第60話 【最終回】エピローグ
我妻さんのミステリー研究会に入部申請は拒否された。
理由は以前推川さんが言った通り、普通の高校生活を送って欲しいからだという。
推川さんがこの研究会が普通ではないと自覚があったことが、僕は嬉しい。
でも我妻さんは毎日顔を出してきた。
結局みんなで話して、たま~に食事に行ったりしている。
我妻さんは事件が終わり、ようやくクラスのみんなと話すようになった。
以前のように話しかけられたら少し返すだけではなくて、自分から喋りにいったりもするようになった。
僕は横で見ていて、良かったと同時に、少し寂しく思う。
でも彼女が笑顔でいるのが1番だということには変わりがない。
少し経つと、我妻さんが事件関係者に挨拶に行きたいという。
協力してもらった感謝と警察からの事情聴取などで迷惑をかけてないかということだ。
5人で関係者のもとへいく。
電灯さんが来たのが意外だと思った。
僕が電灯さんを見ると「なに?僕が来たのが意外って顔じゃん。僕だって常識は持ち合わせてるつもりだよ」とスマホとノートパソコンをいじりながら言う。
せめて喋ってる時は、いじらないのが常識ではと思ったが、言うのはやめておいた。
見上さんは相変わらず、すれ違う人をチェックしている。
人混みが多いところなどでは疲れないんだろうかと思い聞いてみた。
「1人3秒ぐらい観察してるだけだよ」と言う。
それが疲れるんじゃと思ったがこちらも言うのはやめておいた。
関係者のみんなは明るく迎えてくれた。
そして愛美さんの思い出を話してくれた。
我妻さんは、そのたびに嬉しそうな表情を見せた。
母のことを1つでも多く知れるのが嬉しいみたいだ。
最後は小早川さんのところに行った。
小早川さんは僕らを見ると「真実を解明してくれてありがとう」と深々と頭を下げた。
そして我妻さんに「申し訳ない」と言って、ずっと頭を下げていた。
「もういいんです」と我妻さんは言う。
それでも小早川さんは頭を上げない。
「正直私はあなたにどう接していいかわかりません。でも母を愛してくれたならそれで充分です。たまにお墓にお参りに来てください」
そうして小早川さんの家を出た。
翌日の部室で我妻さんが疑問を言った。
「捜査でみなさんに母のことを聞いた時に、みんな印象が違いました。私の母は一体」
電灯さんが「ちょっと待って」と言ってまとめたものを見せてくれた。
愛美さんの印象
田所 愛美はどっちかというと美人だったね。そして何処かぽわんとしていた。
金沢 愛美は見た目はかわいかったね。それで何に対してもしっかりしていた。1人で抱え込むって感じだったし彼女は見た目がよかったから、羨ましいといつも思っていた。
細川 愛美はどこか冷たい感じがした。細くて綺麗だったけど、感情がうすいというか。
藤原 あの子は大人しそうな顔して男に媚びを売る最低な女よ。
渡辺 愛美はとにかくかわいかった。性格もよく、敵を作らないタイプだな。
小杉 外面が良い八方美人。他人に興味を持たないやつ。そのくせ思わせぶりなこともしたりする。
金沢2回目 かわいかったから羨ましいと思っていたよ。そして何に対しても危なっかしい面があった。
細川2回目 細くて綺麗な子だったわ。そして優しい人だった 根はやさしいけど、相手に話させない雰囲気があったからね。
これを見て推川さんが答える。
「愛美さんはね、誰にでも優しいが、誰にも本心を見せない少女だったんだよ。だから人によって印象がちがったんだ」
この言葉に我妻さんは納得したようだ。
僕はわかったようなわからないような。
わかることは、愛美さんは魅力的で、素敵な女性だったんじゃないかと印象をもった。
会ってみたかったなとも思ったのであった。
◆◆◆
それから数日後、ある出来事があった。
我妻さんに葉書が来たのだ。
差出人は母である愛美さんから。
タイムカプセルお届け便というものである。
葉書には赤ちゃんを抱えた愛美さんの姿が。
そして一言。
「向日葵、高校生活楽しんでる?」と書いてあった。
「これから楽しみます。お母さん!」
(完)
お読みいただきありがとうございす
これにて向日葵とミステリー研究会の話は終わります
これからは向日葵が新しく歩いて行くことになると思います
皆様に感謝を




