終章 “あなた”へ ―to“You”―
以上はふと思い出してしまった少年時代の思い出を出来るだけ忠実に書いたものだ。
場所や時代、個人が特定できない様にセリフの一部は変えてあるけれど、大意は変えていない。全体の80パーセントは自分が実際に見て体験したことだ。
もちろん、思い込みから来る勘違いや記憶違いはあるかもしれないし、今の自分が考察(推理)した残りの20パーセントの部分が正しいのかどうかも分からない。
これを書くにあたって、誰にも当時のことを確認していない。だから捏造を疑われても反論の術はない。けれど、自分の主観的な記憶を元に出来るだけ正確に書いたことは誓う。
いま現在、彼ら彼女たちがどうしているかは知らない。どうか皆が幸多い人生を送っていますように、と祈っている。
その後のことだが、小学校の高学年の頃にはぼくはもう“お姫様”扱いされていなかったように思う。
それはそうだ。イジメっ子に食ってかかったり、平気で暴力を振るうような男の子になってしまったのだ。ぼくは自分でも気づかないうちに自ら“お姫様”の資格を失っていたのだと思う。
中学生の時にはぼくはクラスの男子にイジメられていたことがあった。けれど決して暴力では反撃しなかった。それはその頃のぼくが武道を習っていたからで、暴力による解決を自らに戒めていたからだ。
イジメられても平然としているぼくにイジメっ子たちは苛立っていたようだった。学校行事で際立った活躍をしたぼくに、イジメっ子は「お前がちやほやされるのが気に食わない」などと言ってきたことがあったけれど、負け犬の遠吠えだな、と不快に思うくらいだった。
高校生の時は、クラスでイジメられている子がいたので、イジメを止めさせるよう(非暴力で)画策したことがあった。あまりうまくは行かなかったが、イジメ当事者ではないぼくの行動が教師の知る所となり、結果的によい方向で解決に向かったと思う。
もっとも、これは単なる自己満足のお節介だった。別にイジメられっ子を助けようという発想ではなく、要するに「イジメが気に食わないからぶっ壊してやった」ということだった。その意味ではイジメっ子に対するサディスティックな逆イジメ、だったのかも知れない。
あの時のぼくらと同じような子どもは今もいるのだろうと思う。時代が変わっても、今でもどこかの教室で誰かが誰かを好きになったり、イジメたりイジメられたりしているのだろうと思う。
どうかその子たちに救いの手を差し伸べる者がいますように。この一文が何かの参考、それとも何かのきっかけになりますように。少なくとも他者の気持ちを理解する一助となりますように。
そう信じてこれを書いた。これはかつて少年だった“ぼく”からの伝言だ。自分が何者なのか理解していなかった子どもが、大人になってから自らを省みて、その悔恨と反省の思いを未来に生かすため、贖罪として綴ったものだ。
それを今これを読んでいるあなたに伝えた。
END
あとがき
読んでいただきありがとうございました。
この作品は以前別のサイトで「お姫様イジメ」として公開したものに加筆修正したものです。
それと繰り返しになりますが、これは実話です。
楽しんでいただけたら幸いです。
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