1話
「おい、知ってるか相棒!?今日転校生が来るらしいぜ!」
ガラガラ!!
と家の扉を開けるようにして教室の扉を勢いよく開かれ、
赤髪のゴツい男、赤道大助が教室に入るなり一際大きな声で言った。
ここはお前の家じゃないんだよ。扉が壊れたらどうすんだ。
と、心の中で一応突っ込んでおいたことをここに記しておく。
「知ってるも何も今その話をしていたところだよ。
ほら、あそこを見てみなよ。新しい机があるだろう?」
そう言って指をさしたのは教室の1番後ろに存在する無人の席。
一学期前まではなかった席だ。
「噂によるとチョー綺麗らしいしー。
ウチらまじ期待大だわテンションアゲアゲ〜」
席の上に座り、今にもスカートからパンツが見えそうで見えないギリギリのラインを保つ
この少女の名前は榊葉美里、見ての通りギャルである。
馬鹿そうな発言をしているが皆さん、騙されないでほしい。
彼女は学年一の成績の持ち主であり、全国模試でも一桁台常連の天才美少女ギャルなのである。
故に彼女が日常でとっている馬鹿そうな行動は全て計算の上である。
では、何故彼女はそんな周りくどいことをしているのだろうか。
それは周りの目から見ても目前である。
だって…目がハートだもん。いや、本当に。
そして俺は、
そんな彼女に好かれ、赤道に相棒と呼ばれており、
運動神経大、サッカー部のエース。
学問も学年で2位3位の争いを広げている、
ニヒルな笑顔を浮かべる爽やかイケメンの岩原隼人
…………………………ではなく、その光景を彼らにバレないように机にふせてじっと観察している
ぼっち、若山翔斗である。
ややこしかったから改めて自己紹介をしよう。
俺の名前は若山翔斗。現在進行中でぼっちを極め続けている男である。
趣味はゲームかラノベを読むことだ。
運動はあまり好きではなく、部活は素晴らしくストレスフリーな帰宅部に所属している。
彼女は存在せず、休み時間中も頭を伏せて寝ているぼっち界の鑑のようなぼっちだ。
ん?さっきなんであんな回りくどい紹介の仕方をしたのかって?
答えは単純、羨ましかったからである。
よく考えてみてほしい。
百年に一度の天才美少女に好意を抱かれ、スポーツ万能少年に相棒と呼ばれるような仲にある。
…………うん、妬みしかない!
もしあそこに立っているのが俺であれば!という妄想は何回しただろう。
だが現実自分は高校デビューに遅れ、
ぼっち回線に身を翻しリア充の彼を横から指を咥えて見ている生活。
うん、妬みしかない!!
あまりにもの憎さにもっぱら授業中は
リア充爆破しろ、てか○ね
と頭の中でリピート再生しているのだが、その願いが叶うような出来事は何も起きていない。
やはりこのような時に神は理不尽だなどと神を恨んだりすると
何故か帰り道にバナナの皮に滑って転がる羽目になるのを何度も体験してきたので
俺はもうそんなことは考えない。
「おはよう。」
おっと、そんなことを考えている間に数学の教師であり、
俺たち1年B組の担任のおじちゃん、
坂田先生が教壇についている。
入学初日はカツラをつけていた彼だが、
自己紹介の時に風にカツラをすっ飛ばされて以来
全てをさらけ出す方針にしたようだ。
先ほどまで馬鹿騒ぎをしていたリア充三人組もいつのまにか席に着いている。
いつのまにチャイムが鳴ったんだ、考えていて全然気づかなかったぞ。
「どうやら、既に皆に知れ渡っているようだな。
今日からこのクラスに仲間が1人増える。」
そう言って坂田先生は教室のトビラをガラガラと開ける。
「「うおおおおおおおおおお!!!!」」
扉の向こうから転校生が姿を現した途端、
クラス内は歓声に覆われた。
中にはスタンディングオベーションまでしている生徒もいた。
前の席のヤツらに遮られ姿が見えないのだが‥‥‥
何をそんなに騒いでいるんだ。
「座らんかお前ら。」
先生の号令で渋々と席に着いていく生徒たち。
そして、転校生の姿が見えた。
「初めまして、今日からこのクラスでお世話になる
アリスターです、よろしくお願いします。」
「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ」
艶々した濁りのない金髪に幼げの残った可愛い顔で
微笑んだ天使を見た生徒たちは浄化されて行った。




