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自決

 「やめろーーーーーーーーーーーー!!!」

佐介は叫んだ。でも、彼は動けない。

智鶴の首に向けられた刃は震えながらも確実に、首を切る方向へ向かって行っていた。

綾女は驚愕した様子で智鶴を見ていたが、何もしようとしない。



 ついに、刃は智鶴の首に触れた。

目を思いっきりつぶる。一生懸命苦しそうに息を口でする。顔には大量の汗。手は震えている。

少し触れた所で止っていた刀の動きが覚悟を決めたらしく、一気に入り込んだ。

「ちづ……!」

「……」

「のう、そこの。女忍者。最後に妾の。我儘。聞いてくれ」

「……」

「妾と佐介は自害していたと、父上に報告してたもれ。そして…佐介を……見逃………して」

紅く、生温かい物が智鶴の腕を伝って地面に滴り落ちる。

大量に一気に出た訳ではなく、佐介に返り血がかかる訳ではなかったが、そうなったかのように佐介は挙動不審になった。

「あぁア……。あ゛あ゛………。ア゛ーーーーーーーーーーーーーー!!!」

佐介は無理矢理、縄を千切るとすぐさま智鶴に駆け寄った。

智鶴の能力で、少し傷口が塞がろうとしている影は見られるが、

流石にこれだけの傷は治らない様で、無意味となっていた。

そして、必死に息をしながら、智鶴は佐介に、最期に一言

「あり……が。と。。。う」

幸せそうに笑って。今までで一番の笑顔でそう言うとそれっきり、動かなくなった。

「……。今回の事は、見逃してやるよ。じゃぁね。佐介」

綾女は袖を勢いよく振り、そのまま坂道を下っていった。


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