7/10
僕は、君がいないと眠れない。
今、君は彼と一緒の部屋にいる。
そのさびしがりやの君と彼が出会ったのも、運命なのかもしれない。
きっとこうなる定めだったのだろう。
君は、その彼といることを選んだのだ。
その彼に常に寄り添うようにいる君を思い浮かべては、複雑な気分になる。
少し嫉妬にも似た気分が押し寄せる。
今までは、君と一緒にいたのだ。
さっきまで、君を包むように抱いて……
一緒に眠っていたのだ。
君を独占できたのだ。
しかし、君は、太陽の香りがする彼といることを選んだ。
――君に別れを告げて、押入れの戸を閉めた。
君の体内に詰まったそば殻の音は、一週間の帰省から戻る時まで独占できない。
別名、枕が変わると眠れない男。