそろ来てくれる頃だと思っていたの」

「ご近所なのに、ご無沙汰してもうて、すんまへん」

「いいえ。大学が東京だし、紗由のお守りで忙しそうだもの」

「あはは」


 華織は、もう一口紅茶を飲むと、翔太に向きなおった。

「お話、聞かせていただけるかしら」

「では、西園寺保探偵事務所の一員として、僕の推理をお話させてもらいます」

「ええ」


「今回、青龍さまが伊勢に戻ること、新しい青龍さまがお生まれになったこと、一条と西園寺の貸し借り問題、そして紗由の命宮試験。いろんなことが重なったように見えたわけですが…」

「わけですが?」微笑む華織。

「全部、つながっていたんだと思います。計画通りというか」

「計画…」


「うーん。ちょっと、うまい表現が見つかりませんな」翔太が考え込む。「要は…一見、よろしゅうない事態も組み込み済みいうことです」

「誰が組み込んだと?」

「もちろん、華織はんです」


「なぜ、その結論が?」笑う華織。

「我々に、中途半端に優しいからです」

「…うかがいましょう」


「さっき、探偵事務所の面々が出した結論は、何かが起こったら、皆で力を合わせて、その度対処するしかない、でした」

「それはそうね。どんな人でも生きていればそう」


「ですが…我々にしんどいこともありながら、ええ塩梅にバランスが取れているんです。西園寺が攻撃される度、皆の絆は強くなり、力も強くなる。さらに反西園寺から攻撃を受けることになり…誰のため、何のためにやろかと思いました」

「その答えは?」


 問われた翔太は、紅茶を飲み干すと、答えた。


  *  *  *



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ