第四十六話 トンネル
-夜の獣人集落・族長タイラーの屋敷-
大広間に集まるタイラーをはじめレオルンドとサンドラとパルミラ
そして部屋の端で治療されたトモキとハヤテが寝ている
「しかしこの二人のお陰で本当に助かった・・・」
タイラーはトモキにかけられた毛布を掛け直しながらハヤテを見るとハヤテは自分で毛布を蹴り飛ばし大いびきをかきながら爆睡していた
「本当にこいつは人間か?ドラゴンの突進を止めちまうしよ。」
「邪魔するよ。」
玄関から豹人族の老婆が入りトモキとハヤテに近づくと小さな布袋を取り出し二人の鼻の近くに持ってくる
「う・・・ぐ・・・くっさ!!」
飛び起きるハヤテと鼻をつまみながら不機嫌な顔で起き上がるトモキ
「ひゃっひゃっひゃ、ただの気つけの香じゃよ。どうじゃ?目が冷めたろう?」
「冷めたところじゃねえよ、この世の終わりみたいな臭いしてやがった・・・」
豹人族の老婆は近くの椅子に座るとハヤテの目を見つめる
「さて、わたしはこの集落のシャーマンのグレース。タイラーから話を聞いて、ハヤテ・・・あんたにかけられた呪いを調べてくれと言われたんだよ。」
「呪いって魔力がなかったり武器が使えないってことか?」
「ああ。そんなの呪い以外じゃ考えにくい。ちょいとこちらにおいで、ここでしゃがむんだ。」
ハヤテはグレースの前に立つと言われるまま膝をつく
グレースは小声でブツブツと呪文を唱えながらハヤテの額に杖をあてる
「これはこれは・・・。あんた一体どんな宿命を背負っちまったんだろうね。・・・呪いじゃない・・・あんたの因果が捻じ曲げられてる。」
グレースは更にぶつぶつと呪文を唱える
「こんな人の因果を変えちまうような奴はこの世界に存在する数多の神の誰かか大昔に行方不明になった運命を司る大女神しかいない。」
大きなため息をついたグレースはハヤテの目を見つめる
「ハヤテ・・・あんたが異世界からこの世界に来たときに何者かによって因果を捻じ曲げられてしまったせいで武器や魔法が使えないようだ。呪いならわたしが解呪してやれるが・・・これは無理だ。すまないね・・・」
ハヤテは不思議そうに問いかける
「周りの奴らの話じゃ俺はこの土地の神様の不死鳥にこの世界に連れてこられたんだと。トモキや他の仲間は直接不死鳥と話してこの世界に来てる・・・つまり俺の因果を曲げたのは不死鳥ってことか?」
「それは違うね、不死鳥様は傍観神だから基本的にそのようなことはなさらない。おそらく不死鳥様が異世界の扉を開けお前さんが渡るときに何者かが干渉したのだろうて。」
「ふーん。」
まったく興味なさそうに話を聞くハヤテにしどろもどろするレオルンド
「ハ、ハヤテ殿。ふーんって・・・ご自分のことなんですぞ!?」
「いやだって結局は武器も魔法も使えないのは今まで通りなんだろ?なら別に今更焦ることじゃねえだろ。」
「それはそうですが・・・」
返答に困惑するレオルンドにトモキはや優しく話しかける
「ごめんねレオ。ハヤテも全く気にしてないわけじゃないんだよ、ただハヤテの中の優先順位は自分よりも他人なんだ。」
トモキはレオルンドを優しく見つめる
「もしこの中の誰かが呪いにかかってその解決方法があるとする・・・そしたらハヤテは真っ先にそれを行おうとするんだ。この中の誰かじゃなくても誰かが助けを求めればそれを最優先にする。」
「確かにそうかも知れません・・・ベルを連れてポルカから戻ったときも・・・ポルカの避難民に対しても。あの人は自分の危険を顧みず誰かのために動いていた。」
トモキは自分のカバンから記憶読みの水晶を取り出すと魔力を込める
「これアンネさんにもらったんだけど、今から少しだけ見せるね・・・」
水晶を自分の額に当てトモキの記憶を映し出す
-トモキの過去-
水晶から映し出された映像には目が隠れるほど髪を伸ばした小学生のトモキが数人の同級生から暴力を振るわれている
「やめて・・・ごめんなさい・・・」
泣きじゃくるトモキを笑いながら蹴り飛ばす同級生
「お前んち貧乏で給食費も払えないのに何で俺たちと同じもの食ってるんだよ!」
大柄の少年がトモキの背中を踏みつける
「俺の母ちゃんから聞いたんだ。お前んちの父ちゃん死んだからお前の母ちゃんが働いてるんだろ?稼ぎが少ないから給食費も払えないし新しい服も買えないんだぁ!この貧乏人が!」
地面にうずくまるトモキを数人で殴る蹴るなど暴行をする
「たすけて・・・ごめんなさい・・・たすけて・・・」
その時トモキに暴行を加えていた少年の一人が後ろにふっとばされる
「何してんだてめえら!」
そこに立っていたのは怒りをあらわにして立っていたハヤテとタクマ、その後ろにアヤがいた
「とおちゃんがいねえからなんだ・・・こっちは最初から両方いねえわクソボケがぁ!」
ハヤテとタクマの二人はそれ以上の人数の少年たちとケンカを始める
「大丈夫?ほら、血が出てる。」
ハンカチでトモキの血を拭うアヤ
「ごめんなさい・・・ごめんなさい。」
涙を流しながら謝るトモキに大声を出すハヤテ
「泣くな!前を向け!こんな奴らに負けるな!どんなに頑張っても負けそうなときは・・・俺を呼べ!絶対に助けてやる!」
「ハヤテくん・・・」
泣き止んだトモキはケンカしているハヤテの後ろ姿をただ見ていた
「俺についてこい!お前の邪魔するやつは全部おれがぶん殴ってやる!!」
「うん・・・うん・・・」
水晶の映し出していた映像が消えていくとトモキはそっと水晶をカバンにしまい込む
「これは僕が初めてハヤテに助けられた時の記憶・・・今更ながらこんなの見せるのは恥ずかしいんだけどね。ハヤテはあの時から僕の【英雄】だったんだ。ハヤテは自分よりも他人のために動くそんな男なんだよ。」
目頭を強く抑えていたタイラーはトモキを抱きしめる
「お前さんも辛いことがあったんだな。安心しろ、この世界では俺もお前の味方だぞ!」
「ありがとう、タイラー。・・・ん?」
するとトモキは奥でブツブツとつぶやいているパルミラとサンドラに気がつく
「トモキ様を迫害するなんて許せない人間どもでも子供の頃のトモキ様かわいいい守りたいかわいいだいすき守りたい・・・」
「ハヤテ様カッコイイさすがハヤテ様もうさすハヤよさすハヤ、ああもうあの頃のハヤテ様と知り合いたい・・・まだアヤに負けてるわ・・・」
「ふたりともなんて言ってるの?」
「気にするなトモキ。」
タイラーは奥の二人を見る
(こいつらやはりトモキとハヤテのことを・・・)
すると屋敷の扉を勢いよく開けて入ってくる大柄な虎人族の女性
「兄上!ただ今戻りました!この騒ぎは何事ですか!?民達がドラゴンの死骸を解体しているなんて!」
「デミアか。エルミガントへの武者修行から戻ったのか。実はな・・・」
タイラーがデミアと呼ばれる虎人族の女性にハヤテ達の来訪とフォレストドラゴンの襲撃の事を説明するとデミアはハヤテをじっと見つめる
「この人族がフォレストドラゴンの突進を止めた?・・・ふふっ、兄上も冗談がうまくなった。」
「冗談ではない。事実今日この日にハヤテとトモキが居てくれなかったらお前が帰る頃にはこの集落はなくなっていただろう。俺はこの日に二人が居てくれたことに深く感謝している。」
「・・・」
ハヤテの前に立ちハヤテを見下ろす
(でけえな。レオと身長変わらなそうだな。190はあるかな?)
「いくら兄上の言う事とは言え信じられませんね。このような人族が・・・」
「デミア!ハヤテ様を侮辱することは私が許さんぞ!」
大声をあげるサンドラに驚くデミアはその様子に笑みを浮かべる
「私と同じように人族を毛嫌いしていたお前が・・・その変わり様はなんだサンドラ!」
「ハヤテ様とその仲間たちは我が同族を助けてくれた!確かに人族は我々亜人に耐え難い屈辱を与えてきた。・・・だがこの人達は本当に違うんだ。」
「・・・お前がそこまで言うか。」
デミアは必死に訴えるサンドラの目を見つめると強張った表情を徐々に解いていく
「わかったよ。あんたがそこまで言うなんてね。・・・兄上の言うことも信じるとします、・・・悪かったな人族の雄よ。」
「いや、いいよ。そんなことよりも俺たちのせいでお前ら同族が言い争うほうが問題だ。もし迷惑ならすぐに出ていくよ。」
ハヤテの発言に慌てだすレオルンドとタイラー
「ハヤテ殿!迷惑なことなんてありません!」
「そうだぜハヤテ!お前さんたちは俺たちのために必死になってくれたじゃねえか!妹が悪かったな、俺からしっかり言っとくよ。」
焦る二人の様子を見て同じく焦りだすデミア
「何も知らなかったとは言え、無礼な態度を知って申し訳なかった!」
そんな三人を見て苦笑いするハヤテ
「わかった、分かったてば!」
「そういえばハヤテ。あの事・・・みんなに話すんでしょ?」
トモキの言葉にハッとするハヤテ
「そうだ!レオとサンドラの両親のことだ!」
「我々の両親のこと・・・ですか?」
「ああ!まだ確証はないんだがお前らの親はまだ生きてるかもしれないんだ。」
レオルンドとサンドラは顔を見合わせてハヤテに問いかける
「生きているとはどういうことでしょうか・・・それになぜハヤテ殿がそれを・・・」
ハヤテは真剣な顔つきで【時折幻のようなものを見ること、前世の人格であるラインハルトがハヤテに話しかけてくること、そしてハヤテが見た過去のラータでの出来事】を全てレオルンドたちに話した
「これはまだトモキにしか話してない。タクマやアヤ、そしてエルドたちにも話してないことなんだ。」
サンドラはその場で膝を付き呆然とする
「そんな・・・父様たちが・・・」
「姉上・・・我々だけではありません。エルド殿やブレダ殿のご両親も関わっていたなんて。」
タイラーは目を閉じうつむく
「確かに、前族長であるレオルンドの親父さんたちは当時できて間もないラータに友好を結ぼうとエルシアに赴き行方がわからなくなった。まさかそんなことに巻き込まれていたなんて。」
ハヤテは落ち込むレオルンドたちにそっと話しかける
「あの時見せられた映像の中でエルドの爺さんが【必ず助ける】と言った。だからみんなは生きているんじゃないかと俺は思ってるんだ。」
ハヤテ達の会話を黙って聞いていたグレースはハヤテに尋ねる
「ハヤテの言うことは信憑性がある。予言の力を持った者などはそのように意識だけがその時代に飛ぶという体験があるらしい。ちなみにハヤテ、その魔物はどのような姿なんだい?」
「確か大きさは3メートルから4メートルはあったと思う、そんで人の形をしていたけど手足がやたらと長い・・・それと全身が真っ黒で・・・まるで影みたいな黒さで頭には大きな口しか見えなかった。」
話を聞いたグレースは持っていた杖を落とす
「まさか・・・【暴食の王】か!・・・レオルンド、サンドラ悪いことは言わん・・・親のことは諦めろ・・・」
「なぜですか!?父上と母上のことがやっとわかったのに!」
「勝てんのじゃ。あれには攻撃も魔法も何も効かぬ。いにしえから伝わる神話級の怪物・・・一方では堕ちた神の一人とも言われておる。・・・戦って勝つなど不可能なんじゃ。」
ハヤテはグレースの前に歩み寄り目を見つめる
「分かる範囲で良い。教えてくれ。」
「あれは常に飢えており何でも食らう、過去には街を丸ごと一つ飲み込んだと言う伝承も残っておる。食われたものはその場で死ぬことはなく暴食の王の巨大で無限と言われる胃袋の中で生き続けるのだ。腹も減らずただ時間だけが過ぎていき歳をとりやがては朽ち果てる。たしかに話が本当なら皆生きておるだろう。だが救う手段がない・・・」
表情を曇らせうつむくレオルンドとサンドラ
「んなもん分かんねえだろ!」
大きな声をあげるハヤテに驚き全員が視線を向ける
「俺にあの過去を見せたのがラインハルトなのかどうかは知らん!だけど見せられたってことは誰かが俺に何かをさせたいって事なんだろ!だったら俺はやる!食われるその瞬間を見せられたんだ、このままでたまるかよ・・・それに俺は不可能って言い方が大嫌いなんだ!どんな事にだって何かしらの解決方法があるはずだ!」
ハヤテは全員の前を早歩きで通り玄関から表へ出ていく
「・・・」
沈黙が続く屋敷の中でグレースが申し訳無さそうに口を開く
「怒らせてしまったかの・・・」
「ごめんね、ハヤテこういうことになるとどうしても考えが一直線になっちゃうから・・・今日はもう休もう?」
「そうだな、トモキの言う通りだ。ここでこれ以上話してもどうにもならんだろう。今日は解散して先程の話はまた後日情報を集めるとしよう。」
各々が解散し家に帰宅し一夜を明かす
-翌朝-
トモキがパルミラの家から出て外の井戸で顔を洗っているとレオルンドが歩いてくる
「トモキ。ハヤテ殿を見ておらぬか?」
「ハヤテ?見てないけどどうしたの?」
「それが・・・朝起きてみればハヤテ殿の姿がないのだ。まさか昨晩のことで怒ってラータに帰ってしまったのでは・・・」
「それはないよ。ハヤテはそんなことじゃ本当に怒ったりしないし出ていったりもしない。井戸の改良はもう終わってるから・・・はちみつの採取場所か、こことラータの間にある北の山の麓にでも行ったんじゃないかな?」
「山の麓?なぜそんなところへ?」
「あれ?聞いてない?こことラータを最短距離で結ぶトンネルを掘るって。山を迂回しなければ馬車を引いても2時間で行き来できるからってね。昨日の時点でハヤテのゴーレムたちが工事を始めてるはずだよ。」
トモキは顔を拭いて大きく背伸びする
「僕ははちみつの採取場所に行ってくるよ。レオは北の山の麓行ってみたら?」
「わかった。私は姉上と山の麓に行ってみる。」
-獣人集落北の山の麓-
レオルンドとサンドラが歩いて山の麓に近づくとサンドラがあることに気がつく
「ねぇレオ?なんか山に近づくに連れて地響きのような・・・なんかこう・・ごごごって音が聞こえない?」
(姉上まで私の名前を略すようになったな・・・)
「ええ、たしかに音が少しづつ大きくなってますね。」
歩みを進める二人は麓の崖にたどり着くと巨大な横穴を発見する
「こんな大きな横穴・・・いつの間に・・・」
横穴は横幅4メートル高さ3メートルほどのきれいな四角状に掘られており等間隔に木の板で天井を抑え、それらを支える柱が立てられている
「すごいわ・・・これほどの大きさなら中で荷馬車もすれ違える。あら?あれは・・・」
横穴の入り口の脇でビルダーズの一機が自ら発生させる空間の裂け目を開きそこから大量の土砂が吐き出されおり、別のもう一機が土砂から土と石材を分別している
「間違いなくハヤテ様ここにいるわね。」
「ですね。しかしこの横穴かなり奥まで掘られているようですが、風が中に向かって吹いていますね、これは誰かが魔力を使って風を入れているようだ。」
「入ってみましょう。」
サンドラとレオルンドは松明に火をつけ中に入っていき暫く歩く
「かなり長い距離ですな。一体どこまで掘ってるのか。」
「これも新しく使役したゴーレムの力なのかしら?すごいわねホーマ族の造ったゴーレムは・・・」
「姉上、ゴーレムだけではここまではいかないでしょう。横穴が崩れないように補強されている天井や柱・・・ハヤテ殿の知識が合わさってこその技術と言えると思いませんか?」
「そうね。あなたはそれを見越してハヤテ様のもとにいることを選んだのね。」
「ええ。きっとハヤテ殿はラータだけに留まらずアドラシアさえも豊かにするでしょう。」
話しながら進んでいると奥の方にとても強い光が見え、二人はその光を目指す
穴の奥ではロードビルダーが岩盤に水をかけながら砕き人間の徒歩くらいの速度で前に進んでおり、二機のビルダーズは空間の裂け目を使い砕かれた岩を外のビルダーズに向けて流している
「ハヤテ殿!」
「ん?」
ロードビルダーの横で工事を見ているハヤテはレオルンドの方に振り向く
「おうレオ、それにサンドラもどうした?」
「どうしたって・・・朝から姿が見えなかったので探していたんですぞ。」
「わりぃわりぃ。あれからどうも寝付けなくてな。夜中からずっとトンネル掘ってたんだ。」
ハヤテの返す笑顔に安堵するレオルンドに対してサンドラは不機嫌そうにする
「ハヤテ様!なんでその女がそこにいるのですか?」
サンドラの指さしたところに立っていたデミア
「なんだサンドラか。私はあれからハヤテにどうしても非礼を詫びたくてな、夜中に集落から出ていこうとするハヤテを追いかけてきたのだ。そしたら工事で風魔法を使いたいというのでずっと手伝っている。」
イライラするサンドラは感情を抑えつつもデミアを帰らせようとする
「そうか。ならデミアお前はもう帰って休め。あとは私がハヤテ様を手伝おう。」
「いや、ハヤテとたくさん話していてな。面白い話を聞かせてもらってから楽しくてもっと話したいんだ。私は大丈夫だからお前が帰れサンドラ。」
「いやお前が帰れデミア!」
「いやお前が!」
にらみ合うサンドラとデミアを離れたところから見ていたハヤテ
(ライオンとトラの戦い・・・どっちが強いんだろうか・・・。ってそんな事を考えてる場合じゃないか。)
「おいお前らこんなところで喧嘩すんじゃねえよ。」
ハヤテは両手をケンカしている二人の間に差し込んで引き剥がそうとする
「もう喧嘩すんなら帰れよ。あとはレオに手伝ってもらうから。クラフトゴーレム、この二人を外につまみ出せ。」
空間の裂け目から現れたクラフトゴーレムはそっとサンドラとデミアの腰を掴みトンネルの出口へと歩いていく
(姉上・・・)
「レオ、風魔法で外から空気を引っ張ってきてほしいんだ。こんだけ奥だと酸素がなくなるからな。」
「わかりました、ハヤテ殿。あのゴーレムの上で光ってるものはなんですか?ずいぶん明るいですが。」
レオルンドはロードビルダーの上に置かれた松明の魔道具を指差す
「ああ・・・あれか、こないだ遺跡で見つけたんだ。20個くらいあったからこの一個以外は集落にくれてやったぞ。」
「・・・くれてやったって、結構価値のあるものじゃないんですか?いいのですかあげてしまって。」
「んー。これ結構簡単な作りしてるみたいだから複製できると思うんだよ。だから問題はねえ!それにタイラーも夜の集落のことを考えて欲しがってたからな。」
「そうですか・・・それならいいのですが。」
「それよりも後一時間位でぶち抜けるぞ!」
「ぶち抜ける?何がです?」
「まぁ楽しみに待ってろ。」
一時間近くが経過するとロードビルダーは掘削速度を落とす
「来るぞ・・・来るぞ!」
ハヤテはワクワクしながらレオルンドを見る
「ゴクリ・・・」
レオルンドは掘削している先を見つめると崩れた壁の先から光が漏れる
「おお・・・」
壁が崩れ光が入り込むと二人は眩しさに目をすこし眩ませるが慣れてくるとトンネルの先の景色が目に入る
「おお・・・おお!あそこに見えるのは!」
「見えたな!レオ!あそこに見えるのはラータだ!」
「すごい・・・本当に山を彫り抜いた・・・」
トンネル出口から見えるラータ、中央に立つエルドの屋敷の屋根が一番高いことがうかがえる
ロードビルダーとビルダーズは空間の裂け目の中に帰っていく
「よーし帰るぞレオ。」
「えっ?もう戻るんですか?」
「だってトンネル完成したし。トモキ達も集落に残しっぱなしだろ。」
ハヤテとレオルンドは掘ったトンネルを戻って集落へと戻っていく
(ハヤテ殿って結構淡白だな・・・)
-続く-




