第10話「公爵令嬢のスキル」
名前 カルラ・ブロッコリー
パラメーター
年齢15歳(10歳開始)
体力170
魔力170
魅力120
権力200
知力150
財力180
スキル
日本語、公用語、算術、一般常識、死への忌避、怒る、恥じる、怖がる、道具箱、原作知識青、原作知識赤、破滅の運命、破滅願望、凌辱願望、佳人薄命、殺人姫
『こんな感じ』
『……つっこみどころが多すぎて意味がわからねえ』
『私もそうだったよ。だから今まで黙ってたんだけど、まず注目すべきはパラメーターの高さだね』
僕はざっとパラメーターに目を通した。
なんじゃこりゃ。
すべてのパラメーターが100オーバー。
権力だけでも初期ポイントを全部消費する計算になる。
全部合わせると必要ポイントは……えっと、390?
『どーやってこの量のポイントをひねり出したんだ?』
『スキルの力だよ』
『スキルは取れば減るんじゃないのか? ああ、初期ポイントを500増やすレアスキルとか?』
『そんな感じ』
妖精さんはそこで言葉を止め、僕をじっと見つめた。
『たとえば君の場合、おそらくパラメーター増加効果のあるスキルを発掘できるレアスキルを持っていたはず』
『……まあな』
僕は消極的に肯定した。
「パラメーター増加効果のあるスキルなんて20もないから、5個以上取ってる君はほとんど変態と言える。ランダムの範囲を超えた偏りだ』
『そうなのかもしれん』
僕はてきとうにうなずく。
しかし、なるほど。
ほとんどのスキルにはパラメーターの増加効果がないのか。
設定勘はくじ引きの当たりだけを選んで引く力があったということだな。
うむ。
我ながらチートである。
『で、カルラの場合』
『ああ』
特に追及するつもりはなかったらしく、妖精さんはさっさと話を進めた。
『彼女はおそらく、初期ポイント増加効果のあるスキルを発掘できるレアスキルを持っていたんだよ。だからあんな狂的なパラメーターになっている』
『なるほど』
『ただ、これは完全な諸刃の剣になる。初期ポイントが増えるのと引き換えにリスクも増える。そういう性能のスキルを取っている』
『リスクとは何だ?』
『それは……まあ、見た方が早いね』
妖精さんは魔法のステッキをふるい、紙に文字を描き出した。
スキル 破滅願望
詳細説明
キャラクターメイキングの記憶を失います
初期ポイントが確認できなくなります
ステータスが確認できなくなります
スキルを任意発動できなくなります
危険の中に身を置くことについて、恐怖心が減ります
スキル 破滅の運命
詳細説明
30歳までに死亡する原作キャラクターに憑依します
危険なトラブルに巻き込まれやすくなります
原作の流れを壊すことで回避可能です
スキル 凌辱願望
詳細説明
異性から犯されることを望むようになります
性癖の一つです
義務としては存在しませんが、常にその欲求にさらされます
スキル 佳人薄命
詳細説明
30歳までに死にます
25歳あたりから死亡リスクが跳ね上がります
子供を産むことで死亡リスクが跳ね上がります
処女を守ることで死亡リスクが跳ね上がります
容姿を醜くすることで回避可能です
スキル 殺人姫
詳細説明
2代魔王の天才性を受け継ぎます
『……なんだこりゃ』
『うん、わかるよ。まったくなんだこりゃだよね』
『この凌辱願望ってのはなんなんだ? レイプされると喜ぶのか?』
『最初に食いつくのがそこなの!?』
『何言ってんだ。すべての情報の中で最も重要だろ。あのカルラで神鳥きららだぞ。クラスの男なら全員それを気にする』
『男はみんな滅びればいいと思う』
妖精さんはしみじみとつぶやいた。
『凌辱願望は……まあそのままなんじゃないの? レイプされると喜ぶ』
『なら、僕がやってもいいわけだ?』
『それはどうだろう?』
『なにか問題が?』
『あの子、たぶんまだ処女だよ。公爵令嬢だから立場もあるし。喜んだあとで打ち首とか、ようするに欲求と行動とはまた別って話なんだけど』
『ちっ、そうかよ』
僕はいまいましく舌打ちした。
なるほど。
凌辱願望があるからとりあえず喜びはするが。
内心では喜びつつレイプ魔を糾弾してきっちり処刑はすると。
つまりはそういう話か。
『もともとカルラには親衛隊が常についてるからね。処女を捨てたくても捨てられない立場なわけ』
『気の毒な話だな』
『気の毒って……まあ、ある意味そうかもね』
『機会があれば対策を考えておこう』
『対策って……あの、わかってる? 君が死んだら私も死ぬんだよ? 間違ってもカルラをレイプとかしないでね?』
『努力はする』
『ほんとにやめてよね!?』
半泣きで懇願する妖精さん。
必死だな。
いや、僕もべつに死にたいわけではない。
お互いが合意の上で、弱みを握って話されたくなければ、みたいな。
そんな感じの流れに持っていこう。
きっと成功するはずだ。
『ま、まあもうこの話題は終わりってことで。あんまり知りたくもない性癖の話とかしたくないし』
『これだから妖精脳は。僕たちは動物だぞ』
『人間は万物の霊長でしょ!?』
『そんなものは付属品だ。理性は理性として、動物は動物として矛盾なく存在している。動物の部分だけを切り離しては生きられない」
『私はそーゆーのが嫌いだから妖精になったんだよ!』
『お前はそれでもいいさ。僕に強要するな。僕は僕だ。僕の都合で楽しむ』
『うわあああ、ひどいマスターに当たっちゃたよう』
妖精さんは頭を抱えてふらふらした。




