武器からの~
「次にわしの武器ですが、一応お見せしましょう。」
そう言ってブランは自分の武器を手に持った。
大きさはブランの身の丈もある戦斧だ。両刃で刃の部分はかなりデカい。形は説明するのが難しいが円形の盾の様な物から左右に刃が出ている感じだ。というか持ち手があり盾としても使えるようになってる。斧としての持ち手は伸びるようになってる。元々は30cm位の長さしかないんだが、ボタンを押すと伸びる仕組みだ。盾と両手斧を一緒にしたような武器だな。後は盾の部分にトゲがついている、その部分を使うと槌の様な感じでも使うことが出来る。
これにも魔石は組み込んである。効果としては切れ味というよりは強度を増すことを一番にしている。盾として使ったり、斧は叩きつけたりするからな。後1つの機能として重さの変化があげられる。
元々はそこまでの重さではない。軽くて丈夫な鉱石や金属を使っている。ただそれだと威力が出ない可能性があったので考えた。そして重さを変化させることが出来るようになった。ブランが斧に魔力を込めるとかなりの重量まで上げることが出来る。何故そんなことが出来るのかは正直わかっていない。スキルを使ってそんなことが出来ないかとやってみたらそう言う魔法が作れただけなんだ。恐らくだけど魔素を別の物に変換して質量を上げたりしてるみたいだ。重力とか操れたらカッコいいんだけどそこまでの事は流石に出来なかった。だが斧を打ち付ける瞬間に重さを上げれば威力はかなり上がるし。普段はそこまでの重さもないから背中に担いでいても苦にならないだろう。
「名前は・・・。」
はいはい、俺が付けるんだよね。
「そうだな、ヘカトンケイルかな。」
「良い名ですな。」
ブランも喜んでくれたみたいだ。確か3人の巨人の事だったと思うけど、斧、盾、槌と3つの使い道があるからちょうどいいだろう。
「最後に主の武器です。」
そう言ってブランが渡してくれたのは特に変哲もない剣だった。
「まさかそんな武器を思いつくとはな。初めて作ったが中々面白かったぞ。」
キュクロさんがそう言った。おっ、キュクロさんも気に入ってくれたのか。
俺は鞘から剣を抜いた、直刀で普通のロングソードの様に見える。
「普通の剣にしか見えないんですが?」
アリアがそう言った。まだ俺とブランとキュクロさんにしかこの武器の真の姿は知らない。
「ちっ、ちっ、ちっ、甘いな。この武器はただの剣じゃないんだ。」
俺は人差し指を立て左右に振ってアリアに言った。
「実はな、これをこうしてこうすると。」
そう言って、俺は剣の柄の方に持ってる鞘を差し込む。そして少し魔力を送ると鞘が伸びる。剣の刃の部分は逆に縮む。一瞬にして俺の手の中で剣は槍に変化した。
「おぉ、凄いじゃないか。」
ガイがその光景を見て声を上げる。
「まだまだ。今度はここをこうしてだな、こうすると。」
また魔力を込めて鞘を引き抜き、剣を収める。それから剣の鍔の部分を持って左右に引くと剣が真ん中から左右に別れて2本になる。鍔の部分が持ち手に変わる。
「これはトンファーって武器なんだ。」
「初めて見るな。近接格闘用か?」
「そう、殴りつけたり、持ち手の所を支点に回転させると威力が出たりする。」
ガイが喰いついたので説明する。
「とまぁ、1つの武器で実は7種類の武器に変化するんだ。」
実際には剣、槍、トンファー、弓、鎌、棍、双剣と変化する。
「今までそんなこと考える奴はいなかったからな。どうやって作るか初めて悩んだぞ。」
キュクロさんが言った。
「えぇ、まさか1つの武器がここまで様変わりできるなど思いもよりませんでしたわい。」
ブランもそう言う。
「凄いじゃないか。こんな武器見たことも聞いたこともなかった。」
ガイも少し興奮しているみたいだ。
やっぱり男の子だもんな。武器が変形するとか憧れるよな。
「だろ?色々考えたんだよ、どの武器に変化するかとか、どういう感じで変化するかとか。いや~、考えてるだけで面白かった。」
俺も若干興奮気味で言う。
「あの、お聞きしたいんですが。」
そこでアリアが俺に質問した。
「ダイゴ様は【倉庫持ち】をお持ちだから、武器を変化させなくても一瞬で武器を持ち変えたりできるんじゃないでしょうか?」
「ちょっ、貴様言ってはならんことをー!
わかってる、わかってるさ。【倉庫持ち】の中にそれぞの武器を入れておいたらいいってことはな、だがなこれは男の浪漫なんだ。変形や合体はなぁ男の夢なんだ。」
俺の台詞にガイやブラン、キュクロさんまでうんうんと頷いている。
「そうですか・・・。失礼いたしました。」
俺の迫力に気圧されてか、アリアが素直に謝る。
まぁ正直アリアの言ったことの方が正論なんだろうけど。
この武器は変形に力を入れ過ぎて、魔石の多くはその為に使ってるので、その他の機能はほぼない。単なる変形できる武器なだけかもしれない。いや、いいんだそれでも。基本的に俺は武器を使ってないから。使う時にはスキルと一緒に使うから、それなりの強さがあったら問題ないんだよな。それは黙っておくことにしよう。
「こいつの名前は北斗ってことにしよう。」
俺はそう言って北斗を腰に差した。
これで全員分の武器は完成した。
魔石も組み込むことで今までにない武器を作れた。
前にも言ったが魔石を組み込んだり、魔法陣を刻み込んでいる様な武器自体はある。しかしそう言った武器は大体何か1つの機能だけしかついてない。一応MPを突っ込めばその機能も強くなったりするが、今回作って貰った武器とは雲泥の差だ。魔石の質や、付けている機能が違う。今回作った武器にさらにMPを突っ込むとどうなるか。ホントに世界に二つとない武器になった訳だ。
後は装備なんだよな。鎧とかになるけど。基本鎧着てるのはガイとブランだけだ。俺も最近は鎧は着てない。正直着ても着なくても大差ない位だから、動き易いように身に付けていない。ガイも最近はスピード重視の戦い方だからそんなゴテゴテした鎧はいらないだろうし。ブラン位か。後は服の方だな。アリアやシータ、それに俺も新しい戦闘服みたいなのを作った方がいいだろう。今は割と魔法も色々出来たし、魔石もある。服に組み込んでいけばそんじょそこらにない様な服が出来るだろう。しかし服となると俺もそこまでの物は作れない。一応スキルで作ることは出来る。問題はデザインだったりする訳だ。そればっかりはスキルで何とかなる訳でもないし。
目の前のキュクロさんは鍛冶の神だもんな、服とかは専門外の気がする。一応聞いてみるか。
「あの、キュクロさん。武器は出来上がりましたが後は鎧とか服とかの装備なんですが。」
「あぁ、鎧は教えてやれるけど服なんかは俺には無理だぞ。」
「ですよね。ドワーフの町だからそう言うのを専門にしてる人もいるのかな。」
「そうだな、一軒心当たりの店はあるぞ。人間にしては中々の腕を持っていたな。そこに行ってみたらどうだ?まぁ少し変わっているがな。」
キュクロさんはそう言った。神様がそんな事言うなんて、かなりの腕を持ってるんだろう。しかしドワーフじゃなくて人族なのか。しかも少し変わってる?キュクロさんみたいに世捨て人とか?
「じゃあ、その店を教えて貰ってもいいですか?」
「あぁ、先に服を作った方がいいんじゃないか?その後上に着る鎧なんかを作った方がいいだろう。」
「そうですね、じゃあ先にその店を訪ねてみます。」
俺はそう言ってキュクロさんに教えて貰った店を目指した。
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「ここがその店か。」
俺達はキュクロさんから教えて貰った店の前に来てみた。
しかし本当にこの店であってるんだろうか・・・。
店構えはなんて言うか、かなりファンシーな感じだった。原色を使った色合いで、その上ピンクやらの色も交じってかなりド派手な感じだ。看板には「ベティ-の店」と書いてあった。
とりあえず入ってみるしかないか。そう思って意を決して扉を開けた。
カラン、カランとドアベルの軽い音が響く。
「いらっしゃいませ~。」
店の奥から少し低めの声が聞こえる。
俺達は店内に入って行く。店内は装備品というよりは完全に服だけを取り扱ってる様だ。並んでいる服を見るが、この世界に来てから見たこともない様な色使いの服が並んでいた。
「いらっしゃいませ。」
服を見ていた俺達にそう挨拶して近づいてきたのは、ここの店長なんだろうか。
髪の毛は緑とピンクが入り混じったモヒカン。着てる服も見たこともない様なデザインだった。色は店の雰囲気と同じような原色バリバリ。スカートはスカートなんだろうがフリルなんだかわからないものが付いてる。そして上半身の露出度がちょっと高い。
それよりも気になるのはばっちりメイク、ピンクの口紅にフッサフサのまつ毛。かなりパンキッシュとでも言うんだろうか、いやまぁそのご当人がムッキムキの厳つい感じというのが一番目を引くんだけどね。
キュクロさんが変わってるって言ったのはこういう事か。
「えっと、店長さんですか?」
「えぇ、そうよ~。ベティーって呼んでね。」
ベティーさんはそう言ってウィンクをした。
「俺はダイゴって言います。よろしくお願いします。それで俺達服をオーダーメイドで作りたいんですが・・・。」
俺はそうベティーさんに希望を告げる。でもベティーさんは俺の顔を見て無言だった。
「どうかされました?」
「あら、いやん。ごめんなさいね。ちょっと驚いちゃって。
たいていの人は私のこと見るとビックリして言葉を無くしちゃうのよ。」
ベティーさんはそう言った。
あぁ、その事か。
別にオネェさんが目の前に現れても驚いたりしない。俺自身ゲイでセクシャルマイノリティになるんだろうし。ベティーさんが女性のカッコが好きな男であっても、トランスジェンダーで生まれてきて性別が違っていただけとかであっても、それについて驚くようなことではない。
正直に言うとこっちの世界でもいらっしゃるんだなってのは思った。元いた世界に比べたら偏見とかは強そうな気がするしね。
「そうだったんですね。俺は特に驚くことはないです。
それでこちらではオーダーメイドで服を作って貰ったりとか出来るんですか?」
「えぇ、可能よ。どちらかというと数は少ないけどね。」
「俺達全員分の服を作って頂きたいんですが、それは可能ですか?」
「そうねぇ。時間があるから出来ると思うわよ。ただ少し時間は頂くことになるでしょうけどね。」
「それは仕方がないです。後お願いなんですが、こういう風な服にして欲しいって希望は聞いて貰えるんでしょうか?」
「出来る限りはね。どういうのがご希望かしらん?」
「あぁ、でもそう言えば今までに作ったことのないような服になるかも知れません。」
「どういう意味かしら?」
「えっと、魔石を組み込んだり、魔法陣を組み込んで色々な機能を持たせた服を作りたいんです。」
「あら、何それ。面白そう。だけど私にはそこまでの技術や知識はないかも・・・。」
「俺が持ってるので、お手伝いしたら作って頂けますか?」
「そうね、それだったら出来るかも。詳しいお話を伺ってもよろしいかしらん。」
「わかりました。」
俺はそう言って仲間の方へ振り返る。するとガイやブランが固まってた。
そんな、別に取って食われる訳でもないのに。そうなりそうなら俺が全力で阻止するから大丈夫だ。
とりあえずベティーさんは店に前に休業中の看板を出してから俺達を店の奥に通してくれた。
奥には作業場の様なスペースがあって、布が所狭しと高く積んであった。
「狭い所でごめんなさいね。どうぞおかけになって。」
ベティーさんそう言って俺達にイスを進めてくれた。俺達は詰めて何とか座った。
「それでなんだけど、どういう感じの服を作ろうと思ってらっしゃるのかしら?」
「そうですね、魔石に魔法を封じて、その効果を付けた服を作るって言ったらわかりやすいでしょうか。」
「そんなことが出来るの?」
「出来ますよ。あぁ、そうだ。」
俺はそう言って【倉庫持ち】から前に作ったフレアマントを取り出した。
そしてテーブルの所に行って広げて見せた。ベティーさんも立ち上がってマントを見る。
「これは俺が作ったマントなんですけど、この魔石に熱の魔法を封じてあるんです。後他に制御用の魔石なんかもつけてます。それによってこのマントを身に付けると寒さを感じなくなるんです。」
「まぁ、凄い技術ね。こんなことが出来るなんて思いもよらなかったわ。」
「それで作る服にもこういう魔石や魔法陣を組み込んで、支援魔法なんかを継続して使い続ける様にしたいんです。」
「服は多分作れると思うわ。ただそう言った魔石や魔法陣を組み込む技術が私にはないわ。その点を教えてくれるのであれば出来ると思うわ。」
「そうですか。だったらお願いしたいと思います。後料金は・・・。」
「いらないって言いたいところだけど、材料費ぐらい貰えればいいわ。」
「それでいいんですか?」
「私にこの技術を教えてくれるんでしょう?その後も使わせてもらってもいいということだったらね。」
「えぇ、それは出来るのであれば使ってもらっても構いません。」
「だったらそれが報酬ってことになるわね。こん技術を手にしたら、それこそ今までなかった服が作れるようになるもの。」
「なるほど。もし材料で必要なものがあったら教えてください。俺達で用意します。」
「じゃあ決まりね。さっそく作り始めようと思うけどよろしいかしら?」
「そうですね、俺は忙しくないので問題ありません。」
「じゃあ、皆さんの採寸をさせて貰おうかしら?そうすれば後の皆さんはここに缶詰めにならなくてもすむでしょうしね。」
「そうですね。」
「どうしましょう?まずは女性陣からかしら?」
「えっとベティー様以外はこちらのお店にいらっしゃらないですか?」
ベティーさんに視線を向けられたアリアが聞いた。
「そうよ~。私1人でやってるの。
あぁ、大丈夫よ。私女の子に興味はないから何とも思わないわよ。」
「えっ!?」
アリアはそう驚き、俺とベティーさんの顔を交互に見る。止めなさい、バレるでしょうが。
「じゃあ、とりあえず俺達は店の方に行ってるから。」
そう言って俺達はその部屋から出て、店の方に行った。そして店に並んだ服なんかを見ていった。並べられた服を見ると確かにかなり綺麗な仕上がりだった。縫い目とかもかなり細かい。腕がいいのは確かなんだろう。
結構な時間を店の中で過ごした。すると奥からアリアとシータが現れた。なんかアリアは少し疲れた感じが見えるんだけど。まぁいいや。
交代と言った感じで俺達男性陣が今度は先程の作業場へ行った。
「いらっしゃい、誰からする?」
ベティーさんがそう言うとなぜかガイとブランは俺の方を見た。はいはい、わかりましたよ。
「じゃあ俺からで。」
そう言って俺はベティーさんの前まで行った。
「服一枚ぐらいになってくれたら大丈夫だから。全部脱ぐ必要はないわよ。」
ベティーさんは手にメジャーの様な物を持ったままそう言った。
お読み頂きありがとうございます。
新キャラの登場です。
後別の小説を書き始めました。
『ドワーフのすゝめ』というタイトルです。
1人の天才が異世界のドワーフに転生し、知的好奇心を満足させる為冒険の旅に出るファンタジー物です。
宜しければそちらもお読み頂ければ嬉しいです。
ただこちらの小説をメインに書いていくつもりなので更新はそこまで早くないと思います。
ってどんだけドワーフ好きなんだってことなんですけどね。こちらのメインヒロインもドワーフですから。




