孤独なうさぎと雪の音
雪が降る。静かに、静かに降り積もる。
水が凍る。湖の氷が、音もなく凍っていく。
「あぁ…聖夜祭の奇跡だ……」
この街では、聖夜祭の日に雪が降ると奇跡が起こると言われている。
「どこかで奇跡が起きているのかな……?」
身体を温めるようにさすりながら、外を眺める。
僕はうさぎだから冬眠することはないけれど、あんまり寒いと動きが鈍くなる。
流石に大した防寒対策もしていない木の穴じゃあ寒かったかな?
「眠くなってきちゃったなぁ」
のろのろと起き上がり、薄いブランケットを取り出す。
ミノムシのようにくるんと包まって、倒れこむ。
外は相変わらずの雪で、雨が混ざっていないからもう積もり始めたみたい。
雪の白で染め上げられていく世界はとっても幻想的で、儚い。
小さな穴から外を眺めていると、まるで世界に僕が一人ぼっちになってしまったみたいだ。
「マティアスと、かわいい彼女の元に奇跡が起こりますように…」
そして、願うことが許されるなら。僕の元にも幸せを分けてください。
奇跡が起きてほしいなんて、僕の元に彼が戻ってきてほしいなんて言わないから。
ほんの少しでいいから、幸せをください。
「寒いなぁ…寒い…マティアス……」
彼の体温が恋しい。
夢でいいから、僕の元に幸せをください……
雪は音もなく、すべてを純粋な白に染め上げていった。
響く音は、かすかな足音と。臆病で孤独だと思い込んでいる、小さなうさぎの寝息だけーー




