お着替え
その後これからの話少しした、その後俺は師弟契約の詳しいやり方なんかを教えた。ただ【刻印術】を使える刻印師じゃないとちゃんとしたことは教えられないと伝えた。すると教会で刻印師を用意するという話になった。だったらまたその時にちゃんと教えると伝え、その件は終了した。
で、話が終わったので俺達はザールの町に帰ることにした。次は一週間後に様子を見に来る予定だ。教会には一応【転移の門】の魔法具を渡した。ちゃんとした場所に保管しておくようにとお願いして。ダストンは喜んで受け取っていた。勇者から与えられたものだからなんだろうか。それとも【転移の門】という未知のスキルが入った魔法具を教会に置いておけるからなんだろうか。どっちもかもしれないけどな。【転移の門】のスキルの話をしたらかなり興奮していたし。
教会から出て門まで歩いている。門から入ってきたし、帰る時にも一旦は出た方がいいだろう。門にいる人が顔を憶えてるとは思えないがな。
それにしても・・・。
「えっと、アリアさん?」
「なぜいきなりさん付けなんでしょうか?」
「いや、何となく。かなりご立腹されていらっしゃる様子でしたので。」
俺はかなりビクビクしながら聞いた。
いや、何で怒ってるかの理由ぐらいはわかるよ。そりゃ自分の上司に邪魔だから出て行けと言われてるんだもんな。そんな事言われて怒らないやつはいないだろう。
「気のせいじゃありませんか?」
無表情のアリアが言った。本当に怖いよ。
「えっと、取り合えず聞いておきたいんだけどアリアは本当にいいの?魔法学園の教師になるってこと。」
「それは、仕方ありませんわね。最初に私がダイゴ様を魔法学園に入学させると考えた時にそうなるのではと思っていたことですわ。」
「そうなんだ。」
「えぇ、あの男の事ですもの。当然そのような事を言ってくるのはわかっていましたわ。」
「大分嫌いみたいだね、ダストンの事。まぁわかる気はするけどね。自分の地位を脅かしてくる部下を平気で別の場所に飛ばそうとするんだもんね。」
「それに関しては良いのです。私も教会で司教などになるよりダイゴ様の傍に一緒にいる方が良いですわ。
それよりも私はあの男の考え自体が嫌いなのです。」
「考え?」
「えぇ、あの男はレスティア様や勇者様の事を信者を集める為の道具の様に思っているんですよ。自らの地位を守るために勇者様へ協力するふりをしたり、レスティア様も本当に信奉しているのか怪しいものですわ。自分が高い地位を得る為にそう装っているんではないかと思ってます。」
「そうなんだ。」
「ですので、あんな男のいる教会にいるよりは魔法学園に行った方が幾らかはましですわ。」
「でも教師になったら暫く辞めれないかもしれないんだろ?」
「その時はその時ですわ。また失踪という事で出て行きます。」
「そんなんでいいのかよ。」
「私にとっては些細な事です。それによって教会に戻れなくなっても悔いはありませんわ。別に教会に属していなくてもレスティア様を信仰することに問題などありませんもの。
それに身近に勇者様がいらっしゃる方がよっぽど価値あることだと思いますわ。」
「アリアが納得してるならいいんだけど。
でも行くとしても俺とアリアだけか・・・。」
その点はアリアから魔法学園に入学する話を聞いた時に薄々思いついていた。
ガイは魔法が使えないし、ブランとシータはドワーフとハーフエルフだ。魔法学園にわざわざ入学するってことはないだろう。どちらの種族も魔法は人族より適性が高い。学校に行って教わるようなものじゃない。
皆にこのことを伝えないといけないんだよな。なんかこれからも一緒に旅を続けようとか言ってた割にすぐに別行動になるとか。言いにくいから何となく気付いていたけど言い出せなかったんだよな。
ブランはゾランさんの店を手伝ってザールの町にいたらいいだろう。
ガイとシータだよな、ブランと一緒にザールの町で冒険者として活動するとかかな。もしくはバロンさんの所へ行ってまた迷宮で冒険者の手伝いをするとか。
そこら辺は俺が決める事じゃないし、聞いてみるしかないか。
そろそろベティーさん作ってる服も出来上がりそうだし、ゆっくり出来るのもあとちょっとか。
そんなことを考えながら俺達は町から出てザールへと戻った。
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俺達が教会から戻って2日後にベティーさんから服が完成したと連絡を受けた。
俺達は全員でベティーさんの店までやってきた。
「いらっしゃい、ついに完成したわよ~。もうすっごいの、こんなの初めて~っ。」
かなり興奮しているベティーさんに俺達は迎えられた。
「じゃあとりあえず女性陣から着替える?」
そう言ってベティーさんにアリアとシータが呼ばれた。また奥の作業場で着替えるみたいだ。今回は流石にベティーさんも店の方に出て来たみたいだ。
それからしばらくして着替え終わった様で俺達にお声がかかる。
俺達は作業場まで行った。すると装いを新たにしたアリアとシータがいた。
「どうでしょうか?似合ってますか?」
アリアがそう聞いてきた。
アリアの服は神官の服をモチーフにした感じにしている。色は白、赤、ピンクと使い。上は長袖、所々に魔石をあしらった飾りがついている。腰のベルトにはアプサラスを差せる様なホルダーもついている。そして今回はミニスカートだ。それにニーソを履いている。色は真っ白だ。
うむ、こういうのが好きな男だったらもれなく釣れるだろう。
「うん、いい感じだと思うぞ。」
俺は感想を言った。
アリアの服には支援魔法を幾つかを常時展開できるように、魔法を封じ込めた魔石を付けている。
攻撃から身を守る為の魔法の鎧を纏う【魔法の鎧】、状態異常を防ぐ【清浄の守り】、後は回復魔法の魔石も付けてるので傷を負ったとしても自動で回復するようになっている。
そして最大の特徴は絶対領域。どんなにジャンプしても、どんな体勢になっても絶対にスカートの中が見えない作りだ。うん、作るのは大変だった。風魔法だったり、幻覚を見せる支援魔法だったりを組み合わせて新しい魔法自体を構築してやった。。
何を馬鹿なことにと思われるかもしれないが、こういうのは必要なのだ。俺は全くとして必要とはしていないが。
女の子としてスカートを履きたいという欲求と、見られたらどうしようという恐怖をこの魔法が見事に解決してくれる訳だ。まぁどうでもいい、本当にどうでもいい。
一応アリアに頼まれたんだ。スカート履きたいけど見えると困ると。だから魔法を作ってやった訳だ。ベティーさんにこの話をしたらベティーさんも絶賛していた。そう言えばベティーさんもスカートだもんね。それに商品としても作れば女性に人気が出るだろうという事だった。
そうかもしれないな。それに男子からも人気が出るかもしれない。男は見えそうで見えないっていうのに心惹かれるもんだ。
「シータは?シータは?」
今度はシータがそう言った。
「シータも似合ってる。俺の考えた通りいい感じだと思うぞ。」
俺はシータに対しても感想を述べた。
シータの服は上は長袖、ダークグリーンと言えばいいんだろうか。その上にノースリーブで腰より少し長さのあるアウターを着ている。色は黒でフードがついている。下はホットパンツで、色は上と同じダークグリーン。中に黒いタイツを履いてる。腰にベルトが巻いてあるが武器は背中側に差しているのでアウターに隠れて見えないようになっている。
シータの服にも【魔法の鎧】や【清浄の守り】なんかはつけてある。それ以外には【偽装】のスキルから切り取った能力を魔法に転化した【化粧】という魔法を付けている。その魔法のおかげでシータの髪や耳などは人族と同じ様にしか見えない。これで俺がわざわざシータに【偽装】を使わなくてもいい訳だ。
後はアウターに【天狗の隠れ蓑】も仕込んでいる。フードを頭にかぶると魔法が発動して姿が消える。発動中はシータが持ってるスキルと合わせればまず間違いなく誰かにみられたり、気付かれたりしなくなるだろう。
「そうね、2人共よく似合っているわ~。作った私も鼻が高いわ。」
ベティーさんが2人の姿をみてルンルンしながら言う。
俺はガイとブランを見た。
「ガイとブランは?ほら、感想とか。」
「うん?ああ、いいと思うぞ。」
「そうじゃな、わしもそう思う。」
こんなもんだろう。
「じゃあ次は俺達かな。」
そう、次は俺達男性陣が着替える番だ。どれほどこの日を待ち望んだことか。
この世界には【浄化】という生活魔法がある。それを唱えるだけど体と着ている服などが綺麗になると言う魔法だ。その為冒険者なんかは服を着替えたりすることはない。着替えるのは服が傷ついたりして着れなくなった時ぐらいだ。寝る時も同じ服で寝るし。わざわざ別の服という荷物を持ち歩いたりしないでいいようにだな。
そのおかげで俺はガイやブランの着替えをしているという所はほぼ見たことはない。ほぼというかない。この間の採寸で一応は脱いでいたけど、上下ともに着てたのは着てたしな。
しかし今回は違う。下に着てる服も全て着替えるのだ。
どれだけこの日を待ち望んだか。
俺が勇者として歩んできた道がやっと報われる。
それは言い過ぎか。
しかし悟られない様にしよう、心静めるのだ。時は近い。
アリアとシータが部屋から出て行き着替えようとする。でもなぜベティーさんも残っているのだろう。
「えっとベティーさん?」
「何かしら?」
「何故いらっしゃるんでしょうか?」
「そんな、私の作った服に不具合があったらいけませんもの。おかしなところがないかしっかり確認しないといけませんわ。」
「口調がおかしいし、おかしなところがあっても後で直せばいいじゃないですか。
一番おかしいのはベティーさんじゃないでしょうが。」
「辛辣~っ。」
「そうだな、なんだか落ち着かないから外に出ていてくれるか?」
「そうじゃの。何かあれば後で言うわい。」
ガイとブランがベティーさんにそう言った。そうだ、そうだ。
「それからダイゴ、一緒に外に出て見張っといてくれないか。なんか途中で覗きに来そうだ。」
「そうじゃな、わしらではどう対処していいかわからないですしな。」
「へっ?」
「ダイゴだったらちゃんと止めてくれるだろうし。任せたぞ。」
「えっ?えっ?」
ガイはそう言いながら俺とベティーさんの体を押して部屋から追い出した。
閉まる扉を無言で見つめる俺。
その悲嘆にくれる俺の肩をベティーさんがポンと叩いた。
「ドンマイ!」
「ドンマイじゃないですよ!一生恨みますからね。」
「あら、じゃあ私のだったら着替え見せてもいいけど。」
「結構です!!」
結局俺は扉の前でずっとふさぎ込んだままだった。
しばらくすると扉が開きガイとブランに呼ばれた。このまま落ち込んでいても仕方ない。新しい服を着た2人を見て、せめてもの癒しにしよう。
「ほうっ、なかなかこれは動き易そうだ。」
体を動かしながらガイが言った。
ガイの服は基本的に依然とさほど変わりない。長袖、長ズボン。色はチャコールグレー。落ち着いた大人っぽさが出る感じの服だ。ボタンやカフスの様な飾りに見せて魔石を配置してある。
刀を使うから和装にでもしようかと思ったんだけどこの世界だと目立つしな。袴って言いうのもガイの戦い方ではどうかなって思って辞めた。今までと同じような感じで作った方がいいだろうと思ったんだ。
ただ上下とも金属の糸を編み込んである。俺が【錬金術】なんかを組み合わせて作ったかなり強靭な糸だ。それを織り込んである。生半可な剣なんかでは傷付ける事も出来ないだろう。
後は他の人と同じ様に【魔法の鎧】と【清浄の守り】は組み込んである。
「わしのも良いですな。」
ブランが言った。
ブランも前に来ていた服とそう大差ない。長袖長ズボン。色はダークブラウンだ。【魔法の鎧】と【清浄の守り】を付けてる、どうせこの上に鎧を着るだろうし、金属の糸は織り込んでいない。動き易さなんかを重視して軽くしてある。
後ブランだけじゃないが全員の服に自動修復機能がある。少し破れたぐらいなら自動で服が直るんだ。
【錬金術】のスキルの中から取り出した力を転化して【修繕】という支援魔法を作ったんだ。物なんかだけ直せる魔法だ。武器の方にもこれを組み込んである。魔素を使って同じ物質を精製して傷ついたところに充てる感じだな。
それからインナーには【浄化】の魔法と、フレアマントなんかに使った技術から更に発展させた温度調整魔法が使ってある。これのおかげでいつでも綺麗な服と体でいられるし、寒い暑いも感じないくらい快適に過ごせるようになった。
ただ正直色々な機能を持たせ過ぎて馬鹿程魔石を使っているし、吸収されるMPも多い。俺達の様な膨大なMPを持ったりしている人間にしか着る事も出来ないだろう。
しかしインナーに使われている技術はベティーさんが大絶賛だった。こんな服があったら冒険者は絶対に買うだろうって。まぁ魔石を一般に出回っている物を使っても作れる様にしたからな。ただその場合は魔石を定期的に買わないといけなくなるけど。ランニングコストはそれなりにかかるってことだ。それでもランクが上の冒険者は買うだろうってベティーさんは言ってた。
「2人共よく似合ってるよ。」
「そうですわね。お似合いですわ。」
俺とアリアがそう褒めた。
後は俺の服だけど。もういいや、俺の服も今までの服とそう大差ない。俺はスキルで色々持ってるから機能っていうよりデザイン重視で作っただけだ。別にこれと言った別の機能なんてものはない。
俺は試作品作る時に着たりしてるから着心地も大体知ってる。大部分は俺が作ってみせて、それを元にベティーさんに作り方を教えたようなもんだ。
「ダイゴ様は着替えられないんでしょうか?」
「うん、俺はどんなのか知ってるし。殆ど自分で作ったようなものだしね。後で着るよ。」
なんかこの作業場で1人で着替えしてるのを想像したら悲しくなったし。
いっそのことアニメで出てくるような変身シーンみたいに着替えできないだろうか。
こうスティック型の魔法具を持って、ボタンを押すと光に包まれてから全裸になる。そしてくるくる回りながら自動的に服が体に装着されていく。全部着れたらバシッと決めポーズ。
【倉庫持ち】を使ったら服をしまったり着たりは出来るか。光の演出は光魔法で何とか。ちゃんと大事なところは光の帯とかで隠す様にしたらいいか。魔素とかを固めてフィールドみたいなのを形成したらその中で浮いたように出来ないだろうか。出来そうな気がする。そう言うスキル作っちゃうか?ってどこで使うんだよ。冷静になれ。
しかし何故美少女変身モノ系の変身シーンになったのかは深く考えないでおこう。一番最初に思いついたのがそれだったんだ。
お読み頂きありがとうございます。
一応補足なんですが。
ダイゴは【千里眼】を持ってるんだから着替えてる所を覗けばいいんじゃないかと思っているそこのあなた。
残念なお知らせがあります。
【千里眼】は魔素を使っているので、高レベルの【気配察知】を持ってる人には見られてることがバレてしまいます。
残念です、非常に残念です。仲間が強くなるってこういう弊害もあるんですね。




