第三十七話 助手と薬草人の募集
第三十七話
助手と薬草人の募集
◆集まる人々
触れの翌朝、安命院予定地には十数名の女人が並んでいた。
若い娘、お凛。尼僧見習い・妙音。力自慢のお梅。読み書きの得意なお雪。
やよいは胸を熱くする。(郡山の女人が、自分の手で未来を作ろうとしてる)
さらに山の民も集まった。薬草に詳しい老婆、猟師、漁師の妻。
「女人の院やろ、力にならなあかん」
やよいは胸に手を当てる。(薬草は命の根。この人らがいてこそ安命院は動く)
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◆初めての講義
午後、やよいは初めての医の講義を行う。
「医は技だけやない。心を寄せることが一番大事です」
お凛が涙ぐむ。「やよい殿のようになりたい」
「なれます。皆さんなら必ず」
遠くから玄伯が見つめていた。
「変わることを恐れているだけだ。やよい殿の医は学ぶ価値がある」
その言葉は郡山の医の未来を静かに動かし始めた。
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◆安命院の試練
建設中の安命院に叫び声が届く。
「やよい殿! 城下で女人が倒れた!」
やよいは走る。(安命院ができる前に命がわたしを呼んでる)
若い妻は恐れの脈で呼吸が浅い。
「大丈夫。わたしがついてます」
お凛は白湯、妙音は手を握り呼吸を合わせ、千代は百合根を準備。
夫も声をかけ続ける。
やよいは心を戻し、姿勢を整え、呼吸を導く。
やがて赤子の泣き声が響く。
夫は泣き崩れた。「本当に……ありがとうございます……!」
外に出ると助手たちが涙ぐむ。
「やよい殿の言葉で動けました」
妙音が言う。「建物がなくても、医はここにあります」
(安命院は“命を救う心”そのものや)
噂は城下に広がり、玄伯の耳にも届いた。
「……やよい殿の医は本物だ」
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◆大鍋と火の院
建設最終段階。やよいは藤兵衛に願う。
「大坂城の台所所のような大鍋を据えたいんです」
「女人の命を守る院なら当然ですな」
巨大な鍋が据えられ、やよいは息を呑む。(これが命を守る火の心臓)
やよいは妙寿尼に頼む。「焼酎を蒸留したい。消毒に使います」
「未来を見ておるな」
滴り落ちる焼酎に助手たちは驚く。
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◆安命院、完成
南向きの産みの間、心の間、祈りの間、大鍋の台所所、薬草棚、助手部屋。
忠明公は言う。「そなたの医が郡山の形となった」
御台所は涙をこぼす。
完成祝いで、やよいは大鍋で滋養料理を作る。
百合根、大根、芹、白味噌、干し柿、薬草の香り。
女人たちは涙ぐむ。「身体も心も温かくなる……これがやよい殿の医……」
(大坂城の火が、今は郡山で命を守る火になった。この火を絶やさへん)
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こうして、わたくしは“弟子”と共に命を救い、
安命院に火と湯の仕組みを築き、
郡山全体を巻き込む医の輪を確かに動かしたのである。




