閑話【リュウの独白②】
一室には、私のほかに二人の助手がいた。
一人はジュエルという男性。
こちらが萎縮、警戒しないように気安い雰囲気で接してくる。
ここのムードメーカーといったところか。
女性の扱いにはかなり慣れているようだ。
もう一人は、マリアさんという女性。
大きな瞳で柔らかい笑顔で微笑む彼女は、一般的に見ても可愛らしい女性なんだろう。
私は他人と接することが得意ではない。
いや、別にそれほど苦手ではないのだが、言葉を選ばないと誤解を与えることが多いようで、慎重にならざるを得ない。
・・・言っておくが、俺だってそれなりに経験はあるぞ。
中学でも高校でも大学でも、そういった経験はあるからな。
長続きはしなかったが。
話がそれた。
そういったわけで、結果、面倒くさいのでなるべく口を開かないようにしている。
それでもマリアさんは微笑みを絶やさず、ジュエル先生と同じように接してくれた。
彼女は、こちらが積極的に会話しなくても勝手に喋ってくれる。
楽なことこのうえない。
時々、ジュエル先生が助けを求めるような視線を送ってくるが、知らん。
仕事とはいえ、自業自得だ。
研究に打ち込むあまり、与えられた部屋に寝泊まりするのは日常茶飯事だった。
そんな雑然とした様子を見ても、『リュウさんったら仕方ないんだから』と、マリアさんは笑って許してくれる。
こちらに必要以上に踏み込んでこないので、非常に仕事がやりやすい。
研究に没頭すると、つい寝食がおろそかになってしまうので、彼女の手作りとやらのクッキーは手軽な非常食として助かっている。
そんな、一室での生活は、本当に充実していた。
ある日、マイケル先生から第三室新設を話をいただく。
もちろん断る理由はなく、二つ返事で引き受けた。
ちょうどそんな時、ミサトさんがやって来た。
私は薬を扱う立場から、このセンターにやってくる人たちの状況はある程度知らされる。
その人の様子を見て、必要な時には処方を行う。
彼女は、望まれてこちらに来たわけではない、気の毒としかいいようのない状況だった。
最初はいつも通り、ジュエル先生が担当する。
これは、早々に私の処方も必要かもしれない、準備だけはしておこう。




