第四十五話 フォレストドラゴン
-三日目の獣人集落-
遺跡から戻ったハヤテは朝早くから集められた木材を使い集落の井戸に屋根付きの滑車を取り付けるために井戸の補強作業をしている
するとすぐそばで遊びだす獣人族の子供たち
「おい!ちび共!井戸のそばで遊ぶんじゃねえよ。あぶねえだろ!」
ハヤテは子供たちが井戸に落ちないか心配で作業の手が止まる
(くそぉ。なにかいい方法はないか・・・)
あたりを見渡すと集落の中央に大きな木が生えていることに気がつく
「でっけぇなぁ・・・20メートルはあるんじゃないか?・・・なぁあんた。」
ハヤテは近くを歩く獣人族の青年に声をかける
「この木ってなにか大切なものか?」
「いや。そんな事はない。だた生えてるってだけだが?」
「そうか、ありがとう。」
-数十分後-
ハヤテの作業している場所にやって来るトモキとタイラー
「なんでい。ハヤテの野郎居ねえじゃねえか。」
「おかしいね。作業もまだ終わってないようだし・・・」
二人が周囲を見渡すとどこからか子供たちの笑い声が聞こえる
「あんなに笑い声が聞こえるとは珍しい、行ってみるか。」
二人は声のする方へ歩くとそこには大きな木の枝にロープと木の板で作られたブランコが2つ吊り下げられており、ハヤテはそれに座る子供たちの背中を押していた
子供たちの楽しそうな笑い声につられ、集落の大人たちも少しづつ集まりブランコを吊り下げた木の周りに人だかりができる
「ハヤテ!」
「トモキか、どうした?」
「どうしたじゃなくて井戸・・・」
「あ・・・」
ハヤテが集まる人だかりの中にタイラーの姿を見つけると大声で名を呼ぶ
「タイラー!俺作業に戻るから、この子ら頼むわ!」
「お、おい!まてどうしろと言うんだ!」
「座らせて優しく背中を押してやればいいだけだよ!あとよろしく!」
ハヤテは人だかりを抜け井戸の方へと戻っていき、それをトモキが追う
「ったく。」
「族長さま。遊んでくれるの?」
タイラーの腰みのをつかみ見つめる子供たち
「・・・仕方ない。相手をしてやる!順番に並ぶがいい!」
子供たちは喜びタイラーや他の大人たちはブランコで遊ぶ子供を見守る
-井戸-
作業現場に戻ったハヤテは道具の中から様々な大きさの【のみ】を取り出し木を削り車輪のような物を作り出す
「ねぇハヤテ。昨日見に行った養蜂の事なんだけどさ。」
「おう、どうだった?」
「ハチはアドラシアの温暖な気候じゃないと生きていけないらしいんだ。エルシアにも夏しか居ないんだって。」
「そっかぁ。じゃあゴブリン達みたいに何か物で取引してもらうか。」
「うん。それとね・・・」
トモキは獣人たちのハチミツの採集方法を伝える
「マジか・・・。不純物だらけって・・・」
「まだ布で濾しているからある程度は大丈夫だと思うんだけど。」
「うーん。じゃあ遠心分離機だな、あれならテレビで見たことがあるから作れると思う。あとは分離機に入れることを考えるとやっぱり巣箱が必要になるか。」
「道具は分かるんだけど。巣箱を作った所でハチがうまく巣を作ってくれるかどうか・・・」
「んだなぁ・・・まぁそれは作ってみてからの話とするか。」
二人が会話してるとパルミラが一人で歩いてくるが辺りを見渡し何かを警戒しているようだった
「ハヤテ様。」
「・・・パルミラがトモキを差し置いて俺に話しかけるなんて珍しいな。どうした?」
「ひ、冷やかさないでください!」
パルミラは顔を赤く染めながらトモキをチラ見すると再びハヤテの顔を見る
「実はハヤテ様に相談したいことがありまして。サンドラ様のことで・・・」
「よし。ちょっと場所を変えるか、トモキも行くぞ。」
「行くって井戸はどうするの?」
「どうするってもう完成してるぞ。」
トモキは井戸に視線を向けると屋根のつけられた井戸に木製の滑車にかけられたロープが視界に入る
「本当にデタラメだね、そのクラフトスキル。」
三人は人の少ない路地裏に入る
「んで?相談って?」
「実はサンドラ様に弓を造って頂きたいのです。」
「弓?あの矢を撃つ弓か?」
「はい。」
ハヤテはトモキと目を合わせる
「うーん。すまん。話が見えないからもうちょっと話を掘り下げてくれないか?」
「あっ、すいません。実はサンドラ様の適正は戦士ではないのです。」
「パルミラさん、適正ってなんですか?」
「適正とは産まれた時にはすでに決まっている物で適性が魔法職であればどんなに研鑽を積んでも戦士としては中途半端になってしまう・・・といえばわかりますか?」
「なるほど。そんでサンドラの適性ってのは何なんだ?」
「サンドラ様はレンジャー。本来であれば弓や短剣を得意とするのです。」
「じゃあなんであんなゴツい両剣持ってるんだ?」
「それは・・・レオルンド様のためなのです。」
「うーん、要領を得ないな。もっと最初から話してくれ。」
「はい。これはレオルンド様がまだ幼く5歳頃の話です。実はレオルンド様とサンドラ様のご両親は我々獣人の中でも人族との共存を望む少し変わった考えを持っておられました。
そこでご両親は当時のラータの領主に会いに行くと言い残したまま行方不明になりました。
このことはサンドラ様はご存知ですが、幼かったレオルンド様は覚えておらぬがゆえ伏せられてるのです。
それからサンドラ様は幼いレオルンド様を守るために遠距離武器である弓を捨て剣を持つようになったのです。元々サンドラ様はとても責任感の強いお方、当時7歳とは言え弓の名手にもなり得たでしょうに・・・
こうしてレオルンド様が逞しくなられた以上サンドラ様が剣を持ち続ける必要はないのです。
どうか、お願いします。」
ハヤテは目を閉じて座り込む
(繋がった・・・あの記憶と。あの獣人はやっぱりレオたちの親だ。)
「まぁ話はわかった。とりあえず武器の話は帰ってからだな。機材を持ち帰って設備を揃えてからだな。」
「はい。よろしくお願いします。」
パルミラは路地裏から出て自宅の方へと歩いていく
トモキはパルミラの後ろ姿を目で追いながらもハヤテを気にする
「・・・なんか・・・あるんでしょ?」
「ああ。・・・まぁ後でタクマやアヤにも話そうとは思っていたんだが。」
ハヤテは以前ラータの外の森で見た幻の様な体験をトモキに話す
「なるほど。黒い存在に飲み込まれた獣人にアマゾネス族、それにエルドさんのご両親と思われる貴族。ハヤテの話からするとその人達はエルドさん、レオとサンドラさん、それにブレダさん。それぞれのご両親に関係してるんだね?」
「おそらく・・・まぁ間違いないか。でもどうしたら良いか分からねえし。」
「ラータに帰ったらその事調べてみようよ!その土地に事を調べるならエルドさんの屋敷に書物があるかもしれない!」
「そっか。そうだな。よしそれもやろう。」
その時、爆発音と共に集落全体に地響きが響き渡る
「なんだ!?」
ハヤテとトモキはあたりを見渡すと大勢の獣人の女子供達が中央の広場から逃げるように走ってくる
「人間さん!逃げてください!ドラゴンが!ドラゴンが!」
走りながらハヤテとトモキに危険を伝える獣人の女性
トモキとハヤテはお互いに驚いた表情で顔を見合わせる
「ハヤテ!どうする!?」
「レオやサンドラ達の姿が見えない。きっとそのドラゴンのところだ。トモキは俺の前には絶対に出るなよ!行くぞ!」
-集落中央の広場-
獣人族の戦士たちが武器を構え空を警戒するなか、タイラーは物見櫓に上がり空を見ている
「弓隊と魔法職は後方から攻撃準備!前衛職は後方を守ることに徹しろ!姿を見せるまではじっとしていろ!」
空からはけたたましい咆哮が響き渡り獣人の戦士たちは表情を引きつらせながらも武器を構える
「きたぞ!」
一人の獣人の声ととも上空に現れる体長10メートルほどの緑色のドラゴン
ドラゴンは上空に留まったまま羽ばたき獣人たちを見下ろす
「攻撃開始ぃ!」
タイラーの号令とともに一気に放たれる矢に対しドラゴンは口から圧縮された光線状のブレスを吹き
飛来してきた矢を燃やし尽くすと獣人たちを炎に包む
「召喚!アンブッシュプラント!属性は水、対象は炎!」
その場に現れたトモキが召喚したアンブッシュプラントは枝から水を飛ばし炎を消化しているとドラゴンは再びブレスを吐こうとする
「それ借りるぞ!」
大盾を背負った獣人の戦士から大盾を外し最前に出たハヤテは大盾でドラゴンのブレスを正面から受け
「くそっ!あっちい!」
鉄で作られた大盾は真っ赤になるまで加熱され徐々に表面が溶け出していきドラゴンのブレスが収まるとハヤテはすぐに大盾を手放す
「火炎放射器どころの威力じゃないぞ・・・これ・・・」
表面がただれた自分の手のひらを見るハヤテ
「ハヤテ殿!」
「レオ!大丈夫か!?」
「はい!ハヤテ殿とトモキのお陰でまだ死人は出ておりません。」
「アドラシアってあんなのしょっちゅう出てくるのか?」
「まさか!あれはフォレストドラゴンと言って森から森へと移り住みめったに見ることなどありません。」
「あのドラゴンの目的は何だ?まさか俺たちをエサかなんかだと思ってるんじゃないだろうな・・・」
「おそらくそれもあるでしょうが、エルミガントの山脈に住むドラゴン以外は【古代竜ニーズヘッグ】の支配下にないドラゴンですので自分勝手に腹を空かせては里を襲ったり動物や他の魔物を食うと聞いたことがあります。
ただ奴らの目的はそれだけでなく、己の強大な力を他の種族に見せつけ殺戮をただ楽しむといった目的もあるようです。」
「なんて迷惑な奴だよ。」
ハヤテは集落の上空で羽ばたくフォレストドラゴンを見上げる
(あんな炎を空からバンバン撃たれたら一方的にやられちまう・・・なんとか奴を地面に降ろさないと。)
すると再びフォレストドラゴンは口を開き炎を溜め込む
「また来るぞ!盾持ちは前へ!」
タイラーの号令に合わせて戦士たちが盾を構え前に出るがフォレストドラゴンから放たれる炎を見て戦士たちは絶望する
「無理だ・・・さっきよりでかい・・・」
「偉大なる先祖たちよ、我らをお守りください。」
「母ちゃん。きっと俺がみんなを守るからな。」
絶望する戦士たちの構える盾はハヤテが初撃を止めた盾よりも貧相でとても耐えられるものではなかった
「我は不死鳥の眷属なり、命を司る神の名において等しき守りを与え給え。等しき守りの代償は神の信徒たる我が受けん!【フェニクス・フィールド】」
後方で魔法を詠唱したトモキを中心に炎のように赤く揺らめく光の壁がドーム状に広がりその大きさは集落を覆い尽くす
フォレストドラゴンの炎は光の壁を突き破ることもできず、ドラゴンはただトモキを睨みつける
「・・・っく!!熱いっ!」
トモキの着ているローブが急に燃えだし急ぎ脱ぎ捨て肌を露出させると肌は赤くなっている
「トモキ!」
膝をつくトモキの側に寄るタイラーはトモキの身体を見てフェニクスフィールドを理解する
「おまえ・・・俺たちの為に・・・」
目に涙を浮かべるタイラーと駆け寄るパルミラ
「トモキ様!トモキ様!」
両手で杖を掴みなんとか倒れまいとするトモキの皮膚はひどい火傷痕を追っている
「みんなを守るフィールドにかかるダメージを十分の一にして代償として術者に背負わせるらしいけど・・・これは・・・きついや。鉄盾で防いだハヤテってやっぱりおかしいよ・・・」
「トモキ!無理しやがって。誰かトモキの治療を頼む!」
獣人達によって集落の奥へと運ばれるトモキを見ていたハヤテ
「本当にお前はすごいやつだよ。あとはなんとかする。・・・サンドラ、その武器を俺にくれないか?」
サンドラはキョトンとした顔でハヤテを見つめる
「でもハヤテ様・・・武器は・・・」
「ああ。お前の両剣はここで折れることになる。お前は代わりにこれを持ってろ。」
ハヤテは近くに立てかけてあった弓と矢を取りサンドラに渡す
「パルミラに聞いたよ、お前はこっちのほうが得意なんだろ?もうレオはお前に守られる必要もないくらい強い。もうこの剣はいらないだろ。」
「ハヤテ様。」
「剣なんか無くてもよ。今度は俺がレオもサンドラも守ってやっから。」
ハヤテはサンドラに笑いかけながら両剣を受け取る
「レオ!タイラー!手伝ってくれ!あのクソトカゲを地面に叩き落とすぞ!」
「ハヤテ殿・・・ハイッ!」
ハヤテのもとに集まる獣人たち
「いいかトモキが倒れた以上あのフィールドがいつ消えてもおかしくない。ましてや今攻撃を受ければ治療中のトモキに追い打ちがかかる。短時間でアレを地面に落とす!」
「それは分かったが何か策があるっていうのか?」
「ここの獣人たちはみんな風魔法を使うんだろ?俺とレオを全員の風魔法であのドラゴンのところまで打ち上げてくれ!俺とレオはそれぞれあのドラゴンの翼を切り落とす。」
「おいハヤテ、いくらなんでも無茶だろ。」
「あんな無茶苦茶な存在が相手なんだ、こっちだってそれなりの覚悟決めないと勝てっこねえだろ。」
「だがハヤテ・・・」
タイラーはハヤテを不安そうに見つめるがハヤテはタイラーの目を見返す
「さっさとやらねえとトモキの行動が無駄になる。」
「!!」
タイラーや獣人族の戦士たちはその場に残されたトモキの杖を見る
杖はまだ魔力を宿している為かその場で直立し回転している
「ああ。わかった。聞いたな野郎ども!全員魔力を練り上げろ!」
獣人族の戦士たちは集中し魔力を溜めだすとハヤテとレオルンドは広場中央の大木を駆け上がり頂上近くなるとハヤテが大きな声で合図を送る
「今だ!打ち上げろ!」
獣人達の放った風魔法は大木の頂上にいるハヤテとレオルンドを更に高く上空に打ち上げる
「レオ!風魔法をうまく使って自分の姿勢をコントロールしろ!」
「ハヤテ殿は!?」
ハヤテはレオルンドに笑いかけ余裕の表情を見せる
「俺がなんの考えもなしにここまで飛ばされたと思ってるのか?任せろよ。」
ハヤテとレオルンドが上空のフォレストドラゴンに近づくとドラゴンは更に高く上昇しようとする
「おいドラゴン。なんでわざわざお前に近づいたと思ってるんだ?来い!ビルダーズ!」
フォレストドラゴンの周囲に発生した空間の裂け目から現れるビルダーズ達にハヤテは号令をかける
「アンカーワイヤー射出!やつの動きを止めろ!」
ビルダーズたちから射出されるアンカーワイヤーはフォレストドラゴンに刺さり羽ばたく翼の動きを止めるとレオルンドが斬りかかる
「覚悟!」
レオルンドの大剣はフォレストドラゴンの右翼の根本に食い込むと大声を上げながら大剣を振り下ろす
「「おおおおお!」」
地上から獣人たちの歓声が聞こえる
レオルンドの大剣は振り切られ右翼はフォレストドラゴンの身体から切り離されると空中で暴れレオルンドを吹き飛ばす
「おらぁ!!」
ハヤテがサンドラの両剣を左翼に向かって振り下ろすが翼の半分まで食い込むと両剣の片刃が折れるが、すぐさま持ち手を変えて更に斬りつける
「ハヤテ殿ぉ!!」
風魔法で姿勢を保ちながら降りていくレオルンドとは離れたところでドラゴンときりもみながら落ちていくハヤテ
「ビルダーズ!全機撤収!」
空間の裂け目に戻るビルダーズ達を確認しフォレストドラゴンの角にしがみつくハヤテ
(落ちる直前にこいつの身体を蹴って横方向に飛べば多少は威力を相殺できるか・・・)
するとフォレストドラゴンは頭を振り回しハヤテを引き剥がすと口を開き炎をためながらハヤテを睨みつける
(やべぇ!!)
「ピアッシングショット!」
地上から放たれた一本の矢はフォレストドラゴンの右目を貫きブレスはハヤテを大きく外す
「すげぇ。あんな遠くから・・・。すげぇよサンドラ!」
右目から血を流しながら顔を地上に向け炎を溜め込むフォレストドラゴンはサンドラを睨む
「逃げろ!サンドラ!」
タイラーの大きな声とともに振り返り走り出そうとするサンドラ、しかしフォレストドラゴンのブレスはサンドラをめがけて放たれる
「だめだ!よけられねぇ!」
獣人の一人が言葉を漏らすとサンドラは走るのをやめて振り返り迫りくるブレスを見つめる
(ああ・・・。パパ、ママ・・・私もそちらに・・・)
「おおおおおおおお!させるかぁぁ!!」
全身が白い光に包まれたハヤテはブレスとサンドラの前に着地し正面からブレスを受けながら突進し、地面に落ちたフォレストドラゴンはすぐに起き上がり炎に包まれたハヤテめがけて走り出すがハヤテに角を捕まれ動きを止められる
「レオ!こいつの首めがけて重破断を使え!」
「・・・はっ!」
まだドラゴンとハヤテの上を降下していたレオルンドは大剣を頭の上に持ち上げ魔力を武器に込める
「獣王戦技!重破断!」
上空からの加速と大剣の重さが相まってレオルンドの大剣はフォレストドラゴンの首を切断する
転げ落ちたフォレストドラゴンの首はハヤテを睨んだままただ静かに息絶える
タイラーはすぐにハヤテたちのもとに駆け寄りフォレストドラゴンの死亡を確認すると武器を掲げ雄叫びを上げ宣言する
「ドラゴンは死んだ!我らの勝利だ!」
自体を飲み込めずタイラーの言葉に数秒反応が遅れながらも獣人族たちは喜びに声を上げる
「信じらんねぇ!誰も死んでない!」
「生きてる!俺たち生きてるぞ!」
「ああ。偉大なるご先祖様・・・」
喜びを分かち合う獣人たちをよそにハヤテのもとに駆け寄るタイラー
「大丈夫か?・・・ハヤテ?」
ハヤテの身体にまとわりついたドラゴンの炎はハヤテから出る白い光とともに徐々に消えていく
「ああ・・・良かったよ。この白いのは炎もある程度は防げたんだな。」
「お前、知らねえで突っ込んだのか?」
「おう。あの状況じゃ仕方ないさ、知ってる人間が目の前で焼け死ぬなんざごめんだ。」
「お前ってやつは・・・よしお前ら!すぐにドラゴンの解体を始めろ!肉を求めて他の魔物を呼びかねんぞ!」
獣人たちはタイラーの号令に従いドラゴンの死体の解体準備に入る
「ハヤテ殿。」
「レオ。よくやってくれたな。お陰でなんとかなったな。」
「いえ。それよりもハヤテ殿にお聞きしたいことがございます。私はハヤテ殿の前で重破断を使ったことがございません。なぜ獅子のみが使うあの技をしっていたのですか?」
「・・・そうだよな。お前にも話さなくちゃいけないよな。」
ハヤテはレオルンドとタイラー、そしてサンドラの顔を見る
「今夜タイラーの屋敷に集まってくれ。大切な話がある、特にレオとサンドラ、お前たちの両親の話だ。」
目を合わせるレオルンドとサンドラ
「・・・はい。わかりました。」
レオルンドの返事に笑みを返すハヤテ
「じゃあそれまではちょっと一人にしてくれ。どう伝えたら良いのか分からなくてさ。ちょっと整理した・・・」
急に白目を向き倒れるハヤテに駆け寄る獣人達
「おい!ハヤテ!」
「ハヤテ様!ハヤテ様!」
「静かにおし!」
声の持ち主の豹人族の老婆は倒れたハヤテのもとに杖を突きながら歩み寄りその場でしゃがむと額に手を当てる
「・・・すぐに目が覚めるさ。しかしこれほどとは・・・」
老婆は立ち上がると杖をついてどこかに歩き去ってしまう
-続く-




