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第29話 皇子殿下

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感想,レビュー等大歓迎です。

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「……初めまして,という事にしておきますね? セア()()()殿下」


 僕が満面の笑みでそう告げると,目の前の少年の表情が固まる。

 ついでに,隣に立つ皇妃の笑みも固まった。

「……アリー?」

「いえ,あの,それはですね……?」

 慌てたように母親に弁明しようとする様は,本当によく似ている。

 あの時の感じからして,お忍びとかだろうか。

 自分の言葉が爆弾発言である自覚を持ちつつ,視線があったリアスさん__セアリアス殿下に笑みを返す。

 最初は多少,父親である皇帝に似た貫禄を持ち合わせていたのだが,いつの間にか綺麗に消えていた。


(……何でわざわざ親に隠して宿屋のご主人に会ってたのかは気になるけど)

 彼には彼なりの事情があるのだろう。

 そう割り切って,僕は笑みを深める。

 これ以上詮索も追求もしませんよ という意思は伝わったらしく,セアリアス殿下は少しホッとしたような表情になった。

 僕が詮索しないだけで,皇妃がどう対応するかは知らないが。


「……まぁ,先に皆様をご案内致しますね」

 軽く息を吐いてから,皇妃が切り替えるように微笑む。

 僕達についてくるよう促してから,騎士を数人連れて広間を出た。

「陛下は厳しいですけど,私は皆様のことを充分に信じていますのよ? アスセーラと渡り合い,武器を落とすなんて……心優しき強者にしか成せぬ技です」

 ころころと明るく笑う皇妃は,軽い足取りで廊下を進む。

 僕はヒロ君と顔を見合わせて首を傾げつつ,それに続いた。


 皇妃は最初に通された謁見の間に続く方と反対の道を進み,四つの扉の前で止まる。

 更に廊下は続いており,先は見えない。

「此方の部屋をお使いなさい。奥は私達の居住地となっておりますので,ご容赦くださいね」

 皇妃が振り返って,扉を手で示す。

 僕達は礼を述べて,それぞれ部屋に入った。


(……一人一部屋とは。流石は皇帝直轄領インペラーゼ……格の違いを見せつけてきたね)

 僕達が華国ジャルディーノの城に滞在していたという情報は入っているのだろう。

 それを踏まえて,この用意なわけだ。

 大陸のたかが一国相手に見栄を張るとは,貴族社会は殺伐としている。

(……まぁ僕等も,政治の道具になる可能性は高いんだよなぁ。他種族との外交とか)

 サンクチュアリーは大陸全土に影響を及ぼす極悪組織らしい。

 それに対して皇帝が,華国ジャルディーノが手駒を得たのだ。

 僕が気にすることではないが,どうしても興味を持ってしまう。

(……悪い癖だね。僕は主人公フレイムなんだから)

 もう光留として生きていくことは出来ないし,その必要もない。

 それを実感できる日は,まだ来そうになかった。


 部屋で炎剣フレイムソードを磨いていると,控えめに扉が叩かれる。

 僕が返事すると,扉の外から初老の男性が現れた。

 隙のない身のこなしや所作,身なりからして執事とかだろうか。

「皇子殿下が皆様をお呼びです」

 男性はそれだけ述べて,身を翻す。

 一瞬困惑しつつその言葉の意味を理解し,僕はその背を追った。

 その後ろから,三人もついてくる。


「呼び出して悪かった。……その,一応話しておこうと思って」

 苦笑を交えた表情で,部屋の主は告げた。

 執事らしき男性や,部屋にいた側近を下がらせてから,皇子は言葉を選ぶように視線を彷徨わせる。

 僕達は勧められた来客用の椅子に座って,各々の反応を示した。

「……えーと,リアスさんが,イコール殿下ってことですよね?」

 リベがズバッと尋ねると,皇子は軽く頷く。

「そう……何だよね。まぁ,お忍びというか……?」

 流石に気まずいのか,皇子の視線が更に泳いた。

「会いたい人がいたっていうのは本当なの?」

 ふと気になったのか,出されていた茶菓子を摘みながらリリーが呟く。

 少し無礼にすら思える態度の彼女に対して,皇子は少し困ったように目を伏せた。

「……まぁ,本当ではあるよ。そこはもう気にしなくて良い」

 本当にそこは詮索してほしくないのだろう。

 それを察したのか,ヒロ君が話題を変える。

「ちなみにリアスさ……セアリアス殿下からオレ達に質問はないんですか?」

「別に畏まらなくて良いよ。質問,か……」

 申し訳なさそうな表情で微笑んでから,少し考え込むような仕草を見せた。

「……あ,まずフレイムさん個人に良い?」

「フレイムで良いんですが」

 視線を受けて咄嗟にそう返すと,セアリアス殿下が僅かに苦笑する。

「……僕の名前は,一般には公開されていない。何故君は知っていたの?」

 言われてみれば,という表情で三人の視線が向いた。

 これに関しては,完璧に僕の失敗である。

(……アニメで簡単な皇族説明に名前が載っていたからです。なんて言えないなぁ……)

 アニメの方で皇族との対面イベントはなかったが,何故か説明があった。

 今思えば,今後の展開の伏線だったのかもしれない。

 それだと,僕等はかなりショートカットしている気がするが。

「……母に教えられましたので」

 取り敢えず,無難な答えを返す。

 母さんは大体何でも出来そうなので,問題ないだろう。

 現に,セアリアス殿下も三人も納得したような表情を見せている。


「……それからもう一つ。君達があんなに強い理由は何?」

 次はド直球で来た。

 戦闘中に聞こえた会話からしても,セアリアス殿下が一番気になっていることだろう。

「……何でだろう?」

「わかんない」

 リベとリリーが首を傾げている。

 ヒロ君も困惑したような表情になっていた。

「……オレ達は何と言うか……自分達がそんな強いとは思えなくて」

 言葉を選ぶようにヒロ君が語りだすと,セアリアス殿下は僅かに眉を上げる。

「その……個人個人がそこそこの強さを持っているから,良い感じに作用しているというか?」

 身振り手振りを付け加えつつ説明すると,リベとリリーが納得したような表情になった。

 それを見て,セアリアス殿下も若干腑に落ちないという表情をしつつ,何度か頷く。

「……それぞれが,仲間を信頼してるってことなんだね?」

 僕達は顔を見合わせて,目を瞬いた。


 それから,四人で力強く頷く。

 無意識の信頼が僕達の力を底上げしているという事実に,今まで気付いていなかった。


最後までご覧頂きありがとうございます。

一言:キリが! 悪い!

   次のイベントに繋ぐまでが長い……!

   ついでにセアリアス殿下の歯切れが悪い!

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― 新着の感想 ―
何やら闇のありそうな王子・・・! と思いきや意外と良い人? フレイム君が主人公として自分を持とうとしているのすごく好きです・・・! 応援したくなります! 次回も楽しみにしています!
2026/05/10 16:51 マリアンネ
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