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「嫁御、額を此方に寄せろ。」
黒曜よりも高いが、まぁまぁのイケボが響く。
その横で、若干不貞腐れた黒曜。大きいドラゴンがションボリしてるのも中々面白いわね。
「はいどうぞ。」
白曜に言われるがまま、頭を白曜に向ける。
そこに、龍の顔が近付いてくる。一見すると、捕食映像。
「汝、日下部 真琴に、創世神たる白龍の加護を与える。」
白曜は、言い終わると私の額に白曜の額を付け、グイグイやって来た。地味に痛い…。
「ほれ、もう良いぞ。コレで、嫁御に俺の加護がついた。」
グイグイされた額は、ジンジンするし、目を開ければ目の前に人化した白曜が居るし、その首をグイグイ引っ張る黒曜は居るし…うん。平常運転!
「白曜加護、ありがとうね。取り敢えず…」
私は、皆が無視し続けている神殿の扉に目線を向ける。
其処からは、私の目が覚めた時から激しい怒鳴り声と、扉を叩く音がしていた。うん。うるさいし、扉悪くなりそうだし〆るしかないわね。
「黒曜は、人化しないでそのままで、白曜は、私と腕を組んで仲良しアピール。ジークとオウちゃんは、狙われると嫌だから、一度石へ。さて、ヤりますかね。」
笑顔で指示を出したにも関わらず、皆コクコク黙ったまま頷くと、素直に指示に従ってくれた。
若干腑に落ちないけど、まぁ良しとしますか。
◇
「黒龍!!!!戻って来たのは知ってるのよ!!!!早く出て来なさいよ!!!!」
「創世神様に挨拶が先でしょうよ!!!!!」
「側使えじゃ出て来れないんだと思ったから、私達が来てあげたのよ!!!早く出て来なさいよ!!!!」
ガンガンガンガンガンガン五月蠅いなぁ…本当に…ウルサイ…
あまりの五月蝿さに、私は作戦も何も頭から抜け落ち、勢い良く扉を左右に開き、気が付けば怒鳴っていた。
「姦しい!!!!少しは黙れ!!!この馬鹿女神達!!!!」
私の怒号が響く。
何で怒鳴られたのか分からない3柱の女神達は固まっていた。
「朝早くから、ピーピー囀るだけでもウルサイって言うのに、ガンガンガンガン叩いて、常識も何もない!ましてやそれが、無能な女神様達ですか。…仕事はしないわ、常識も抜け落ちてるわ、いい迷惑だわ。」
ポカーンと固まっていた女神達は、私に馬鹿にされたと理解した途端、またピーピー喚きはじめた。
人の話を本当に聞かない馬鹿女神達だな…。
「騒ぐな、喚くな、黙ってろ。分からない?私が言ってる事。」
脳みそピーナッツでも流石に、私が本気でキレてると理解したのか、漸く黙った女神達を一瞥すると、私は白曜と腕を組んだ。
それを見て、女神達は顔を真っ赤にして、また何かを叫ぼうとしたが、私達の後ろに、フルドラゴン化してる黒曜が見えてガタガタ震えだした。
本当に小物ね…。
「見てわからない?私達は、あなた達喚くしか能ない小物とは格が違うの。だから、少し黙っててね?」
私が動きやすくするため、嫌な女を演じて馬鹿女神達を煽る。
まぁ、多少心から煽ってるけど。
「人間の小娘の分際で…創世神様に馴れ馴れしく…」
「私達の敬愛して止まない創世神様に…」
「人間の汚らしい身体で…」
「「「許すまじ…!!!」」」
馬鹿女神達が、本気でキレたらしい。うん、想定内。むしろ、予想通り。分かりやすく踊ってくれるなんて、本当に有り難いくらい馬鹿ねー。
「黙れ…馬鹿女神達…!」
馬鹿女神達に、平伏しろと云う思いを込めて言ってみる。白曜の加護できっと出来ると確信してたのもある。ましてや、私には黒曜とジーク、オウちゃんの加護もセットで加算よ?馬鹿女神達より高性能、優秀、何より、力を私なら使いこなせる。
私の言葉に合わせ、女神達が平伏と云うより潰れてる。あー…見た目だけなら女神なのに、美人も潰れたカエルポーズじゃ残念すぎるね。
私はきっと今、一番良い笑顔だと思うわ。
「…ふむ、嫁御が黙ってろと言ったが…コレだけは良いか?」
白曜が、何故か私に苦笑いしながら告げてくる。好きにしなさいなと、視線で頷く。
「女神達よ、自身の言葉で告げよ。俺に報告する事はないか?」
潰れた女神達が、ガタガタと震え、真っ青の顔で白曜、私、そして黒曜を視線を彷徨わせてる。
うん、私は許さないよ?責任を果たさないで権利の主張なんて受け入れられないしね。けど、報告するだけならしなさいな?だけどね…本当の事を包み隠さず報告しなかった暁には…
ねぇ?
ガタガタ震えながら、青白い顔で、女神達が口を開く。
「そ…創世神様…?私達は何もしておりませんわ」
「そうです…私達はそこに居る黒龍が、結婚したとしか…」
「…そもそも、この神界に黒龍がいる事自体、由々しき事態ですわ…!」
言いたい事はそれだけかしら…?ん?白曜が、遠くを見つめ出した。
「嫁御、禍々しいオーラが出ているぞ?」
白曜が、私の顔を覗き込む。
私は、いつでも笑顔、ラブ&ピースの精神ですよ?けどね、白曜の御慈悲を汲み取れず、私の地雷原を踏み抜いたのは………如何に馬鹿と云えど…仮にも神…。
もう、良いね。
「白曜、消しはしないし、殺しはしないけど、この世界から神が3柱居なくなるわ。良いわね?」
「好きにしよれ。」
白曜が深く溜め息を吐き、了承してくれた。ならば、私のやる事は一つだ。
「責務を果たさない無能な女神達3柱よ、人に堕ちろ…」
女神達に、黒い小さな龍の様な蛇の様な靄がまとわりつく。
女神達の悲鳴とも絶叫ともとれる声が、黒曜の神殿内に反響し、辺りに響き渡る。
「「「ーーーーー!!!!」」」




