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第七十話

 セルペンテと暫くの間たわいない話をした後、ルイーナは彼の部屋を出た。

「俺も調べるか………」

 この森で確認された魔力は、アマラの魔力を受け継いだルイーナにとっては以前よりも近く感じられた。

だから、今ならその感覚を頼りに何か分かることがあるのでは?

と考えついたルイーナは、森へと調査へ向かうことにした。

 森はただ見るだけなら、自然本来の美しさを楽しめるだろうが、ルイーナの目には全く別のものに見えた。

「馴染んだせいか良く見えるな」

 アマラの魔力を受け継いだその日は、まだ彼女の魔力がルイーナの魔力と混ざり合っていなかった。

だが、アマラの魔力とルイーナの魔力が完全に馴染んでから森にある魔力の違いが火を見るより明らかだった。

 森の中を漂う、セルペンテと見たあの暗黒と称される程の黒紫色の魔力。

見ているだけでも不安や恐怖といった負の感情が、自身の内に流れ込んで来るようだった。

「先ずは………、この魔力の流れに付いていくか」

 ゆらゆらと揺蕩うソレの続く先へと意を決したルイーナは歩を進めた。

それは道なき道を揺蕩い、果ては湖の上や木々を転々としていたりと様々な場所で見つかった。

中でも、どの場所よりもその魔力が色濃く出ていたのは、アマラと出会った洞窟の周辺だった。

そこを詳しく調べていくと、周囲の草木が枯れ色の無くした場所があった。

そして、洞窟の入り口に積んであった骨の山にもその魔力が染み付いていた。

「何でこんなに…?その原因の何かがこの骨の死因に関わってるのか?

でも、コレには彼女の魔力もあるしなぁ……」

 魔力は術者が死んでも残る。

だが、アマラの魔力は僅かでソレを呑み込まんばかりにあの暗黒と称される程の魔力がその骨や枯れた草木に纏わりついている。

「せめて骨じゃなければもっといろんな事が分かったかも知れないのに……」

 死体ならば調べられるものの幅は格段に上がる。

だが、骨となってしまっては死因が何かしらの魔法攻撃のせいか、それとも魔力による何かが原因なのか分からない。

 ルイーナがルイーナとなる前の世界であれば、白骨化した遺体の状態で死後何年がたっているか、何が白骨化していたのか特定できただろう。

だが、その知識も技術も一介の刑事であった彼にとっては見た事はあるというものでしかない。

 それに、この世界には現代に無かった魔法が存在する。

そんなものがあれば、生物を骨にするなど他愛も無いのだろう。

だがそれでも、魔法に頼り切りのこの世界に現代の技術があれば分かることもあっただろうと思ってしまう事は仕方の無い事だった。

「取り敢えずはこのくらいか」

 枯れた草木の状態や周囲の状況、考えられる可能性を手帳に書き込み、白手袋を嵌め枯れた草木や土、骨の小さな欠片や周りに散っている物も袋に詰め採取し終えたルイーナは、ふう…と無意識に張り詰めていたらしい息を吐いた。

 そして先程採取した物を入れた鞄から、今度は小さなスコップを取り出した。

草木の枯れていない、緑豊かな場所でルイーナは手に持ったスコップで穴を掘り出した。

小さくも深めの穴はルイーナの両足が嵌まる程の大きさだった。

「ごめんな。

どうか安らかに……」

 その穴に骨を埋め、上から優しく土を被せたあとにルイーナは両手を合わせ黙祷した。

神の愛娘であるルーチェであれば、完璧に骨に纏わりつく魔力を浄化できただろうが、光の魔力を持たないルイーナでは、こうして土に埋めて祈る事しかできなかった。

申し訳無さと、原因を突き止めなければという使命感がルイーナの中で強くなった。

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