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5話 令嬢のように笑いたい

この回だけヒロイン視点です

【根倉視点】



 高幡くんと別れて家に帰ると、何時ものように二匹の猫が出迎えてくれた

何時もなら構い倒すのだけど、今日の私は気持ちがフワフワしていて、それ処ではない

張り詰めていた緊張が解けて、口角が緩んでいく


「にゅふっ……にゅふふふふふふふふふふふ」


 ドン引きして距離を取る猫達を残して自室へと向かいドアを開けると、止まらない笑みを浮かべたままベッドへとダイブした


「告白されました……告白……それもクロカンブッシュの前で…………にゅふふふふふふふ」


 嬉しい!嬉し過ぎて顔が崩れそうです!

今日は朝からクラスメート総出でお洒落されられましたけど、まさか告白されるとは思いもしませんでした


 出掛ける際に友人から「うん上出来、これなら高幡もイチコロね」と言われて、慣れない服や化粧も相まって、ガチガチに緊張してしまいましたけど──結果は大成功ではないですか!


「でも断ったわよね」

「何故振った、理解に苦しむ」


「なっ……なんで居るんですか!」


 突然の声にびっくりして起き上がると、友人二人がお母さんに入れてもらって待っていたと言いつつ、呆れ顔で私を見ていました


「私達が居るのに気付かないなんて、どれだけ玲奈は浮かれてたのよ」


 ため息でもつきそうな言い方をしているのはハル(あだ名)、髪をボブカット風に肩まで伸ばしているスタイルの良い美少女で、友人その1です


「お断りした告白をそんなに喜ぶなんて……もしかして、玲奈はドS」


 無表情に毒を吐いているのはユキ(あだ名)、ショートカットが似合い過ぎる、小学生男子のような見た目と体型の、ハルとは対照的な美少女の友人その2、今日も短パン姿が似合い過ぎています


「あの、なんでお断りした事になってるんですか?」


「え?あれ盛大に振ったんじゃなかったの!」

「うわぁ……高幡かわいそう」


「というか、何で知ってるんですか?お店には居ませんでしたよね?」


 私がお店に入ってすぐに店長さんがお店を閉めたので、他にお客さんは居なかったはずです

そう思っていたら、ハルが携帯を操作してこちらに向けました


「クラスの連絡網に玲奈が高幡を振っている動画がアップされてたからよ……高幡が上げたみたいだけど、真意が分からないわ」

「きっと高幡はドM、ドSの玲奈とお似合い」


「動画ですか?」


 ユキの毒舌をスルーして携帯を見ると、クロカンブッシュが乗っているテーブルで私と高幡が見つめ合う写真とその動画が表示されていました

え、いつの間に撮られてたの?と、半ば放心したまま携帯を受け取って再生を押すと

【「根倉、彼氏と別れて俺と付き合ってくれないか」「え……あ、あの…………ごめんなさい!」ガゴン!】

私が謝って高幡くんがテーブルに突っぷくする所で終わっていました


 あー、ここで終わっていたら誤解しますよね


「ここで謝っていたのは別件で、この後ちゃんと理想の男性になれたらお付き合いをすると言いましたよ」


「そう、それなら……理想?」

「嫌な予感がする、玲奈の理想って何」


「ハクセンの八百万くんです!」


「「……」」


「……あの、無言でジト目になるのは止めて下さい」


「それ玲奈がハマってると言ってたアニメよね?あんたバカなの」

「高幡が可哀相、今本気で同情した、寄りにも寄ってこんな女に惚れるだなんて」


「ちょっ、そんなに変ですか!私的には精一杯譲歩したつもりなんですけど」


 他にも推しキャラがいる中で、一番日常系のキャラを選んだのですからね

神様系や超常系や擬人化系のキャラはどうやっても無理でしょうから


「玲奈ってたまに思考が異次元よね」

「それに対して高幡は何て返事した?まさか理想に近付けるよう頑張るとか言った?」


「えーと、常識がデッドボールだと言われました……で、でも、その後は楽しくお喋りしましたから!」


「どう思う?私はもう無理ゲームオーバーだと思うんだけど」

「月曜日にフォローする、とりあえず「げへへへへ」と笑いながら告白されたのを喜んでいたと伝えれば、最悪は防げる」


「げへへへへとか笑ってません!」


 うふふと令嬢の如く爽やかに笑っていたはずです


「まーいいわ、とりあえず今はやれることをやっときましょう」

「ん、玲奈正座」


 腕組みするハルと床を指差すユキ……えっと、もしかしてこの流れってお説教ですか?怒られる心当たりがないのですけど


「もう仔猫関係なく、玲奈には一般常識を覚えてもらわなくっちゃね、流石に高幡があわれよ」

「うん、このままだと玲奈は一生恋愛出来ない」


「ちょっと待ってください、二人も今まで彼氏出来た事ないじゃないですか、私の心配より自分の心配をして下さ……い……あ」


 一生恋愛出来ないと言われて、絶賛片想い中の二人に、つい禁句を言ってしまいました

目付きがヤバいです!


ゴゴゴゴゴゴ

「どうやら告白されたぐらいで調子に乗っているみたいね……羨ましい妬ましい!」ゴゴゴゴゴゴ

「人を希少趣味しか寄って来ない合法ロリ扱いした罪は万死に値する」ゴゴゴゴゴゴ


「そんなの言ってない!……正座するから、ほらしたから怒らないで……あの、足の上に本を載せるのは勘弁してください」


「明日は日曜日だから時間はたっぷりあるわ、先ずはどうやって落としたか詳しく教えてもらうわよ」

「幸せのお裾分けは、友達なら当たり前」


「主旨が変わってる!」


「いいから教えなさい、結婚式で出すようなクロカンブッシュの前で告白されるその手管を」※手管:人を騙す技

「玲奈でさえ出来きた、なら私はもっと上手くやれるはず」


「そして何気に失礼!」

令嬢「にゅふふふふふふふ、クロカンブッシュはフランスでは結婚式に出されます、ハンマーで崩して振る舞われるんですよ」

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