告白
ガンドロさんも自分の道を決めた。これ以上俺達からガンドロさんにいう事はないだろう。後はガンドロさん自身の問題だろうし。
しかしエデバラに行って強くなるのは良いと思うんだけど、ここのギルドどうするんだろう?ギルドマスターいなくなっても大丈夫なんだろうか。
「エデバラに行かれるという事ですけど、このギルドはどうされるんですか?」
気になったので俺はガンドロさんに聞いてみた。
「あぁ、ギルドの支部に言えば新しいギルドマスターを寄こしてくれるから。俺がエデバラに行くのはその後任が来てからになると思う。」
なるほど、そういう事なんだ。
「そうですか。それとすいません、【デモノプラント】を討伐した報酬の件なんですが・・・。」
なんか今の雰囲気では少し言いづらいけど、うちには大食漢が増えたんだし貰うものはしっかり貰っておかないと。
「あぁ、そうだったな。すまない。
とりあえず討伐の報酬は金貨70枚でどうだろう。うちで一番の高額の達成報酬金額なんだが。」
おぉ、かなりの金額貰えるんだ。Bランクの魔獣だもんな。
「それで構いません。それとランクアップの話なんですが。」
「あぁ、そうだな。ギルドマスター権限でBまではランクアップさせることが出来るよ。ただA以上になるとこういった町のギルドでは出来ないから、支部に行って申請してもらわないといけないんだ。」
「支部ってどこにあるんですか?」
「この国なら首都リグファーレだ。Sランクへのランクアップは本部のある自由国家ルージアまで行かないと出来ないな。」
そうなんだ、まぁ別にそんなにギルドランク上げたいとは思ってはないんだけどな。今もあんまり利点がない気がするんだよな。
「そうなんですね、俺達はBランクにあげて貰おうか。アリアとシータはどうしよう。FからいきなりBランクになっても問題ないのかな?」
「あぁ、ギルドカードを作る時に確認させてもらったけど一人は精霊魔法使いで、もう一人もそこそこのレベルの回復魔法の使い手だろ?普通そんなスキル持ってたらBランクレベルだしな。稀にだけど一気にギルドランクが上がるやつはいるよ。冒険者ギルドに入らず鍛えてて、カードが必要になったからギルドに入るやつとかな。」
「なるほど、まぁ一緒にパーティなので同じギルドランクの方がありがたいですね。」
「じゃあ、全員Bランクにさせてもらうよ。ただA以上に上がる時はすまないが首都まで行ってくれ。」
「わかりました。」
俺達はガンドロさんにカードを渡してランクアップをして貰って報酬を受け取った。
このギルドに用事もなくなったのでガンドロさんにお別れを言ってギルドから出る事にする。
「じゃあ、ガンドロさんありがとうございました。エデバラに行ったらギルドマスターのロイドさんによろしくお伝えください。」
「いや、こちら事世話になったよ。君たちが来てくれて本当に助かった。また何かの縁があったらよろしく頼む。」
そうして俺達はギルドから去った。
ただギルドから出てから少し相談する。
「今日はこれからどうしよう?このままザール向かうと多分野営することになるよね?この町でもう一泊する?」
「そうですわね、あまり野営はしたくはありませんわね。」
「シータはどっちでもいいよ。」
俺の言葉にアリアとシータが答える。ガイとブランはいつも通り俺に任せる感じだな。
「じゃあもう一泊この町に泊まって明日の朝出発しようか。」
俺達はそうすることにしてまた宿を取った。
今回は3人部屋と2人部屋の2つだ。当然男子部屋と女子部屋になる。
夜になって俺はずっとモヤモヤしていたので質問した。
「なぁブラン。」
「主どうされました?」
「昼間のガンドロさんとの話なんだけど。」
「はい。」
「あのさ、妻がいないことは知ってるんだけどさ。その、なんて言うかさ、大事な人もいないってことなんだけど、その、俺とかって、そのまぁ、自分で言うのも何なんだけどね。大事とかじゃないのかな~って思ったりもして。」
「あぁ、なんじゃ、そういう事ですか。」
「お前またそんなこと考えてたのかよ。」
ブランとの話にガイが突っ込む。
「いや、だってさ。俺は2人の事、大事な仲間だと思ってるよ。だから2人は俺の大事な人なんだ。2人に何かあったら俺も命懸けで何とかしようと思うし。でもブランは俺達の事そう言う風には思ってなかったのかなって、別に悪いとか攻めてる訳じゃないよ。ただ何となく寂しいというかなんというか。いや、ごめん、忘れて。」
「主はわしにとっては特別な人なんですじゃ。大事とかそういうのは飛び越えておりました。主がわしらより早く死ぬなんてことも想像できませんでしたしな。だからあの時には思いつきませんでした。主はわしに生きる希望を与えてくれた人じゃ。その人をわしが大事に思っておるというのは、なんだかおこがましい気がしたんじゃ。」
「そんな、おこがましいなんてことないよ。」
「そうですな。主がわしらの事をどれだけ大事に思ってくれているのかは、重々わかっておったのに。気を悪くされるようなことを言ってしまって申し訳なかったですじゃ。こんなわしでも主の事を大事に思っても、よろしいのですかのう?」
「そりゃ、そう思ってくれたら俺も嬉しいよ。
ブラン、俺にずっと付いてき「ぐふふっ。」・・・。」
俺がそう言いかけると扉の向こうから声が聞こえた。
俺は黙って立ち上がって部屋の入口の扉まで行って、鍵を開けて扉を開けた。
するとアリアが部屋に転がり込んできた。恐らく扉に耳を付けて中の話を聞いてたんだろう。しかもなんか頬を赤らめて笑ってるんだけど。
「何してるんだよ。」
俺が冷静にアリアに突っ込む。
「いえ、別に。私の事は気になさらず続きをどうぞ。」
「いつから聞いていた?」
「最初からですわ。こんな楽しそうな事聞き逃せませんわ。」
「だからって盗み聞ぎするなよな。」
「でしたら最初から誘ってくださいまし。仲間外れは良くないと思いますわ。」
「シータも仲間外れか?」
「おぅ、シータいつの間に。」
「姉様がいつの間にか部屋から消えたから探しに来た。」
「ちゃんとシータの面倒見てやれよな。」
「まぁ、ですから皆で一緒に部屋にすればよろしいのではないですか?」
「いや、男女一緒ってまずいだろ。」
「いいえ、皆さんの事は信用しておりますから大丈夫です。」
「そういう問題じゃないだろうが。」
「なぁあれって止めなくていいのか?」
「仲良さそうじゃからいいんじゃないかのう。」
俺とアリアの言い合いを聞いてガイとブランがそんな話をしていた。せっかくいい感じに話が進んでいたのに。
収集が付かなくなったので話を止めてアリアとシータに部屋に帰る様に言った。2人は渋々ながら自分の部屋に帰っていった。しかし流石にもう一回さっきの話をしようとは思えない。ああいう話って結構勢いが必要だしな。
「俺も2人はちゃんと大事な人だぞ。」
ガイが不意にそう言った。
「ガイがそんな事言うの珍しいね。」
「まぁな、でもたまには言っておかないとな。ブランみたいにあんな風に聞かれて答えるのはこっ恥ずかしいしな。だから自分で言っておく。だからダイゴは不安にならなくてもいいと思うぞ。」
「不安?」
「そうだ、お前俺達にどう思われてるかって結構気にするだろ?
大丈夫だ。俺達は何があってもお前を嫌ったり、離れていったりしないさ。」
「ガイ・・・。」
やばい、ガイからの不意打ちが来た。普段そんな事言わないのにこういう時に言われるとドキッとする。あ~っ、やっぱりこの2人と一緒で良かった。
ただそこではっとなった、気配を確認したがアリアの気配は近くにない。良かった、ってかこれからずっとこんなこと気にしていかないといけないのか。疲れるな。でも今日はいい気分で寝れそうだな。
しっかりと睡眠をとった翌朝、俺の顔を見てアリア聞いてきた。
「昨日あれから何かありました?」
「なんで?」
「なんだかすっきりした顔をされていますわ。あんなことがあってそこで終わっていたのであれば、私の事を親の仇のような目をして見てこられるはず。何かいいことがありましたわね?」
「いや、別になかったよ。」
「目が泳いでますわ。絶対に何かあったはずです。さぁ私が神官として聞いて差し上げますわ。」
「俺は懺悔しないといけないのか!?罪人なのか!?」
「えぇ、私を差し置いて何やら楽しいことをされていたのでしょう。レスティア様が許そうとも、私が許しません。さぁ告白なさるのです。」
「シータも聞いてあげるよ。」
「いや、しないから。」
朝っぱらからそんなやり取りをしていました。ホントこのパーティどうなっていくんだろう。
お読み頂きありがとうございます。




