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謎を解く手がかり

「水のドーム・・・」

 正臣は、ひとり言のようにつぶやいた。

「なんだ、それ?」

 すかさず、譲吉が突っ込む。

「この間、良太のところに見舞いに行った時に聞いたんだ。俺が良太が倒れていたところまで助けに行ったと勘違いして俺に聞いてきたんだ。どうやって、水のドームをくぐり抜けてきたのか、って」

「くぐり抜けるって、じゃあ、良太は水のドームの中にいたっていうのか?」

 光吉が、聞き返す。

「分からねえ。俺は良太が倒れていたところまで行かなかったって言ったら、いきなり帰れって言われて、そのあとは全然その話には触れていないんだ」

「俺、あのあとちょっと調べてみたんだ。採掘場の水没した所に、空気がたまっているような空間てあるのかどうか。そしたら、俺達が入った第六採掘口って、あそこから先はどんどん深くなるだけで、水で塞がれたあの先には、空気がたまるような空間は全くなかったんだ」

 と光吉。

「つまり、良太は、水の中に何時間もぷかぷか浮いて立ってことか?」

 と譲吉。

「そういうことだ」

「それじゃ死んでるべ」

「水のドームだ」

 正臣がしてやったりという声で言う。

「あの先に水のドームがあって、中に空気があったんだよ。だから、良太は生きていた」

「でも、水のドームなんて、なんで水没した採掘場の中にそんなもんがあるの?そんなんあり得ないでしょ」

 と譲吉が冷めた口調で言う。

「でも、現に良太は生きている」

 正臣は、苦し紛れに言う。

「あ、でも、剛志の親父さん言ってたぞ。水を抜けた先で落下して足をくじいたって」

 光吉が言う。

「そうだよ。水の中だったら、足をくじくはずないだろ。剛志の親父さんは、水中をくぐり抜けて水のドームの中に入ったんだ。そのくぐり抜けた場所がドームの高い場所だったんで、落下したんだ」

 助け船に、正臣が同意する。

「・・・・これって、どういうこと?」

 譲吉が目を白黒させる。

「何か、俺たちに想像できないようなことがあの採掘場で起きているんだ。良太はそれを体験した。でも、それを言ったって、今のジョーみたいに、誰もそんなこと信じてくれない。だから、良太は口をつぐんだんだ」

 正臣の言葉に、光吉がすかさず、

「剛志の親父さんみたいに?」

 正臣は、光吉の方を見た。そして、ゆっくりうなづいた。

「俺達だけでも、良太を信じてやらなくちゃ」

「でも、その水のドームを誰も見てはいないんだぜ?どうやって、他の連中に信じさせるんだ?」

 譲吉が、現実論を述べる。

「・・・・水のドームを見た人が他に・・・・」

 光吉がそう言った瞬間、正臣の頭にある人物が浮かんだ。

「森村ってあの爺さんが良太を助けたんじゃないか。あの爺さんなら、何か知ってる」

「でも、どうやってあの爺さんちを探す?夜だったし、佐藤先生に送ってもらったから、道もよくわからねえし・・・」

 そう光吉が言った瞬間、3人は口をそろえて叫んだ。

「佐藤先生だ!」

 その佐藤先生は、音楽室にいた。

 佐藤先生は、そこで麻耶に合唱コンクールの会場について報告をしていた。

 そこへ、突然3バカトリオ乱入。

「佐藤先生・・・・!あっ、麻耶・・・」

 想定していなかった人物がいて、正臣の勢いはくじけた。

「ちょうどよかったわ。三宅君。合唱コンクールの会場が決まったの」

 と、佐藤先生。

「えっ?」

 風中の署名運動はどうなったんだろう?

 会場は牟誇崎台で変わらなかったんだろうか?

「で、会場は?」

「呼水町公会堂に変更」

 正臣の問いに、麻耶が答えた。

 正臣の脳裏に香織の言葉が蘇った。

 会場が変わったら、風中は合唱コンクールをボイコットするかもしれない。

 ましてや、風応町に近い所ならいざ知らず、呼水町の公会堂でやるなんて、2つの町の行事じゃなくて、呼水町の行事になっちゃうじゃないか。何考えてるんだ町長!

「もしかすると、風中は本当に合唱コンクールをボイコットするかも・・・・」

 麻耶の声には力がない。

 その力の無さには、良太のつれない対応も少なからずあったのかもしれない。

 そんなことを考えつつ、正臣は言った。

「佐藤先生、今日俺達が来たのは、合唱コンクールの会場を聞きに来たんじゃなくて、この間送ってもらった森村さんの家に連れて行ってもらいたくて来たんです」

「森村さんの家に?どうして?」

「良太のことを信じてやるためです」

「林君のことを?」

 麻耶が聞く。

「柿崎の一件の時、良太は多分信じられない体験をしているんです。誰にも信じてもらえないような不思議な体験を。でも、そのことを誰にも言えず、俺達のことを信じられなくなっている。良太を助けてくれた森村さんなら、その信じられない体験のことを何か知っているはず。だから、俺達、森村さんに会わせてもらいたいんです。そして、良太の不思議な体験が何なのかを明らかにして、あいつのことを信じてやりたいんです」

「・・・・・ちょっと待っててね」

 佐藤先生は携帯電話を持って、教室を出て行った。

「林君が体験した不思議な事って・・・・」

 麻耶が聞いてくる。

「麻耶は、テレパシーとか超能力って信じるか?」

 正臣は逆に質問した。

「えっ?」

「そのテレパシーで良太が助かったって言ったら信じるか?」

「・・・・」

「そう簡単には信じられないよな。だから、俺達はそれを確かめに行くんだ」

 そこへ、佐藤先生が戻ってきた。

「今日の放課後、時間は空いてる?」 


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