Y-00
かなり短いです。最短ですかね。
胸の奥がズキリと痛い。最低な嘘をついた後ろめたさからきているのか。
いつもなら冗談のようなすぐにバレる嘘をついてふざけていたから、あんな風な嘘をつくときは少しだけ抵抗はあった。けれど行うしかなかった。誰もユウの目の前で悲しまない、誰もこれ以上ユウの目の前で傷つかないようにするにはこれしかなかったのだ。
「どうしたのユッくん」
ユウを『ユッくん』と呼んですぐ隣でベッドに腰かけているのは、あの日からずっと目を開けてほしいと待ち焦がれていた少女だ。頂頭部には小ぶりの角が生えていて、色素の薄い青色の髪の隙間からユウの顔色を伺っている。
「なんでもないよ。それより──」
ユウはその少女の長い髪を一房掴み取る。目覚めてからすぐシャワーを浴びており、きちんと手入れをしたのかスルスルとして触り心地が良い。
「髪切ろうぜぃ……半年寝てただけで伸びすぎだろ」
「えへへ……そうする」
そう言って彼女はもう一人の自分であるレイヴンの元へと向かっていく。最近レイヴンの部屋で隠れ住んでからというもの、何でも器用にこなせてしまうレイヴンが少し羨ましかったりする。
ふと指先から砂が落ちるような感覚がした。見下ろしてみると、小さな砂溜まりができている。ユウはそれを足で振り払った。
「……どのみち、もう限界か……」
それでもやるべき事はちゃんとやっておかなければ。解決すべき問題は何一つとして解決してはいないのだから。




