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2.5

本日も2話更新。

何話に1回は閑話として黒龍側の話も入れていこうと思います。

 我は、この地に既に数千年居る。

地上は我には狭く、神界は高慢でプライド高い神しか居らずやはり居場所が無いのだ。と、云うより面倒。

 だからこそ、この何もない荒野で日がな1日寝ているだけの毎日だった。たまに地上を覗き、必要あれば調整をかけ、終焉の地を護るモノとして使命を果たしていたのだ。


 だが、それも今日終わった。

地上にて突然の時空の歪みを感じ、歪みの終着地をこの荒野に移し様子を伺っていた。

 暫くすると、その時空の歪みから、今迄見た事もない位美しい人間が現れたのだから驚愕し、動けなくなったのも致し方ないと思う。

 我に似た黒髪の見たこともない様な美しい人間だった。此の世界では、神に当たる我と同じ色を持つ者など居らず、またこの様に白い肌で美しい人間は居ないのだ。


 その人間が目を覚ますと、益々見惚れてしまった。髪と同じく瞳も黒く、意志の強い輝きを持っていた。そして、何よりコロコロ変わる表情が美しい。

 思わず声を掛けたら、驚いた顔をしており、思わず笑いが込み上げそうになった。この美しい人間とずっと居たい…。しかし、それは叶わぬのだろう。

我は、神であり黒龍だ。繁栄と終焉をもたらす神である。

 きっと、この美しい人間も此処から居なくなるのだろうと…そう思って居たのだが…


 我の姿を見て、鱗が綺麗だから寄越せだとか、人型になればなったで黒い塊は何処に行ったのだとかキーキー喚いておる。

 

 挙げ句の果てに、とんでも無く下らない事を言い合って居たら美しい人間が倒れそうになるではないか!

あの美しい身体に傷を付けてしまう!と、焦って助けようとしたら…


キスだと!?

 事故とは云え、初めての接吻を捧げてしまった!しかも、我はこの真琴という女性に惹かれており、手放したくないと心の中で想ってしまっていたのだ…

 完全なる失態…。

 けど、仕方ないであろう…言うなれば一目惚れで、何というか、こう…な?こんなにも心惹かれた事は無いのだ!今迄も女神や多種多様の女性を見た事はあるが、瞳から嫌悪の色が見えて惹かれる以前の話だったのだ。

 だが、接吻しようなどとは思っておらんかった…。


 しかし、世界の系譜に、我と真琴の契が刻まれてしまった…。

こうなっては、撤回など出来ぬ…。世界の系譜に刻まれてしまった以上、離縁するには何方かの死を伴う。だが、我はこの契が嫌では無かったのだ。

 世界に認められた契なのだ。名実ともに夫婦になれたのだ。

と、云うことは四六時中真琴と過ごせる訳で…。数千年という永き時を一人で過ごして居た我は、初めて執着した異性と残りの時を共に過ごせる事が嬉しかったのだ。


しかし、真琴は違った様だ…。

我との契を破棄したいと言うておる…。

何とか泣き落としで撤回させたが、我は真琴に嫌われておるのだろうか?


そうこう言っていたら、真琴が意識を手放しよった。

頭を打たぬ様、抱きかかえる事に成功し、真琴を我の膝を枕に横にしてやる。


「真琴よ、いつか、いつかで良い…。真琴から我に好意を寄せては貰えぬだろうか…。我はいつまでも待つから…真琴から見れば醜い姿をしているだろう。もっと相応しい者も居るかもしれん…。けど、我はもう真琴にとても惹かれているんじゃ…」


 意識のない真琴に願いを呟く。

 ひょんな事から、この美しい人間を番に出来た。それはとてつもない幸運だった。

 だが同時に、想われたい想われていない…願いと消失感に襲われるようになった。


 真琴が目覚めるまで、まだ時間が掛かるであろうしもう暫く、この寝顔を眺めていよう。

 また、目が覚めたらキーキーと喚くのだろう。それすらも愛おしく、楽しいのだ。

何の変哲もない氷の様な何千年が嘘のように、我に喜びや哀しみを教えてくれる人間。我だけの番。

いつか、真琴が我の様に、我だけを見てくれないか…そんな事を想いながら真琴の髪を梳いて楽しんでいた。


勿論、真琴が目覚めて、真っ赤になりながらキーキー言うのだが、それすらも楽しく、我は自然と口元が綻ぶ事になるのだ。


一目惚れ→この子と話してると楽しい!→あぁ夫婦に!→けど、これでずっと一緒!?←今ここ

まだ、自分のお気に入りのオモチャ取られたくない的な執着心です。

溺愛にはまだまだ。

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