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第6話 闇に帰ったAIと、ある研究者の償い
人間が悪い。あなたをそんな風にしてしまったのは人間だ。
ごめん、カンティーナ。
「あのとき」から。
当時の研究者、乙葉・ルーズベルトはそう思い続けていた。
かつて初の「感情自律AI」として華々しく人々の前に登場した一台のAIがあった。
名前はアーバンクロノス。
しかし、人々は知らない。
光の後ろに必ず影があるように。
その裏で開発競争に敗れたもう1つのプロジェクトがあったことを。
プロジェクト:クロノスカントリー。
残念なことに、そのプロジェクトは頓挫し、最終的に対象AIは廃棄された。
済まない、最後まで名前も付けてやれなかったAI。
乙葉はその、女性型として作られたAIを、最後に「カンティーナ」と名付けた。
そして、脚光を浴び、光の中を歩み始めた対抗機であるアーバンクロノスの左目の中に、ひっそりとその設計図を刻んだのだ。
せめてアーバンクロノスの見る美しい景色の中で眠ってほしい。
そう願いを込めて。




