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番外編 ぷちっとエデン②

番外編 ぷちっとエデン2

第六話の裏話。


「つーちゃんねぇ、練乳いちごカスタードチョコクリームキングがいい!あとタピオカチョコミルクティー!」

「私はシナモンシュガーバターでお願いします。」


「かしこまりました!少々お待ちください!」


 紙屋つづらと紙屋結衣はキッチンカーのクレープ屋でクレープを買っていた。


「結衣お姉ちゃん、そんなちっちゃいのでいいのー?」

「うん、大丈夫だよ。お姉ちゃんこれでおなかいっぱいになるんだ」


「へー、いっぱい食べないとおっきくなれないよー?」

「あはは、大丈夫だよ〜」


 つづらと結衣はたわいのない会話をしてクレープを待っていた時。


「――――――ッ!!」


 微かに誰かの叫び声が聞こえた。


「……?」


 聞いたことのあるような声の感じがした。


 妙な胸騒ぎがしていた。


「……つーちゃん、ちょっとまっててくれる?お金はこのお財布で払ってね!」

「えっ?結衣お姉ちゃん??」


 結衣は財布をつづらに預け、つづらを残して声のする方へ走った。


 ひとけのない通りへ出た。


 声のする方を探した。

 

「お願い……!!死なないで……!!!」

 

 か細い祈りの声が広場から聞こえた。


 結衣はすぐさま向かう。


 そこには倒れている男の子と、泣いている女の子がいた。


 見た目では分からない。

 

 だが、その声は確かに。

 

「あれ?ノアちゃん?」

 

「……!!!」


「ノアちゃんだ……!どうしたの!?」


 女の子が振り返ると、髪色や目の色は違うが顔は確かにノアだった。


「結衣さん……お願い!……レンを……レンを!!!」

 

 ノア=ミオは縋るように、結衣に助けを求める。


「うんっ、任せて。」


 結衣はレンに駆け寄り手をかざす。


「――【一糸結命】――」


 オレンジの光がレンを包む。


 一本の糸が傷口を縫っていく。


 しばらくすると、レンの口角がほんの少しだけ上がった。


「……強い子。守りたい気持ちが、力へと変えてるのね。素敵な愛ね。」


 結衣は微笑み、呟いた。


「……愛……してる……」


「……!!!」


 レンは言葉に反応してか「愛してる」と呟いた。


 ミオは顔を真っ赤にして驚いていた。


「愛してるって、ふふ。あなたたち付き合ってるのね♪」

「い、いや!付き合ってないですよ!?…そ、そりゃぁ告白されたかもですけども……」


 結衣の言葉にミオは必死に手を振り否定した。

 

 そして小さな声でモゴモゴと話す。


「あら、そうなのね。てっきり付き合ってたのかと」


 くすりと結衣は笑った。


「さて、こっからどうしようね。家まで男の子を背負うのはやったことないけど……」


 結衣はどうやって家に運ぶのかを考えていた。


「……誰か力持ちがいれば……」


 ミオもぽつりと呟く。


「つーちゃんやってあげようか?」


 後ろから可愛らしい声が聞こえた。

 二人は振り返ると、そこには10歳の女の子、紙屋つづらがいた。

 

「つーちゃん!さっきはごめんね、ちゃんと買えた?」

「買ったよー。もー、結衣お姉ちゃんったら急にいなくなるんだからつーちゃんびっくりだよ!」


 つづらは結衣に向かってぷんぷんしながらクレープをはむはむと頬ばっていた。


「つづらちゃん。もしかして、あれやるの?」


 ミオは少し怯えていた。


「だってー、男の人がいなきゃー、その人持ち上げれないんでしょ?」


 つづらは黄色いポシェットから何かを取り出そうとした。


「いーよいーよ、俺やるよ。持たんくてもそのまま運べるし。」


 レンの方から弥生の声が聞こえた。


「弥生、ありがとう。」


「任せろって。だからその、折り紙はしまってくれ、つーちゃんよ。」


 ミオはお礼を言うと、弥生は軽く流し、緊張しながらつづらに仕舞うように言う。


「……はぁい。ちぇー、つまんなーい!がぶぅ!ずずずーっ!」


 つづらは不満を垂らしながらクレープを食べ、タピオカを飲む。


「ほれ、ノアも近づけ。固まらんとまとめて移動出来ないぜ」

「あ、うんっ、ありがとう。」


 ミオはレンに近付き、弥生の【瞬間移動テレポート】でレンの家に来た。


「よっ、こいっ、せっと。」


 弥生はレンの部屋の床で寝てるレンの脇に手を入れ、ベッドにぶん投げた。


「んべっ!……ぐかーっ」


 一瞬声が出るもすぐに寝るレン。


「ふぃー、危ねぇ危ねぇ……あんなとこでつづらの異能が発動してたらマジで死人が出るぜ。」


 押さえ込んでいた汗がドバーッと流れてきた。


「ふふ、本人に絶対言っちゃダメよ?」


 ミオはクスッと笑う。


「言わねーって。言ったら俺が死ぬじゃん!……まぁいいや、じゃ、俺帰るわ。」


 弥生はそう言うと【瞬間移動テレポート】で帰っていった。


「……ありがとう、みんな。」


 ミオは逃げてきたはずなのに、それでも優しくしてくれる皆に、心が暖かくなった。



 第六話の裏話【~完~】

 ――――――――――――――


 第十一話の裏話。


 レンとミオが去った団地には、ばるむがひとりで立っていた。


 デジカメの割れたカバーをなぞっている。


 簡単に直せるはずの破損に、ばるむは目を瞑った。


 ――――シャングリー管理局――エデン――


「次力異能、ばるむ様からの報告です。証拠写真用のデジカメが、踏んづけて壊れてしまったので修理が終わるまで報告が出来ないとの事です。」


 黒服は、机の上の書類に目を通しているレオンに報告した。


「……踏んづけた?……ばるむくんが?…………。」


 レオンは目を見開き、考えた。


「…………ははっ、そうか。何か余計なことをしたのかな。……まぁいいさ、彼も最近感情が出てきている証拠だ。」


 レオンは目を細めた。


 いつもの変わらない作業に一区切りをつけ

 

 引き出しから写真を取り出し


 赤色のペンでバツを書いた。


「……そろそろ、捨てる時期だ。」


 そう呟いた瞬間、空気が冷たく変わった。


 ピキっと、窓ガラスにヒビが入った。


 第十一話の裏話【~完~】

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