15
後半のほうが少しだけ柊視点からずれてます……。
読みにくかったらすみません(-_-;)
「あ……」
その日、日直だった柊はお昼休みを二人よりも少し早めに切り上げて、先に授業の準備をするために教室に戻ろうとしていた。
すると、柊は廊下で、倒しそうにサッカーをする麗と翔に気がついた。
すると、麗も柊に気づいて、嬉しそうに駆け寄ってくる。
「柊!」
「わざわざ走ってこなくてもいいのに……」
と、柊は半ば呆れて、でも、少し嬉しくなってそう言って笑った。
「うん、でも話があったんだ」
「話……?何?」
「今日から一緒に帰らない?柊も部活で遅くなるし、大体俺と同じくらいの時間に帰るんなら送るよ」
と、麗は窓枠に両腕を置いてその上に顎を載せて微笑む。
「でも、面倒じゃないの?わざわざ送ってくれなくても、私は平気だよ?」
「この頃暗くなるの早くなってきたし、そのほうが俺が安心なんだ。ただ、柊が俺の事を少し待つのが嫌じゃなければなんだけど?」
麗はそう言って少し意地悪い顔をして柊の顔を下から覗き込んだ。
麗の方が背が高いとはいえ、今は校内に居る柊のほうが少し麗よりの高い位置にいる。
「わかった。送らせて差し上げますよ、お兄様」
と、柊はそんな麗を見て楽しそうにクスクス笑う。
「責任もって、送らせていただきます、お嬢様」
麗はふざけて丁寧に頭を一つ下げると、一緒になって笑った。
「じゃあ、部活が終わったらそっちに行くね」
「うん、わかった」
麗はそう言うと、またサッカーの続きをするためにグラウンドへと戻った。
柊は今、自分がどんな顔をして麗を見ているのか気づいてはいない。
その顔は、とても愛しそうに……まるで好きな人を見守るような瞳だった……。
「柊、準備終わったの?」
麗の後ろ姿を見守っていると、柊に追いついてきた明が後ろに立っていた。
「あっ!?」
「終わってないのね……」
「やばい!次生物だから仕事いっぱいあるのに!」
と、柊は急いで生物の教室へと走った。
すると、同じく日直だった榊原雄太が、先に終わらせてしまっていた。
「ごめん榊原君。私、何もしてない……」
柊は申し訳なさそうに雄太に近づいた。
「いえ、麗先輩と話してるの見えたので。先にしてたほうが良いかなって……」
雄太は少し恥ずかしそうにそう言った。
雄太は、サッカー部のマネージャーをしているため、二人のことをこの間の練習試合の時に知っていた。
「見てたの?」
「はい。仲良いですよね、お二人。確か幼馴染だって……」
「うん、小さいころからいつも一緒にいたから、お兄ちゃんみたいな感じ」
「……お兄ちゃん?」
「うん」
嬉しそうにそう言って微笑む柊を見て、雄太は少し不思議そうな顔をして聞き返した。
「でも、さっきの伊吹さんが麗先輩を見る表情、ただの幼馴染だって感じじゃなかったんですけど……」
「え……?」
「いえ、僕の勘違いならいいんです」
「そう?」
柊はあまり雄太の話を意識して聞いていなかったため、その言葉を軽く流してしまった。
「じゃあ、片付けは私がするから。ありがとう」
そう言って柊は笑った。
「いえ、僕も手伝いますよ。日直は二人ですから」
「でも、準備してくれたし……」
「あまり気にしないでください。ボク、働くのが大好きなんですよ」
「そうなの……?じゃあ、お願いしようかな?」
「はい」
二人はそう言ってほのぼのと笑い合った。
「麗先輩、あそこで待ってるの、柊さんじゃないですか?」
放課後、雄太はそう言ってグラウンド際の芝生のほうを見た。
「うん、柊だよ。今日から送って帰るから、待ってもらってるんだ」
と、麗は妙に嬉しそうにそう言った。
「そうなんですか。……本当に、仲が良いんですね。今日も、とても嬉しそうに先輩の事を放してたんですよ」
「柊と話したの?」
「はい。今日、日直が同じだったんですよ」
雄太は何の裏も無く微笑む。
「へぇ。だから柊の事名前で呼ぶようになったの?」
と、麗もこれまた何の裏も無く聞いた。
もし、そこに優花がいれば、やきもちだと言って笑い転げているだろう。だが、こんな事が天然で言えるのが、麗なのだ。
「はい。伊吹さんだと堅苦しいから、柊で呼んでくれって、凄き勢いで言われちゃいました」
と、雄太は少し困ったように照れる。
「女の子にあんなこと言われたの初めてだったんで、最初は緊張したんですけど、柊さんとてもお優しいほうだったんで、少し安心しました」
「うん、柊は優しいよ」
麗はそう言ってどこか遠くの方を見つめた。
「麗先輩!みんな集まりました!」
その時、翔が遠くから麗を呼ぶ声が聞こえた。
「あぁ、今行く。……さ、行こうか」
「はい」
と、二人はみんなが集まっているほうへと駆けた。




