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ISMRhythm  作者: Uranus
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自由主義

 あそこには、球を求めている部員の行列がある。

 そこには、頼りない顧問が立っている。

 ここには、軍隊のような規律がある。

 どこに、目指したユートピアはある?


 結局この部活は、三年生が引退して部長が変わるまで、なにも変えることができなかった。


 新たに部長になったユウタが、三箇条の方針を出した。

1自由にのびのびとやること

2でもサボらないこと

3言いたいことははっきりと言う事


 ワイマール憲法みたいに民主的。でも、きっと、ナチスが台頭したように、新たな独裁が生まれるのだろうな…。


 しかし、そうはならなかった。ただ、自由が崩壊したことに変わりはない…。


 「ユウスケ先輩、俺らはどうすればよかったんですかね?」

ユウセイが聞いてきた。最近ようやく知ったんだけど、こいつ後輩らしい。

 「この部活に入らないで、人数不足で廃部させたらよかったんじゃねえの?」

俺っちの投げやりな回答に、彼は不愉快そうに眉をひそめる。


 「なんでこうなったんですか?」

また聞いてくる。

「じゃあ説明しよう。部外者から見たこの事象を。」

俺はノートを広げた。


 まず、球を求めて部員が並んでいる件について。これは副部長のユメのせいだ。


 「ピンポン玉は部のもの!誰かが独占してはいけない!よって、球当番を設け、みんなに適切な量を

分配していく!」


 なんて社会主義みたいなことしたせいで、球を分配するところは常に配給待ちで列ができている。

 また、分配が上手くいかずに不足することも。


  次に、頼りない顧問、ユリア先生が立っている件について。これは副キャプテンのユウキのせいだ。


 「顧問の権限を強めます!ろくな態度をとらないと、怒られます!」


 なんて言ったはいいが、顧問が新任なので信頼が薄く、結局天皇陛下みたいなポジションになっている。                          まあ、揉め事が起きたときに解決してくれることも、ないことはない。

 しかし、王は君臨すれども統治せず、じゃないんだよ…。


 最後に、軍隊みたいな規律ができた件について。これはキャプテンのユウのせいだ。


 「応援の音圧が足りんのだ。だから、応援は試合と同じくらい本気をだすべし。あと、指示されたあとの返事の音圧が足らんのだ。だから、練習と同じくらい力を入れるべし。あと…(同じようなことなので以下略)」


 とか言ったせいで、今まで以上に明確に縛られてしまった。ユウタが自由な環境を目指しているのに、これでは元も子もない。

 でも、自由しようとか言いたいこと言おうとか部長のユウタが言った以上、このきまりを否定することはできない。


 「はい、これが俺っちから見たこの部活。改めて整理するとやばいねえ。」

ユウセイは俺っちを軽く睨んで

「全部先輩が考えた案が元じゃないですか!」

と言う。


 「ま、まあ。一番客観的に見れる立場だから、提案はしたけど、そこまでしろとは言ってないし…。」

痛いところを突かれた…。


 「あ!先輩、もう5時半ですよ。そろそろ支度したらどうですか?」

おっと。帰って晩御飯食べてクラブチームに行かないと。


 「おう!ありがとな、ユウセイ!」

俺はこういう風に縛られたくないから部活に入らず、クラブチームに所属したのだ。

 それは全体で強くなろうとかというよりは、個人が強くなろうみたいな感じだからな。


 「あ、帰る?バイバイ!」

ユウタはニコニコして俺っちに手を振る。その笑顔に陰りが見えたのを、見てみぬふりをして手を振り返す。


 そして、俺っちは制約だらけのそこから立ち去る。

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